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いろどりの教え方/文型ドリルをしちゃいけないならどうやって口慣らしすればいいの?

『いろどり』や『まるごと』みたいなタスク重視の教科書に関して、「どうやって教えるの?」という質問を、よーーーく目にします。質問者の気持ちとしては、オーディオリンガル法しか教わってなくて使い方が分からないということだとお察し致します。僕も養成講座の実習はオーディオリンガルだけでしたので、いろどりでの授業は最初は試行錯誤でした。

その質問の中でよく見る言葉が、「いろどりの教え方の講義で、国際交流基金の人が『文型ドリルはやっちゃダメ』って言ってた」というもの。僕もそれ聞きました。じゃあどうすりゃいいのって言うのが以下。

タスク達成の目的に合った練習。例えば、

先ほど「文型ドリルはやっちゃダメ」と書きましたけど、僕の受け取り方は「タスク達成に関係ない文型ドリルはしない」です。つまりやるならタスク達成に関係あるドリルをやればいい。もちろんタスクによりますけど、僕が初級前半段階で良くやるのはサークリングという方法です。

サークリングは"circling"とか"circle of questions"と調べると出てきます。"TPRS"という教授法の一部として使われていることが多いです。サークリングと似たようなものに「問答法」がありますが、理解確認よりも音に慣れるのが目的なので、問答法のように複雑な質問はしません。

A「たろうさん、あさごはん、何を食べますか?」
B「いつもパンを食べます」
という会話があった時に、オリジナルの方法では、1、答えがyesになる質問、2、二者択一の質問、3、答えがnoになる質問、4、疑問詞を使った質問をします。このうち2の質問は日本語だと不自然になってしまうので、僕は2を省いています。例えば、
1-T「たろうさんはいつもパンを食べますか?」
3-T「たろうさんはいつもごはんを食べますか?」
3'-T「たろうさんはあまりごはんを食べませんか?」
4-T「たろうさんはいつも何を食べますか?」
と質問します。学習者は1の質問に対して「はい、たろうさんはいつもパンを食べます」と答えてもいいし、「はい」とだけ答えた場合でも教師は「はい、たろうさんはいつもパンを食べます」と必ず繰り返します。繰り返すのは、出来るだけ繰り返し聞かせることが目的の一つだからです。

『いろどり』内での練習はシャドーイングがメインですが、シャドーイングが苦手な人や、シャドーイングがつまらなくて続けられない人もいます。(むしろシャドーイングを根気強くできる人は自分で学習できます。)そんな場合に、このサークリングは、「たくさん聞く」「対話の中で練習する」という『いろどり』の特徴を崩さずに、特定の単語や文法にフォーカスできる方法としていい方法だと思います。練習のバリエーションも増えるので、学習者のモチベーションも上がります。

補足。タスク重視の教授法でのドリルはそもそも、

どんなドリルうんぬんの前に、滑らかに言えることはタスク達成に必要なのかという議論もあります。究極をいえば、たどたどしくても自分に関係するものだけ言うことができれば、初級前半においてはタスクの達成ができるからです。

これに関しては、学習者の環境によります。日本在住の学習者で、とくにかく自分に関することを言える聞けるようにするという場合は、特定の単語をほぼ丸暗記をしてフレーズを言うことができれば、タスクが達成されます。しかし海外在住の学習者の場合、すぐ使って満足感を得るということができないので、学習の継続のために、滑らかに言えるようになったという達成感や練習の満足感が必要だと思います。

それつまり海外在住者に『いろどり』を使うのはーっていうのはまた今度の話にしましょう。

みなさんはいろどり使用時、追加練習していますか?どんな練習をしていますか?よかったら教えてください。では。


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