アート表現 - 私の頭の中
アート表現 最終回です。今回は ”私の頭の中” を少し紹介します。
誰も描いていないカタチを自分のものにしたい。自分だけの表現をしたい。私はいつもそのように考えています。
新しいモチーフをテーマにしたとき、そのモチーフを調べる。基本のリアルな姿を描いてみる。
エンジンがかかるのは描き始めてから2か月ほど後のことです。
アジサイとヒマワリを描き始めると、私の頭の中はアジサイとヒマワリでいっぱいになる。すると、いろんなところからアジサイとヒマワリが現れる。
ひび割れたアスファルト 砂利道 雨の後の乾き始めた舗装 塀、壁、タイル 高層ビルの窓…
どれも、今までにない新しいアジサイやヒマワリが湧いて出る。
それを描き殴る。
アイデアはどこにでも転がっています。
どちらも300枚のデッサンができた頃には、もう何を見ても何も湧いてこない。映像は跡形もなく消えてしまう。600枚もあれば、一生かかっても作品にはできないが…
そして、次のモチーフを考え始めたらアジサイもヒマワリも描けなくなってしまうのです。
ある有名な画家に「これだけたくさんの椿を描いたら、もう何も見なくても描けるでしょう?」という質問をした人がいたという。
その画家は、「いいえ、描いたら全部頭から消えてしまい、また、実物を見ない限り描けないんですよ。」と答えたという。
当然のことだと思います。
私の場合は、実物を見ないで描くことも多い。だから、自由な曲線や表情やポーズが浮かぶ、時がたつと全てが消えてしまうのは、どうやら同じらしい。
あなたも、そこまで描くと同じ現象が現れるかもしれませんよ?
次回から紙選びについてお話ししましょう。お楽しみに!
林 敬三
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