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「勉強時間が長い=正義」という罠

受験生なんだから平日は◯時間以上勉強しなさい。土日は◯時間以上が当たり前だー。

いつの時代にも、受験生の周りにはこう言う人が必ず1人はいる。だからだろうか、いつの間にか長時間勉強することが当たり前、長時間勉強した方が成績が上がる、長時間勉強することが正義と言わんばかりに、勉強は「時間」を軸に語られることが多くなった。

しかし、受験生が当たり前のように信じている「勉強時間が長い=正義」信仰が、特に上位層にとっては逆に伸び悩む原因になってしまうことはあまり知られていない。

勉強時間と成績は比例しなくなる理由

たしかに、勉強量は多ければ多いに越したことはないし、勉強時間も長いに越したことはない。たくさん勉強すればするほど、成績だって上がりやすくなるだろう。学校の定期テストだって、十分に時間をとって勉強した時の方が点数が圧倒的に上がる経験は、誰もがしたことがあるのではないだろうか。

しかしながら、たくさん勉強すればするほど成績が上がるのは、受験勉強期間の初期のフェーズのみ。受験勉強は定期テスト勉強とは違い、ある程度のレベルまで到達したら、勉強時間と成績の上昇は比例しなくなってしまう。

この現象の要因の一つは、ある程度のレベルにまで達したら、勉強する内容自体が高度になり、1つのことを習得するのにどうしても時間がかかるようになってしまうことにある。

受験勉強の初期のうちは、基本的なテキストに取り組んでいるだけで良かったのが、中盤以降のフェーズになると、難解な入試問題と格闘することになる。基本的なテキストなら、理解するのも問題を解くのもやり直しをするのもそれほど時間をかけずにできる。でも、入試問題となると、問題を解くにも、解いた後にやり直しをして理解するのにも、基本的なテキストと比べ物にならないくらい時間がかかってしまう。

つまり、勉強が高度になればなるほど、勉強は「どうしても時間がかかってしまうもの」となる。勉強時間が長いということは、正義でもなんでもなく、当然の現象になるということだ。

時間よりも大切なのはスピード感

ここで、「勉強時間が長い=正義」という考えから脱却できないでいると、勉強時間が長いことに満足してしまう。

これが罠なのだ。

ここからは、勉強時間が長くなるのはむしろ当然で、長く勉強する=成績が上がるという方程式は成り立たなくなる。

このフェーズの受験生が一番意識を向けなければいけないことは、時間をかけることではなく、逆の、時間をかけないことだ。

時間をかけないこと、つまり勉強のスピード感こそ、受験生が一番意識をするべきことだ。

例えば問題を10問解くのであれば、長い時間かけて解くよりも短い時間で解いた方が、絶対的な勉強量は増える。他の人が1時間で10問を解くところを、もしその半分の30分で解けたら、もう30分で他の10問を解けることになり、同じ勉強時間でも勉強量は倍になる。

勉強のスピード感とは、なにも問題を解くスピードだけではない。

机に向かってから1問目を解き始めるまでのスピード、テキストやノートを開くスピード、書くスピード、読むスピード、計算するスピード、理解するスピード…

このような、勉強に関わるありとあらゆるスピード感を意識するこそ、勉強時間をかけること以上に大切にしなければいけない。

勉強時間は長いのに残念ながらいっこうに成果が出ていない生徒は、ほぼこの勉強スピードを意識していない。「少しでも速く解くにはどうしたらいいか」なんて考えていないし、どこまでもマイペースで勉強している。だからいつまで経っても伸びないし結果が出ない。

まとめ

入試には制限時間がある。制限時間内に、どれだけたくさん正解できるかの勝負をしている。であるならば、スピードが速い人の方が絶対的に有利なのは間違いない。時間に余裕が生まれるし、余裕が出た分難しい問題を思考するのに人より多くの時間を費やせるし、なんなら見直しだってする余裕さえ生まれるかもしれない。

つまり、受験勉強においては、「長時間勉強=正義」なのではなく、「短時間でできること=正義」なのである。

普段からありとあらゆるスピードを意識しながら勉強しよう。「時間をかけたら解ける」状態で満足せずに「時間をかけなくてもできる」状態まで昇華しよう。

そうした勉強スピードに対する徹底的な意識が、思考を鍛え、計算力や読解力を鍛え、学力を伸ばす。

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