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趣深い日本の色彩 #34 霞色

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日はふんわり幻想的な色のお話。

春の霞

かすみは、空気中の水蒸気やちりなど、細かい粒子によって遠くの景色がぼんやりと見える現象のことです。
春の季語として詠まれ、言葉の響きも色合いも、幻想的な美しさがあります。

色としては、「少し紫みのある明るい灰色」であることが多いですが、
「ハッキリしない色の総称」としても使われてます。
1つの色に定義できない、まさに「霞」のゆらめく感じが印象的。

近い現象・言葉

霞に近い現象として「霧」や「もや」がありますね。
梅雨入りした今時期は、雨の多い日は街が白くかすみます。

霧は「見える範囲が1km以内」と、かなり視界が遮られた状態。
もやは「見える範囲が1km以上~10km以内」と、霧よりは晴れた状態。
では、かすみはと言いますと、実は気象用語ではないみたいで、具体的な規定がないようです。

響きの雰囲気としては、もやよりもやや晴れた(遠方が見える)感じでしょうか。
田畑を焼いた煙など見えにくくなることも「霞がかる」と言うので、気象用語でない分、いろんな状況に使える言葉ですね。

ちなみに「霧」は秋の季語だそう。
似た現象なのに、表す季節が違うのが、なんだか風流です。

ぼんやりを楽しむ

ということで、柔らかでぼんやりした霞色をご紹介しました。
ハッキリしない光景にこうした言葉と色を与えて、「その状態も良い」と認め心を動かせるセンスが素敵だなと感じます。
「ぼんやりを楽しむ」心意気や余裕を、自分も育んでいきたいなと思わせてくれる色名でした。

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