見出し画像

静かな終わり

「私の人生もそろそろ終わりに近ずいている。」とメモリーは独り言ちた。
「さて、我が人生で最も美しかった時はいつのことだろうか?」メモリーは可能な限り自分の人生について想いを巡らし回してみた。
「少なくと私は美しい人生を送ることができた。」それがメモリーの自己の人生に関しての印象の一つだった。
「そして、波乱万丈でもあった。」そしてメモリーはジョセフという名の男のことを想い出した。彼はメモリーにとって初めての恋人でかつ初めて愛を交わした人物だった。「あの瞬間は私にとって最も美しかった時の一つに間違いない。」ジョセフとはその後別れ、今彼がどこにいて今何をしているのかもわからない。そもそも未だ生きているのかさえも不明。そしてメモリーは長い人生において結婚をしたことがない。だから自分の子供というものがいない。それがメモリーにとって自己の人生における悔恨の一つだった。メモリーは仕事に忙しすぎた。だからこそ波乱万丈の人生だったのだが。今の私を取り巻く環境は全てと言っていいほど必然的に自分でつくりあげたものの結果だ。だから不満を言う権利はない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?