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トイプードルとの関わりとラグビーのレフリー

2021年2月、うちにトイプードル「そら」がやってきました。
最初は溺愛するように可愛がっていたわけですが、そのうち
・人の手を噛む
・ドアの縁を嚙みちぎる
・ごはんを求めて吠える
といった行動をするように。

つい先日は巾着袋の綴じ紐20㎝を2本飲み込んでしまい、夜中に動物病院に駆け込み何とか吐き出すことができたけれど、冷や汗ものの体験でした。
これは本格的にやっていいこと、悪いことを教えないといけないと思い、家族みんなでの試行錯誤が始まりました。

このnoteでは、犬のしつけを通して学んだこと・感じたこととラグビーレフリーとの関係について、コーチの視点から考えてみたいと思います。

しつけの基本①ほめる

犬の育て方を本やネットで調べてみると必ず、しつけの基本は「褒めること」とあります。
決められた場所で排泄するなど、繰り返してほしいことに対しては、それが起きた瞬間とにかく褒めます。「1オクターブ高い声を出しましょう」という説明もありました。

「おすわり」や「待て」などの少し高度なトレーニングにはチーズなども使うのだけど、ワンちゃんも「褒められる」というだけで行動が変化するくらい嬉しい気持ちになるのですね。

要は行動の結果に対して「報酬」を与えているわけですが、チーズのように食欲を満たす「身体的な報酬」だけでなく、褒めてもらって嬉しいという「心理的な報酬」も効果があるということ。犬の心理・意識の中をもっと覗いてみたくなります。

しつけの基本②応えない

ある行動を止めさせるには、「応えない」が基本なのだそうです。
吠えているのを鳴きやませるために遊んであげたりすると、その時は鳴きやむかもしれないけれど、「吠える」→「誰かが動いてくれる」→「要求が満たされる」、すわなち「吠えたら嬉しいことが起こる」という図式が脳内に出来上がってしまうのだそうです。
そうすると、次に遊んで欲しいとき、食べ物が欲しいときには、また吠えるというパターンにハマっていくことになります。

一度学習してしまった「吠えたら嬉しいことが起こる」ということをアンラーン(unlearn)させる為に、「そらが鳴いても対応しない」というルールを家族で決めて取り組み始めました。が、やってみるとなかなか難しい。

人間側に起こる心理的な葛藤としては、、、
・あんなに鳴いていて、何かを求めているのに可哀そう
・助けを求められているのに対応しないなんて、自分は冷たいのでは
・鳴き声がご近所さんに聞こえて迷惑をかけてはいけない

興味深いのは家族の中でこの葛藤への対応傾向が異なることです。
パパ(僕)と長男は「決めたルールだから仕方ない」「いま我慢することで将来的には皆にとって良い状態が実現する」と考えるのに対して、ママと長女は「やっぱり可哀そう」「隣のお家に聞こえていたらどうしよう」と思う傾向があります。

n=4なので、これを男女による違いと言ってよいかどうか分からないけれど、様々な研究者が言及している、規律を求める男性と共感を求める女性という対比がクッキリと出て面白いなと思いました。
以前読んだこの本にもそのようなことが書いてありましたのでご参考まで。
『共感する女脳、システム化する男脳』

しつけの基本③嬉しいをなくす

増やしたくない行動への対応は「応えない」わけですが、「それはアカン」という行動に対しては、もっと厳格な措置を取ります。
特に人の手を噛んだときは、それが良くないことであることを教えるために、即座に遊びを終了して、「嚙んだら嬉しいことが無くなる」と教えます。

昔は子ども対するしつけでも、身体的・精神的な苦痛を与える、つまり「罰を与える」という考え方があったわけですが、今は犬に対しても推奨されていません。一時的には行動変化への効果があるものの、長期的には信頼関係が崩壊し、心の交流が閉ざされてしまう可能性があるようです。
あくまで「快が無くなる」という体験をさせるのであって「不快を与える」のではないと。

最近は甘噛みすることも減ってきたのだけれど、たまに人に対して鋭く「ワン!」と吠えるときがあります。そのときは「はい、終了ー」という感じで遊びを終わりにしてサークルに入れます。そして、明かりを暗くして部屋から出ていくことにしています。
自分としては「快が無くなる」という体験をさせているつもりだけれど、そらからすると「罰が与えられた」ような気持ちになっているかもしれません。

この差異はなかなか難しいように思います。その行動によって快の度合いがネガティブに変化するという意味では同じなわけです。「プラスがゼロになる」のと「ゼロがマイナスになる」のは相対的には同じことを意味するかもしれません。脳内の分泌物質レベルで何が起きているのか、もっと探求してみたいと思います。

後半へ続く

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