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第1話 ベッドで暮らす彼との出会い

頸髄損傷でベッドで暮らしている
彼との日々を書いています。

彼と出会ったのはお仕事の場でした。

新しい職場に転職し
ドキドキしながら出社した初日のこと

事務所に着くと挨拶もそこそこに
すぐに制服に着替えるように言われ

看護師さんと車に乗り込み
利用者さんのお宅へ


そこにいたのがベッドに
横になっている彼でした。

当時の勤務先は訪問看護ステーション

病気や障害を持ちながら
在宅生活を送っている方のお宅に伺って
必要なケアをするのが仕事です。


初対面の印象は
正直あまり覚えてはいません。

看護師さんが彼のケアをしているのを
見学させて頂いて

少しだけ会話したとは思うけれど
内容は全然覚えてはいなくて。

そんな出会いでした。



若くして障害を負った彼は私と同じ年齢

私のこれまでの人生と
つい重ね合わせてしまう


彼が障害を負ったのは25歳の時

その頃の私は何をしていただろう?


仕事を始めて4年目
病院勤務から異動して施設勤務になった頃

若かった自分を思い出して

同じ年の青年が
ある日突然8割以上動かせない体になることを想像してみる。

そう簡単に想像できるものではないけれど…


これからこの方のリハビリサポートを
させてもらうことになる。
どんな関わりになって行くのかな?

この時はもちろん特別な感情はなく
一目惚れとかそんなことでもなくて


新しい職場で
しっかりと役に立てるように
頑張らなきゃって
ただそれだけの思いでした。


さて
彼と出会ったその翌日また彼の家へ

今度はリハビリスタッフと一緒です。
そして仕事の引き継ぎを受けました。


事故で障害を負った彼の脚は
自分では全く動かすことが出来ません。

腕は動かすことは出来ますが
麻痺で不自由さは残っています。
指は動かず握力はゼロ。

そんな彼のリハビリをお手伝いするのが
私の仕事でした。


この日はベッド上での運動をして
次に行った時には車椅子に乗る練習

彼が車椅子に乗るには
人と機械の力を使います。

彼の体をネットで包むようにして
そのネットをリフトで釣り上げる。

そうしてベッドにいる彼を
車椅子に乗せるのです。


前の職場でも長年同じ仕事をしていた
私でしたが

彼と同じ障害を持った方を
サポートするのは初めて。

リフトで体を釣り上げて車椅子に
乗せるなんてやったことはなくて
研修でちょっと見たことがあるくらい。

今だけら言えることですが
これを一人でやることになるけど
大丈夫か?私。

そんなこと思っているとは悟られないように
来週から頑張んなきゃ


彼を含めて何人かの引き継ぎを
1週間で終えて翌週からは独り立ち。

私は彼の家に毎週訪問する
リハビリの担当スタッフ
二人の関係はそんなスタートでした。

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