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コンサル→スタートアップを経た非営利セクターでの経営企画 / 2023年経営企画アドベントカレンダー

一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームの山田です。「経営企画アドベントカレンダー」(https://note.com/beonecollege/n/n03c5687fd6f2)の一執筆者として、地域×教育を軸に活動するソーシャルセクターの経営企画に関する記事を執筆します。本日は「経営企画アドベントカレンダー」の3本目の記事です。


はじめに

(一財)地域・教育魅力化プラットフォームは、「意志ある若者にあふれる持続可能な地域・社会をつくる」ことを掲げ、地域と教育のみらいをつくる事業を展開しています。

中心的な事業の一つである「地域みらい留学」は、中学3年生が圏域を越えて全国各地の高校へ進学する機会を提供しています。その「留学」を通じ、「地域のみらいを自分でつくる」という志を芽吹かせた意志ある若者が育まれていくことを目指しています。

今ここに居て思うこと

少しだけ私のキャリアについてお伝えさせてください。私は、新卒でデロイトトーマツコンサルティング合同会社に入社し、コンサルタントとしてキャリアをスタートしました。入社2年ほど様々なプロジェクトに携わった後、入社当時はあまり希望していなかったパブリックセクター(地方公共団体や中央省庁をメインクライアントとする部署)に所属し、まちづくり・地方創生を中心に様々な地域のみらいを考えるプロジェクトや、社会的インパクト創出に関わるプロジェクト等に従事しました。

デロイトトーマツコンサルティングに6年ほど在籍した後、同期が立ち上げた株式会社あしたの寺子屋という教育スタートアップ企業にCOO(最高執行責任者)として参画しました。数名ほどのメンバーで日々もがきながら、方針を転換しながら、組織・事業を立ち上げるやりがいと苦労を経験しました(と、あっさり書くには惜しいほど様々な出来事がありました)。

その後、今在籍している(一財)地域・教育魅力化プラットフォームに経営企画部のマネージャーとして参画しました。経営企画を担いながら、営業部のマネージャーを兼務したり、新規事業開発に着手したり、ファンドレイズを行ったりしています。

キャリアを振り返ってみると、どこの組織でも役割や役職を持って入ったものの、結果的には役割や役職に限定せず、その時その場で必要なことを与えられ、自ら考えて役割を変えながら走り続けてきたという感覚があります。そして、そうやって培ってきたことが今の経営企画としての在り方や考え方に大きく影響していると感じます。

経営企画とは一体何か?

経営企画というのは捉えどころのない存在だと思っています。また、世の中一般で言われている経営企画の役割を見てみると、どうも矮小化して捉えられているように感じます。

一般的に経営企画とは、事業計画の策定や管理、市場動向や競合企業に関する調査分析等を行うとされています。確かに、全体としてそういう業務を行っていることは多いものの、どうも説明としてしっくりこないなと感じています。

前述したようなキャリアを歩んできた私だからこそ考える経営企画とは、「組織を前に進めるためのあらゆることに取り組む存在」だと考えています。「組織を前に進める」とは、その組織が掲げるビジョンの達成や解決したい課題に対するあらゆることに取り組むことを意味しています。つまり、その時その場で必要な役割に自らを変えながら、組織の今とみらいを考えて動くのだと思っています。こう思えたのも、キャリアの各段階において、組織の中で自らの役割を外圧によって変えざるを得ないことも、自発的に変えてきたこともあったからだと感じています。

そういった中で計画策定を主として行うこともあれば、事業管理を行うこともあります。一方で、経営企画業務としては想像しにくいかもしれませんが、事業部にぐっと入り込んで推進を担うこともありますし、組織開発を担うこともあります。そのため、「経営企画とはこういう業務を行う存在だ」と説明することは、矮小化して捉えているようにならないのです。

とある方と経営企画について話していたとき、その方は「経営企画とは名前の付いていない仕事に名前を付けることだ」と言っていました。言い得て妙だなと思いました。誰も拾っていない仕事を拾い上げ、形にしてどこかの部署に渡す役割を果たすのも、経営企画としての重要な役割の一つだと思います。

経営企画として日々意識していること

「組織を前に進めるためのあらゆることに取り組む」ために、私としては以下の3つのことを意識しています。

①間を埋める
②側をつくる
③組織の思考をアップデートする

一つずつ順番に説明していきます。

経営企画の流儀①間を埋める

私は、スポーツ選手やスポーツチームから経営や組織に生かせる示唆を得ることが好きです。「間を埋める」というのは、元サッカー日本代表の長谷部誠選手の考え方に影響されています。

日本代表時代、長谷部選手は数々の「間」を埋めてきました。ピッチ内ではボランチというポジションで攻撃陣と守備陣の「間」に立つ役割として、ピッチ外では選手同士の世代の「間」を繋ぐ存在でした。

翻って、組織の中で「間を埋める」というのは、経営と現場を繋ぐことだったり、事業推進上で足りないケイパビリティを補填することだったり、人手不足のところに手を貸すことだったり、経営層の頭の中にない情報や視点を提示することだったりします。

前述した通り、私は営業部のマネージャーを兼務しているのですが、これはまさに「間を埋める」という行為の一つだと思います。その際に意識しているのは、その事業部の一員でありながら、経営企画という全体を見る立場であることを両立することです。「泥臭いことができる人は何か?」という井原真吾さんのnote記事(https://note.com/dshingo/n/nc0d45928fff1)で、「自分の考える「泥臭いことができる人」とは、『「実行」しながら「戦略」「戦術」にフィードバックできる人』だと考えています」と書かれています。こういう視点を持って事業部にぐっと入ることが、経営企画として大事な意識ではないかと思っています。

経営企画の流儀②側をつくる

私は、アイドル、特に坂道シリーズ(乃木坂46・欅坂46/櫻坂46・日向坂46)から経営や組織に生かせる示唆を得ることが好きです。「側をつくる」というのは、乃木坂46のチームづくりから私なりに考えていることです(念の為に補足すると、乃木坂46が「側をつくる」ということを言っているわけではありません)。

以前から、「乃木坂46のような組織をつくりたい」と言い続けてきました。乃木坂46には、在籍メンバーが活躍しやすい環境が整えられていると感じています。それぞれのやりたいことや特性に沿って仕事が選ばれているように感じており、例えば、ドラマや舞台で活躍したいメンバーにはその機会を、バラエティで活躍したいメンバーにはその機会を設けるといったように、グループに在籍しているときに最大限に輝けるように、グループ卒業後も輝き続けられるように「側」をつくっているのではないかと思っています。

また、乃木坂46は、良い組織文化が醸成されていると感じています。グループ結成当初は「AKB48の公式ライバル」として活動していたものの、2015年頃からは「乃木坂らしさ」をメンバー自身で考えるようになり、外部との比較や競争ではなく、自分たちの在り方をつくり上げていくプロセスを辿っていたように思います。そうしてつくり上げた組織文化が、今もメンバーが活動しやすくなるための「側」になっていると感じています。

翻って、「側をつくる」というのは、その組織に属する全ての人たちを動きやすくするための環境づくりを意味しています。それが制度設計することだったり、会議体を運営することだったり、組織の中に雑談を増やすことだったり、手段は無数に存在します。

今、経営企画として組織開発のようなことにも取り組んでおり、その際には「側をつくる」という意識で臨んでいます。あらゆるメンバーが「事業や顧客と真剣勝負している時間」を多くするための環境づくりを意識しています(株式会社Momentor代表の酒井風太さんの言葉をお借りしています)。人や組織に対する内向きなエネルギーを使うのではなく、本当に我々が成すべきことに集中できるようにしたいと思っています(付言すると、人や組織のことを考えるのが悪だと言いたいわけではなく、そのためにエネルギーが浪費される状態を避けたいと思っています)。

ちなみに、ご興味がある方は、私が書いたアイドル論について以下のnote記事もご参照ください。
https://note.com/keiyamada/n/n6fd2377dd2f3

経営企画の流儀③組織の思考をアップデートする

最後に、最も大事だと思っているのは「組織の思考をアップデートする」ことです。組織とその中にいる人は、日々新たな学びを得たり、刺激を受けたりして、その思考をアップデートしないと衰退してしまうと思っています。

そのため、経営陣に気付きを与える情報を入れたり、現場で動いているメンバーに視点を変える情報を提供したり、組織全体に対して普段は触れない情報を共有したりすることが大事だと思っています。また、その前提には、自分自身が外部との繋がりを強く意識し、思考をアップデートし続けることが大事だと考えています。

卑近なことで言えば、社内情報共有ツール(slack等)に情報を流すことも組織の思考をアップデートするアクションの一つだと思っています。外部情報に触れ、その情報の中から「組織を前に進める」ことに少しでも寄与する内容を流し、メンバーの誰かの気付きや学びに繋がればいいなと思っています。そうして小さくとも思考をアップデートし、行動をアップデートすることに繋がれば、組織を前に進め、社会を前に進めることに繋がると信じています。

また、会議中にどういう視点でどういう発言をするのかも大事だと思っています。今自分自身ができているかは一旦棚に上げますが、ここでも常に「その人にない視点で意見が言えているか?」「その人の思考を前に進める問いを投げられているか?」といったことを意識しています。そうして一つひとつの会議の質を高めることが、組織の思考と行動をアップデートし、社会を前に進めることに繋がると信じています。

おわりに

経営企画というのは捉えどころのない存在だと思っています。だからこそ、その人自身の経験と感性が表出する存在なのではないかとも思っています。これからさらに研鑽を積み、新たな経営企画キャリアを築いていく所存です。

(関連リンク)
・経営企画アドベントカレンダー1日目 / ABCash Technologies伊藤修次郎さん
https://note.com/shujiro_ito/n/nf7b0cc435377
・経営企画アドベントカレンダー2日目 / スマートキャンプ森友也さん
https://note.com/moritomoya_sc/n/n4f322bcfbb60

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