代表のNoteで振り返るホーム最終4戦
初めてのJ2シーズン。最終戦1試合を残していわきFCは「残留」を勝ち取った。残留という状況を「勝ち取った」と表現するのはもしかすると間違っているのかもしれないが、心情的には「勝ち取った」と言っていい。2016年からの挑戦の中で、初めて監督交代に踏み切り、おそらく表面に出ていない苦労も多かったはずだ。J1経験クラブを含み、かつて対戦したどんなクラブよりも高い技術を持つ選手、戦術を持つライバルとの対戦の中で、残留出来たということは誇っていい。あと1試合の結果がどうあってもボトムハーフからの来季スタートは間違いないし、最下位からのスタートとなるかもしれない。けれど、僕たちは県リーグから這い上がってきた。これまでと変わらない。改めて今年いわきFC公式が投稿したNoteを読み返す中で、9月下旬に投稿された大倉代表の文章が印象に残った。「残留」を決めた現時点から文章を振り返ってみたい。
まずは大倉代表が9月に投稿した文章を読んでみたい。
残り7試合時点で勝点は37。獲得できる勝点は試合数と同数というデータが示す通り、残り1試合を残す現段階での勝点は44。丁度7ポイント上積みした計算となる。最終の藤枝戦では勝点3をさらに上積みし、データを上回って2023シーズンを締めたい。
ホーム最終戦のモンテディオ山形戦では5044人を達成。この時点ではジュビロ磐田戦での5039人が最多だったが、5人上回る歴代最多入場者数を更新した。同Noteではタイトルを「グリーンフィールドを満員にしたい」としていることからも分かるように、記事の主軸を「動員」に置いている。残り7試合、降格圏ギリギリの状態でクラブ代表が発表する文章でありながら「お気持ち表明」となっていない、まさに動員に向けたRelentlessな強い意思を表した。
続いて書かれたこの言葉は、素の言葉だろう。
山形戦後のホーム最終戦セレモニーの時に大倉代表が一番初めに発した「山形サポーターのみなさん、頑張ってね。まだチャンスあるんで。行けるぞ、頑張って。ありがとうございます、気をつけて山形までお帰り下さい」という言葉に繋がってるんだろうなぁ…と勝手に解釈している。それがいいか悪いかの評価は他者が決めることだけれど、サポーターの雰囲気と合わせて実に「いわき」らしくて良いと思っている。
そしてこの段階で、というか1試合ごとに課題を抽出しているのも特徴的だ。通信障害や車椅子席の不便さなど、記載の通りSNSの反応を確認しながら、潰せる物は貪欲に潰していく、少しづつクラブが成長していく姿が今年は特に顕著だった。車椅子席についてはある程度改善が図られ、2019年から試合会場に来ることが出来ずにいたサポーターと4年ぶりに山形戦で再会出来た。嬉しかった。通信障害については、まさに「早急にどうにかできないこと」の筆頭だったと思うが、どうか来シーズンは少しでも解消をしていき、QR決済やスムーズな入場に繋げてほしい。スタジアム周辺も決して広いとは言えない中で、QR決済の明確な導入は混雑解消に間違いなく繋がる。
実数と照らし合わせるとツエーゲン金沢戦が4,241人、ベガルタ仙台戦が4889人、清水エスパルス戦が4801人、モンテディオ山形戦が5044人となった。ベガルタ仙台戦、清水エスパルス戦が目標に到達しなかったわけだが、クラブスタッフ川崎さんのツイートをみるに、やはりかなり難しいことのようだ。
新スタジアムについては、様々な声を集めながらコンセプト作りを実施しているが、ではその間、5000人というキャパのスタジアムをどう活用して繋げていくかは大きな課題となる。最終3試合ではチケット発売と同時に完売となり、SNS上では「チケットありませんか」の声が数多く見られた。
とはいえ、現実的にハワスタの拡張は難
興味離れを含む。最大の課題として、来シーズン以降どうしていくかの方向性は待ちたい。
そして投稿は下記文章で締めくくられる。
ホームラスト4試合の結果は
金沢戦○
仙台戦△
清水戦×
山形戦×
という結果となった。わずか目標に及ばなかったとはいえほぼ満員のスタジアム、雰囲気は素晴らしかった。清水戦での大敗の中であっても選手もサポーターも最後まで諦めず、魂を息吹かせていたと確信している。1試合ごと見れば勝ち負けがあり、ホーム最終の山形戦では敗戦したものの大宮アルディージャの敗戦によってJ2残留を決めた。それでも、積み上げてきた44という数字があったからこその残留なのだ。
ホームラスト4試合で出された文章で語られたのが「動員」であるということ。その意味をもう一度考えてみる。
コロナ禍真っ只中の2021年だったと記憶している。スポーツやライブという興行に「動員する」ということが雰囲気的に憚られるような空気感があった。「一緒にいわきFCの試合行ってみようよ」という言葉を発することが難しいという話をしていた時に、あるクラブスタッフさんが「リーグが上限人数を決めたなら、それを集めるように努力します。大勢の観客がいることが熱狂空間に繋がりますから」とさらっと言ってくれたことがあった。
通信状態や車椅子など、出てきた課題に迅速に対応する、熱狂空間を演出する為に、常に最大の観客数をひたむきに目指し続ける。クラブ側の意思は明確だ。それが顧客満足度に直結する。ゴール裏に目を転じても、様々な変化がある1年だった。大旗が増え、コールリーダーを中心に小学生を含む若いメンバーが中心で鼓舞する姿に頼もしさを感じた。新規の人々の為に、出来る限り門戸を広く、敷居を低く、けれど熱狂的で安全で安心なゴール裏が形成されつつあると感じている。コールリーダーを中心としたみんなの努力に最大限の敬意を払いたい。さあ残り1試合。僕は現地には行けないけれど、多くの仲間たちが藤枝に乗り込み、最大限の応援をしてくれるはずだ。来季はより多くの仲間を集め、全ホーム戦で収容率100%を目指そう。Jリーグで一番小さなスタジアムが一番賑やかで、熱狂的で、世界一安全で温かなスタジアムとなることが既に楽しみでならない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?