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謎の未承認国家「沿ドニエストル共和国」

 6月、モルドバ国内の自称独立国家、「沿ドニエストル共和国」に行ってきました。
 実はこの国、国際連合からは独立を認められておらず、あくまでモルドバの一部という認識でいるのですが、実際は統治の及ばず、親ロシア派が牛耳る、極めて不思議な場所です。


 何故モルドバから事実上独立してしまったのか、原因はソ連崩壊後にありました。
 1990年にモルドバはソ連から独立し、モルドバ人はルーマニアと同じことから、言語もルーマニア語に統一しようということになったのですが、それを不服としたのがドニエストル川から東に住んでいるロシア系住民でした。

ここでモルドバ側とドニエストル側で戦争が起こりました。しかしここにロシアが介入して、ドニエストル側に着き、無理矢理勝利し、領土まで一方的にモルドバから占領ということになってしまい、現在までこの状況が続いています。
 この地域は元々ソ連時代から重工業が盛んなところで、ここを取られたモルドバは貧しくなってしまい、現在でも欧州最貧国のレッテルが貼られています。


 さて、今回ここにどうやって行ったか。行き方としてはキシナウの中央バスターミナルでティラスポリ行きのチケットを買ってバスで向かいます。
 ある程度行くとドニエストル側の検問所に辿り着き、パスポートコントロールを受け、滞在許可証という名目で紙がもらえます。
 そんなこんなで2時間ほどでティラスポリに着きました。

街に着いて歩いてみるとみると、重厚な建物が並ぶまさにソ連という見た目だった反面、人々の生活スタイルは普通の国と何ら変わらないのではないかという印象も受けました。
 ウクライナ侵攻の影響もあり、かなり緊迫してるなかな?とか北朝鮮みたいにガイドみたいなのに監視されながら行動するのかな?とか考えたりしたのですが、自分一人で行動できました。


 しかし滞在時間が10時間と限られていたり、許可証の紙を無くすと大変なことになったりと、やはり厳しいところもあり、また未承認国家のためもちろん日本大使館もありません。
 もしここで何かあった場合、統治が及ばないため、モルドバの日本大使館も助けることができません。
 当然行く際は自己責任になります。
 もし行かれる際は、最新の情報を入手するなど、十分な知識を身に付けた上で行かれることをお勧めします。


 国際社会から認められていない、一見したら孤立したような場所。ここで生活している人もいる、迫害されているのではなく、ただ独自の暮らしをしているだけ。
 ここの人たちをならず者と思うのか、それとも普通に接するべきなのか色々と考えさせられました。

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