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なにがなんですさかい

ペンネーム ミスター.K

京都に住んでるころ、階下に降りると
管理人のお婆さんが近づいてきて、おっしゃった
「なにが…なんですさかい…なんでしゃろ?」

即座に「今月の家賃が、まだなので、支払ってもらえますか」という
意味だとわかった。「すいません、すぐ用意します。」と言うと、
お婆さんは満足そうに微笑んだ。

すごいなと思った。
何一つ具体的にしないで内容を伝えるのだから。
これが噂に聞く京の言葉文化なのだろうかと。

ひところ、「NOといえる日本人」という本が話題になった。
世界に対して日本人は自分自身の権利や意見をはっきり主張すべきで
あると論じている。逆に言うと、日本人は物事を、特に意見を述べる
際に、曖昧にしていることを問題視している事が根底にあるのだろう。
著者の主張の意図も頷ける部分は多いが、しかしそれこそ「はっきり」
と断定口調で主張されるのも正直どうかと思ってしまう部分もある。
物事にはグレーゾーンも緩衝空間も必要な時があるわけだし。

『曖昧』と『はっきり』と、どちらがいいと決められるわけではなく、
その内容の重要度、相手、状況、時期によって使い分けるのが賢明な
のだろう。
しかし、人間そんなに簡単に迷わず使い分けをするのも難しいと思う。
まずい状況で思わず本音を言っちゃったり、本音を言えず「どうでし
ょう…」なんて言葉を濁したり。

結論らしき事を述べられないまま本章を終えたいと思います。
なにせ、なにが、なんですさかい…なんでっしゃろ?

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