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美術私手帖

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愛知県立芸術大学で非常勤講師を務めた話(その5/最終回)

2019年10月から愛知県立芸術大学で務めた講義は、1年生むけに3回、その次に3年生向けに5回行った。大学での講義は初めてで、正直手探りのところも少なくなかったし、反省点ももちろんあるけどそれなりの手応えは掴めたところもある。(やることになった経緯や内容などはそれぞれ、その1、その2、その3、その4で詳しく) 1年生と3年生向けに合計8回行った講義の最後となる8回目は、弊社カラクリワークスの山﨑達樹(=以後、達樹)による、「戦略を考えよう」の授業。ここまでの授業では、社会の

愛知県立芸術大学で非常勤講師を務めた話(その4)

縁あって愛知県立芸術大学で非常勤講師を務めた、その経緯は「その1」で、基本的な内容については「その2」で、作品と社会の接点についての思いは「その3」でそれぞれ詳しく。 今回は1年生と3年生向けに、同じような授業を担当させてもらった。ただ違ったのは1年生が6コマ(2コマ×3週)で、3年生が10コマ(2コマ×5週)だった点だ。「作品と社会の接点」を考えるきっかけとして「マーケットイン/プロダクトアウト」という考え方の授業は、今回担当した1年生向けにも3年生向けにも行った。ただ3

愛知県立芸術大学非常勤講師を務めた話(その3)

熊本の美術予備校で一緒だった友人が准教授をやっている縁もあって、愛知県立芸術大学デザイン・工芸科陶磁専攻の非常勤講師を務めさせていただいた。その経緯については「その1」で、講義内容について「自分が学生時代に聞きたかったこと」を土台にして考えた、という話は「その2」で。 講義内容を考える時、もう1つ頭にあることがあった。それは「作品と社会の接点」について。芸大をはじめとする様々な学校では、「いかにいい作品を作るか」のテクニックやコンセプトの作り方について、かなりの時間を割いて

愛知県立芸術大学非常勤講師を務めた話(その2)

2019年10月から12月まで、愛知県立芸術大学デザイン・工芸科陶磁専攻の非常勤講師を仰せつかった。以前から学校の先生やってみたくて…の経緯は前回に詳しく。テーマは「自分をプロデュースする」。その内容をどうするか、試行錯誤してみた。 「自分が学生時代に聞きたかったこと」で講義を構成したいと思った。つまり「今はそれなりにわかったことだけど、その当時は知らなくて、今となってはできれば早めに知っておきたかったこと」を伝えたい、というコンセプトだ。それは例えば「世に言う仕事ってどう

愛知県立芸術大学非常勤講師を務めた話(その1)

いつの頃からだったか「いつか学校の先生みたいなことをやってみたい」という願望が芽生えていた。まさに漠然と「いつかできればいいな」と思っていたけど、本当に幸運なことに2019年10月から12月にかけて、その機会に恵まれた。大学の非常勤講師を務めさせていただいたのだ。 舞台は、愛知県立芸術大学。「福岡にいるのになぜ愛知で?」と聞かれることは少なくない。誘ってくれたのは、愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸科陶磁専攻の、田上准教授。田上先生とは、熊本の美術予備校で浪人している時