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【読書記録】アドラー心理学見るだけノート/小倉広

2023年1月2日〜4日

この本を購入したのは、ずいぶんと前のことでした。
ざーっと斜め読みして、その後は得意の積読本に。

この頃は発達障害についての本を買い漁っていたのですけれど、こどもの問題行動を調べているうちに『アドラー心理学』に行き当たったのでした。
ちょっと難しそうな入門編のような本と、イラストを交えてわかりやすく紹介してある本書と、確か二冊購入したのだったと思います。


当時は、娘の心理を探りたくてこの本を手にしていたので、参考にしたのは主にChapter6の『健全な「家庭環境」の築き方』の頁でした。

今回、Chapter1から自分ごととして丁寧に読み直して、いくつか感じたことがありましたので、記録しておこうと思います。


Chapter1『アドラー心理学の基本理念を知る』より

・「共同体感覚」の構築が最終ゴール

 家族や友人、職場などのコミュニティの中で自分が役に立っていると言うことが幸福感を高める。

→私が長年独身でいる中で、自由に飽きていたことの裏付けとなる理論だと思いました。
 何でも自分の好き勝手できることは、ときに虚しさを伴うと思っていたのです。


・自身の不遇は置かれた環境のせいではない

 生まれつきのハンデや環境などは性格の影響因にすぎず、結果や行動の決定因とはいえない。

→母が亡くなった小学生のころから、自分自身を苦しめた考え方を思い出します。
 家庭環境が人と違うことで自分は幸せになれないのだと言う思考に囚われていました。
 娘を含め、無意識にそれに影響を受けて行動をしている人たちにはぜひ早めに知ってほしい内容だと思います。

Chapter2『「心」に負のスパイラルが生まれる仕組み』より

・あらゆる行動には目的があることを理解する

 人間の行動にはすべて目的があり、その目的を達成するために感情を作り出している。

→私が、新生活が始まってから1年以上、叱ると称して娘に対して怒りを露わにしていたのは、まさにこれだったのだと理解しました。
 支配したいと思っていたわけではありませんが、ウチのやり方に慣れてほしいと言う気持ちはありました。
 生まれたときから同じ家で暮らしていれば、自然と身につけたであろう自分に似た価値観が、他所の家庭で育った娘にはない。
 仕事をしながら急に子育てを始めた私には、その、娘の価値観を丁寧に知りながら擦り合わせをする余裕がなかったのです。
 乱暴なやり方で申し訳なかったと言うことは、娘がもう少し大きくなったときにきちんと伝えたいと思います。
 そして、最近あまり怒りを感じなくなったのは、娘の成長もありますが、お互いの価値観が似て来たからでもあると思いました。

Chapter4『「対人関係」をより良くする方法』より

・似て非なる「信頼」と「信用」の違い

 適切な行動を取れば信じ、不適切な行動を取ったから信じないといった考えは「信用」、相手がどんな行動を取ろうと、そこには善意が潜在していると捉えることが「信頼」

→対こどもとの関係の中で、この二つを分けず、誤って伝わる方法を取っていることが多いと感じました。
 最近になって「本当はツムギはいい子なのに、どうしてそんな嫌われるような言い方をするのかわからないよ?」と話したときに、スッと心に入っていったように感じたのはこのことだと思いました。
 以前は「そんな言い方は嫌だわ!」と不適切な行動を取る子は嫌いだと言うような言い方をしてしまっていました。
 実際、私自身が、まだツムギに信頼を置けていなくて、信用するかしないか、様子見をしていたようにも思います。

・互いの課題を明らかにしたら境界線を越えない

 こどもに勉強をするよう促すことは親の課題だが、勉強はこどもの課題である。

→これは目から鱗でした。
 確かに、親は自分の課題を越えて、こどもの課題にまで言及しがちです。
 こどもの課題はこどもにしかできないから、思い通りに動かないこどもに腹が立ちますが、自分の課題である「こどものサポートをする」ところまでを終わらせれば、自分の仕事は終わりと割り切ればいいのだと気づきました。

Chapter5『「仕事」で人を効率的に動かす方法』より

・アイメッセージとウィメッセージを使おう

 主語が「私」のアイメッセージを使えば、服従の意図を排除できる。

→これは子育てではよく言われることのようで、私も試したことがあります。
 ただ、この言い方は、ツムギには回りくどくて伝わらないようなのです。
 そもそも『こどもは母親が大好き』の基盤がないから、「私、ツムギがそういうことすると悲しいわ」と言われても「へぇ」で終わってしまうのか。
 もしくは、相手の気持ちを想像するのが苦手な特性があるこどもには、この手法は向かないのか。
 ただ、アイメッセージは伝わりにくくても、ウィメッセージなら応用できるかもしれないと思いました。

Chapter7『「人生」をより豊かにする方法』より

・所属感こそが人間の根源的な本能

 生命体として生き続けていくこと、その欲求よりも、この世に所属する欲求の方が強い。

→これがアドラー心理学の総まとめと言えるかもしれません。
 パートナー、家族、同級生、同僚、趣味の仲間、などなど、人によって所属感を持つ場所は複数あったり、異なったりすると思いますが、何よりこの世の中に所属しており、自分が役に立てていると感じられることこそが、生きている幸せを味わえることなのだと思います。
 アドラーは「問題行動を起こす子どもたち、犯罪者、神経症者、アルコール依存症者などは、勇気をくじかれているからこそ共同体感覚も欠落しているのである」と言っているそうです。
 こどもとそれ以降の人々を同列に挙げていることは納得がいきます。
 問題行動を起こす娘を見ていて、犯罪者になってしまうのではないか?と、不安に思ったことがあるからです。
 ただ、こどもに所属感を持ってもらうことはできるような気がすると思いました。
 先にも言いましたが、娘の問題行動が減ったのは、娘の成長もありつつ、この共同体感覚を、我が家で持ち始めてくれたのではないかと思いました。


一冊読み終わった後に、印象に残っていた部分を抜き出してみましたが、娘の子育てにも、自分自身の人生の答え合わせや残りの時間の過ごし方にも、広く応用できる内容でした。

見開き一頁ごとに、イラスト付きで簡潔に構成されているので、パラパラと気になった頁を読み返してもよいと思います。

一気にもう一冊も読んでしまいたいのですけれど。
読んだらまた、感想書きます。

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