1「虫の良い話」

このエッセイ連載の依頼を受けたのは、二〇一五年の夏だった。

 芥川賞を受賞した直後。連日続く取材や細々とした単発の執筆依頼を受けるかどうか日々判断してゆく中で、どうするか数分だけ迷った。

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