私は一般向けアウトリーチ (サイエンスコミュニケーション等) を外注する

 研究をするからにはお金が必要だ。そのお金の出どころは、行政や企業の出資を受けること (研究費) が一般的です。そのお金を出資者は究極的には一般市民、という見方もできて、一般市民にむけて研究の価値を伝える試みが必要だ的な意見もあるわけです。特に、研究に直接、間接的にかかわらない人口のほうが圧倒的に多いため、このような人にコミットする試みも、科学全体の価値を高める営みの中で必要なことだと思います。

 しかしながら、全て自分でやろうとするといかんせん時間が足りないことが多いです (大量の資金が担保される前提の元、自身が経営サイドに回ることができれば可能だと思います。ビッグラボのPI等がこの立ち位置でしょう)。多くの場合は、本業の研究に時間を割くほどアウトリーチに割く時間が減り、アウトリーチに偏ると本業が疎かになることが一般的です。ですから、一般には、自分がどちらに軸足を持つかをはっきりさせた上で、本業を中心に展開することになると思います。時間と資源を何に配分するか、的な考え方で、金融商品に対する「ポートフィリオ」に似た考え方でしょう。

アウトリーチを外注してしまおう

 私自身は研究サイドの人間で、研究を中心にやっていきたいと思っています。アウトリーチもできるほうがやれることが広がるのですが、あえてやってこなかったのです。趣味でブロガーをやっていて、記事数が600を超えてなお、研究のアウトリーチは行っておりませんでした。このブログは、収益が発生しておりますが、仕事ではなく、私の趣味としてのアウトプットなのです。この形のアウトプットをする理由は、科学者としての「ブランディング」です。あくまで科学者サイドの仕事をやりたい、という意思表示なのです。どんな方向の仕事を受けたいか、という部分でどんな方向を見せるか選んでいます。

 私が向き合うべきは、実際に一緒にプロジェクトを行っている人たちであり、講義等をする場合は指導する学生等になると思います。あるいは、自身で論文や申請書を書くような、プロの科学者として一人前になる営み等が、私にとって優先度が高いことになります。そういう人たちにきちんと伝えることが大切であり、オンライン等で接点があるかないか的な人にリソースは極力割きたくない、と私は思うのです。少なくとも、仕事や半仕事として取り組むつもりはないのです。加えて、外での活動が私の活動に対して色眼鏡をつくってしまう可能性があるという認識です。ですから、研究に軸足がある中で何かをやる、的なアウトプットがブログ等の柱になります。だから、私のポジションを保ったまま、一般向けアウトリーチをする場合は、「外注」が第一選択になると思うのです。

 自身にないパーツは、コラボレーション等をすることで可能です。私が研究サイドをやるとすれば、アウトリーチを外注するという考え方もあるでしょう。

コレボレーション実践

 企画が走りだしましたので乞うご期待!

研究 vs アウトリーチ、それに伴う資金獲得に対する私の考え

 出資を受ければ出資先の意向に縛られるのが資本主義の大原則です。それならば私自身が私に出資するやり方をつくればその縛りはなく、より自由なお金の使い方ができると考え、実戦しています。そこに関しては、「相手の支配をいかに受けないか」という考え方に基づいています。ビジネス、リーダーシップ等を発揮する上で、「決定権をちゃんと自分で行使でき、身動きがとれなくなったり、奴隷状態になるような、不利な契約を結ばない事」が非常に大切だと私は考えます (実際、かなり不利な契約というものは存在するので。例えば、起業する際に普通株式ではなく種類株式を出資者に渡す等すると事実上経営研等を握られる可能性が大きいです)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?