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意見を伝えてもらう為に必要なリーダーの姿勢、発言

「わたしの下す詔勅(※皇帝が出す命令)に、もし妥当適切を欠く点があれば、遠慮なく意見を申し述べるべきだ。・・・指示したことをはいはいと受け入れるばかりで、いっこうに諫言してくれる者が見当たらぬ。まことに嘆かわしいことだ。たんにわたしの下した詔勅に署名をし、下部に文書を流してやるだけのことなら、どんな人間にもできる。」(貞観政要、政体編)

中国古典のリーダーの在り方について書かれた貞観政要の一節です。長文の為、現代語訳の一部抜粋になります。この一節は中国・唐の太宗が政治の中心を担う人材達に呼びかけたところです。

現代でも、組織の中でよく見かけませんか。社長や上司が「こうしていきたい」と言っている一方で、社員や部下が見えないところで「あんなことを言っているけど、うまく行くはずがない」と言っているシーンを。

それも組織の中でかなり上の立場でありながら、社長や上司の考えを忖度して、諫言(うまく行かないことを伝え、止めること)しないことが多々あります。否、上の立場に行く人は社長や上司の考えを忖度するのがうまい人が多いので、余計言わない人が多いかもしれません。

そういえば、ウクライナ侵攻の直前、ロシアのプーチン大統領が政府幹部を集めた会議が放映されていましたが、誰もプーチン大統領に諫言する人はいませんでした。その結果が現在のウクライナ情勢に繋がっています。

このような時に諫言が行われるようにするにはどのようにすればよいのでしょうか。もちろん、社員や部下が諫言することが自分達の責任だと自覚することも大事だと思います。しかし、それだけで十分なのでしょうか。

プーチン大統領と政府幹部との会議では、実はある政府幹部がプーチン大統領に反する発言をしそうになりました。そうした所、プーチン大統領が威嚇するような姿勢、発言をした為、その政府幹部は尻すぼみとなりました。このプーチン大統領の姿勢、発言がなければ、もっと政府幹部は諫言していたかもしれません。

つまり、諫言をしてもらうようにする為には、それを受け取る社長や上司の姿勢や発言も重要なのです。そうでなくても社員や部下にとって、諫言することはとても勇気がいることです。そこですぐに反論されたり、感情的になられたらどうでしょうか。その後の人事に影響があったりしたらどうでしょうか。もちろん、誰も諫言しなくなります。

まずは諫言された時は社員や部下の話に耳を傾けるべきです。まずは話を最後まで聞きます。その上で、もちろん正しいと思えば受け入れるべきですし、違うと思えば、そこは感情的にならずに理由を付けて違うということを伝えるべきです。そうすれば、社員はまた必要な時に諫言するのではないでしょうか。

「なぜ自分に対して意見を言う人がいないのか」と思った時は、太宗のように諫言を求めることも大事ですし、加えて、実際に諫言があった時の姿勢や発言にも注意を払いたいものです。

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