みんなで余白を埋めていく
いわきFCの新スタジアムを検討するI.G.U.Pの第8回委員会が先日開かれました。この会では、発刊が予定されている「ビジュアルブック」の作製と、小学生~20代までの若者で組織されたユース委員のメンバーによる報告書提出の2つについて議論を深める予定でした。
でしたが、ユース委員からの報告書の出来があまりに素晴らしく、ユース委員からの報告や質疑を中心とした検討委員会となりました。
おそらく「新スタジアムの検討」と聞いて、多くの方は「どこに」「どんな規模で」「どんな設備で」出来るのかを検討していると思われているかもしれません。ですが、現在行われている「分科会1」ではスタジアムのコンセプトを中心に話し合っています。今回のユース委員による報告は、この「コンセプト」について提言しているものです。中身もさることながら現在進められている議論の方向性がどういったものかを知るのに、非常に分かりやすいと感じましたので、本noteで書いていきたいと思います。
まずはユース委員による報告書を読んでいただきたいと思います。
報告書を読んで感じたことを委員会に提出しました。
先に「現在行っているのはコンセプトづくり」と書きましたが、「立地」や「規模」や「設備」を先に決めるのではなく、コンセプトをしっかりと決める、というのが本委員会・いわきFCの進め方です。
分かりやすく「いわきFC」に例えてみたいと思います。「いわきFC」というクラブチームを作る時に、どんな順番でクラブを作っていったか、ということなのです。
最初に監督を決め、選手をセレクトしたでしょうか?おそらくいわきFCは最初にwebサイトに記載されている「ビジョン」「ミッション」「ストラテジー」から成る「フィロソフィー」を決定し、「いわきFC」という名前を付け、そのフィロソフィーを達成するに見合う選手、スタッフを集めていき福島県2部リーグに参入していったはずです。
だからこそ、田村監督のコラムにあるように、また大倉代表が常々発信しているうにJ2にいるこの瞬間までブレることなくフィロソフィーを土台にした「カルチャーづくり」や「フィロソフィーに立ち返る」などの根幹を、とにかく重要視した結果が、今に繋がっているのではないでしょうか。
スタジアムも同様です。最初にスタジアムのコンセプトやフィロソフィー、ビジョンをしっかりと決める。スタジアム完成までの間には様々な紆余曲折があるはずです。いわきFCがJFL1年目のシーズンに経験したように、困難に当たることも当然あるはずです。その時に立ち返るべき、ここだけは譲れないポイントとなるのは、規模や立地、設備ではなく「どんな意図をもって」「どんな願いを込めて」「どんな未来を夢見て」作るのか、というコンセプトに他なりません。
第1回の検討委員会の時に大倉代表が言いました。
「いわきFCを好きだ、興味があるという人は恐らく3割。残り7割の人は興味がないです。その人たちをどう振り向かせるかが重要」と。
「ライセンスが取れなからスタジアムを作る」では賛同は決して得られません。個人的には、だから社会問題解決に繋がるなどの明確なメリットが必要と感じていたわけですが、一方でこの報告書に込められた「誰もがワクワクするような視点」や「本当にこんな未来になったらいいなぁという観点」が抜けていたのではないか、と感じました。
「こんなのあったらいいなを、いわきFCと一緒につくる」
最初のユースフォーラムで提示されたこのお題を突き詰めた結果が、今回ユース委員のみなさんが出してくれた報告書となります。こんなスタジアムだったら人が集まる、そして地域が盛り上がる。こんなスタジアムだったら誰もが気軽に訪れることが出来る、そして出会いが生まれる。こんなスタジアムだったらビジターチーム、サポーターも含めて誰もがまた来たくなる、そして地域が賑わう。このキラキラとした報告書を是非一度読んでいただけたら幸いです。
そして今回の報告書を見ても、まだまだ「余白」がたくさんあります。書いてきたことと若干矛盾するかもしれませんが、ガッチリ決まってしまうと「あぁそいうのが出来るのね」「そういうコンセプトなのね」で終わってしまいます。余白に関わり、埋めていくのはいわきFCに関わる全員です。様々な意見募集やSNSでの発信、「俺の意見を聞け!!!」でもどんどん関わって、声が多ければ多くなるほど、みんなの力で余白が埋まっていき、「自分たちの思い」が詰まったスタジアムに繋がります。
そんなことを通しながら、若いみんなが報告書冒頭で記載してくれた「この報告書には、私たちの夢と希望が、未来が詰まっています」を叶えていってあげたいと、心から願っています。
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