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電気のおはなしその5・力と加速と質量と(その2)

前回、

加速度と、物体に働く力Fは比例する。
加速度と、物体の重さは反比例する。

(略)
上のほうでは、mを「質量」と呼んでいたのに、ここでは「重さ」になっているのは、意図的にやっていることです。後ほど、説明したいと思います。

なんて書いちゃって失敗しました。質量と重さの違いを説明しなくちゃいけなくなったんだもんさ( ゚Д゚)

…という茶番劇はさておき、電気に限らず物理学の勉強をしていて「なんだか良く分からないもの」の筆頭かもしれない、「質量」について最初に話すことにします。
とはいえ、質量っていうのは、キログラム原器というオモリを用意して、

コイツを1kgってことにしよーぜー!

とやったのが元ですから、もうそれ以外の何でも無いんです。でも、それをスタート地点として、次々に話をつなげていくことができます。
まず、地球上では、物体は地球に引っ張られて、手を離せば地球表面に落ちていくという性質を持っています。これは誰でも知っている通りで、「万有引力」なんて呼んでいます。そして、同じ材料で作ったものであれば、量が多いほど地球に引っ張られる力も強くなります。「力が強い人は、重いものを持ち上げることができる」のはみんな経験的に知っているわけですが、その理由は、「物体を地球が引っ張る力よりも強い力で地面の反対側に引っ張ることができるから」なのですね。言われてみれば当たり前の話ですが、その理由まで考えたことは無いんじゃないでしょうか。このように、物体を地球が引っ張る力のことを「重さ」と呼んでいます。

物体を地球が引っ張る力のことを
「重さ」と呼んでいます。

経験上、1kgの物体を2倍の2kg、3倍の3kg…と増やせば、それに比例して重さも増えることはみんな知っているとおりです。
じゃあ、「質量」って何なのでしょうか。物理の教科書とか、何かの資料とかを見ると、

質量とは、物質そのものの量である

なんて書いてあって、「だーかーらー!その『量』って何なのよ!ムキー!!」ってなるのですが、これは要するに

人間が最初テキトーに決めた「1kg」というオモリの何倍か

ってことなんです。その基準となる1kgのオモリを地球が引っ張る力と比べて、自分の目の前の物体が全く同じ力で地球に引っ張られているとすれば、その目の前の物体を「質量1kg」と呼ぶわけです。
話をちょっとだけ電気にもどすと、電子一個の質量は「9.1×10^-31[kg]」ということになっているので、

電子を約109776910000000000000000000000個集めて重さを量ると、1kgのオモリと同じ重さになる

ということが分かるんですね。

よく、「重さは地球上か月面上かで変わってしまうが、質量はどこに行っても変わらない」なんてドヤ顔で語られたりして、「そんな事言われたって余計わかんねぇよ!」

・⌒ヾ(  ゚⊿゚)ヤーメタ

ってなるんですが、それがどういうことなのか、っていうのは、ここまでに書いてきたとおりです。
バネ秤っていうのは、「物体を地球が引っ張る力」を測定し、その値から「あー、こんだけの力が掛かっているということは、質量で言えば1kgね」と換算し、kgで目盛りが振ってあるわけなのですね。
したがって、1kgの質量の物体とバネ秤を月に持っていくと、月が物体を引っ張る力が地球上より弱くなってしまうため、バネ秤は「うーん、こんだけの力が掛かっているということは170gぐらいだね」と換算して、1kgの1/6ぐらいのところを指すわけです。
いっぽう、「天秤は地球上でも月面上でも正しい値を指す」なんて言われますが、天秤というのは、片方の皿に乗っている1kgの質量の物体を地球が引っ張る力と、もう一方の皿に乗っている1kgの質量の物体を地球が引っ張る力を比べて同じだよー、ということを示すモノですから、地球上だろうが月面上だろうが1kgと釣り合うのは1kgなのです。

本当はこのあと、重力質量と慣性質量の違いとか、ピサの斜塔から物体を落下させた実験とか、ニュートンのリンゴとか(あ、これは話すかも)色々と話したいことはあるんですが、電気の主題から離れすぎてしまう内容については、別途また違う道筋で書いた方が良いんじゃないかなと思ってます。

でも本当、電気の性質をちゃんと理解するためには、力学の基本が分かっていないとダメなんですよね。電磁気学のクーロンの法則にすらまだ入れませんもの。
とりあえず、力と質量と加速度の関係は最低限書いてきたかと思うので、次は「作用反作用の法則」から「場」の話をして、その次に「仕事」と、まだまだ力学中心の話をしていきたいと思いますよー。お楽しみにねー。んがっくっく。

以上。

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