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青春18×2 君へと続く道

映画館で予告編を見て少し気になっていた映画を見た。

予告編は見たもののストーリーはきちんとわかっていなかったが、台湾で出会った若者たちの恋物語。やはりどんな映画でもハッピーエンドで終わって欲しい、この2人が結ばれるといいな、とそんなことを考えながら見ていた。

台湾は興味はあるが訪れたことはなく、メインの舞台の台南については全く知識がないが、昔ながらの情緒ある地域のようだ。そんな場所で出会った現地男性と旅をしていた日本人女性が出会い、離れ、再会を目指して物語は進む。

自分自身も旅行が好きだが、旅行なんてあんまり興味がないよという人も周りには多くいる。現代は娯楽が溢れているし、昨今の経済状況だと海外に気軽にいくことも難しい。でも自分が大学生くらいに戻れるのなら、バックパッカーをやりたかったなと思うことはよくある。さすがにこの歳だと少し大変かもしれない。妻のGはバックパッカータイプではないし(ヘアアイロンとか持っていくくらいだし。。。)。

旅行なんてたいした意味はないというのはそれはそうかもしれないが、映画の途中でセリフがあったように、「旅先で出会う人はそれぞれ勝手に自分の心の中に何かを残していく」。直接会話した相手だけではなく、目に入ってくる様々な人が、普段目にする同国人とは非常に異なる行動様式を見せることもある。

人に限らないかもしれない。街並みや公園、駅などの公共施設の作り、時刻表、距離が離れるほど自分が見慣れたものから遠ざかる。そういうものに触れるのは新鮮であるし、時にその中で自国のものと類似した何かを発見したときなども面白い。

明確な記憶として残っているわけではないけれど、このような発見のひとつひとつが自分の奥底に沈殿して意識の一部を形成している。それは自分の人生の時間を使うに値するものだと思える。

自国から離れるほどマイノリティになることも同様に意味がある。以前は日本人というだけで目を引き声をかけられた(目をつけられた?)こともあったのか知らないが、誰にも相手にされない、誰にも気にしてもらえない、困った風に待っていてもご親切に声をかけてもらえるわけではない、あくまで無価値なひとりの人間として自分から声を出さないと相手にもされない経験は、日本人に欠けているひとつのような気はする。

恋愛についてもそれは同じかもしれない。「後悔しないようにな」という父から息子への言葉があったと思うが、自分の本当の気持ちは伝えないと伝わらないし、いつでも言えるとは限らない。今その機会があるのであれば、ちょっとした勇気を持って伝えた方がいい。

自分が若い時には、残念ながらそんな気持ちになったことはなかった。青春の日々っていいなぁと思うと同時に、自分からは過ぎ去った若さに対してちょっと恨めしい気持ちにもなった。

でも、僕は妻と出会った時から少し変わったと思う。その時はもう30も過ぎていたけれど、妻は12歳下なのでなんとなく僕も若くなった気もしていたが、とても大切で失いたくないと思ったり、ずっと一緒にいられるように長生きしたいと思ったりしたのは初めてだ。そんなことも思い出していた。

人生の切なさや楽しさを旅や恋愛という要素を絡めて表現したいい映画だったと思う。Gは号泣していた。

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