マリモナカ

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    マリモナカの投稿した自作詩です。

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    さまざまな詩の朗読を行っています。 よければ聞いていただけると嬉しいです。

最近の記事

神社のベンチ

アイスクリームが溶けるほど 暑い夏の日 街中にぽっかりと佇む 神社のベンチで一休み 木漏れ日は柔らかく 風は優しく汗を乾かす だけど前触れなしに吹いた突風で 舞い上がる砂嵐に目が染みる

    • 無気力の日

      古い小説を読み終わり 顔を上げると 窓の外は雨模様 すべきことがあるような 気はするけれど ぼんやりと水音を聞いて過ごす 心地よい怠惰を 低気圧のせいにしながら

      • 雑踏

        二階の喫茶店で ジンジャーティーを飲みながら 人々の行きかう大通りを見下ろす 右へ左へ 種々様々な横顔が通り過ぎていく あの雑踏に入っていきたいと 郷愁に似た何かを抱くのは 都会に慣れた証拠だろうか

        • 夜の合奏

          月明かりの降り注ぐ 池沿いのベンチに座り ハーモニカを吹き鳴らせば 向こう岸からギターの和音が響き 白黒の水面の上で混ざり合い 星々が合奏する

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        記事

          嵐の前

          降るか降らないかの小雨の中を 傘も差さずに街を歩く 軒を連ねる家々に目をやれば 雨戸、雨戸、雨戸が固く閉まっている 商店街では店先で 人々が明日の台風について話している 少し雨足が強くなり 歩む足取りを早めた

          はぐれたしゃぼん玉

          歩道を歩いていると 前の方にしゃぼん玉が一つだけ ふわふわと漂っているのが見えた 辺りを見回しても しゃぼん玉遊びをしている子供の姿は見えない きっとどこか近くの公園から たった一つだけ割れずに流れてきたのだろう はぐれたしゃぼん玉はしばらくそのまま空中に浮いていた だが、不意に風が吹き、車道へと流されると 自動車のフロントガラスに当たって 割れて消えた

          はぐれたしゃぼん玉

          吉祥寺の深夜

          深夜の吉祥寺は昼間の健康的な賑わいとはまるで違う、混沌とした姿を見せてくれる。 井の頭公園のベンチでは人々が酒の缶を何本も飲み干し、 暗がりでは何組もの恋人たちが睦みあう。 宿無しか、あるいは酔いつぶれて終電を逃したらしき人々が物陰で寝息を立て、 そのすぐそばを気にもせずに深夜のランナーたちが走っていく。 一方駅を抜け、商店街へと出ると 閉じたシャッターの前に 怪しげな占い師やマジシャンやミュージシャンやアマチュア絵描きが、 めいめい夜の露店を出している。

          吉祥寺の深夜

          募金箱

          スーパーの出入り口に置いてある アフリカの動物保護の募金箱に 釣り銭の10円を入れた その日の夜 ゾウに踏まれて死ぬ アフリカ人のことを考えた 寝付けないまま布団の中で うつらうつらと

          ダンサー

          赤・青・黄のライトが混ざり合うステージで 一心不乱にダンサーが踊る 肉体の輪郭が波打ち 曲線が絶え間なく揺れ動く 色鮮やかな衣装をはためかせ 白いスモークが動きに合わせたなびく 観客たちは皆一様にダンサーを凝視し 流れる肉体を観賞していた 音楽と共に消え行く 一瞬の姿態を名残り惜しみ 同時に次なる未知の姿態へと 期待に胸膨らませながら 連続する今を見守っていた

          よく人が刺される街

          昨日歩いた公園で 昔誰かが刺されて死んだ 刺した方も死ぬつもりだったらしい 向こうに見えるアパートで 男が女を殺したそうだ 死体は喉が切られていたという 今は閉まったそこの店で ナイフで切られた被害者は 幸い今も生きている なに、この街ではよくあることさ 早く慣れちまった方がいい ただの日常茶飯事だ 人が誰かに刺されるなんてことは

          よく人が刺される街

          雨夜の花畑

          雨夜に浮かぶネオンの輝き その下には色とりどりの傘が 花開き、鮮やかな雫を弾いている やがて雨足が弱まると あれほど咲き誇った花畑も 夢幻のように消え去った 残るはただ駅に吸い込まれる 人々の後ろ姿だけ

          雨夜の花畑

          アノマリーの祈り

          花を愛し豚を食い 猫を尊び虫を潰し 犬を頼り魚を釣り 鳥を眺め蛇を恐れ 蛙を弄び草を抜く そんな「普通」から外れた人々も どうか幸せになれる世界でありますように

          アノマリーの祈り

          強風

          風が木の葉を散らす日 ふと空を見上げると 一羽の鳥が風に逆らい 懸命に羽ばたいている けれどもいくら前へ向かっても 押し戻されて進めない 結局鳥は諦めて 風の進む方へと流れていった

          雨、雨、雨

          雨、雨、雨 雨が降る 二度と晴れることなど無いように 空を分厚い雲が覆う これでもう何日 太陽を見ていないだろう? 日課の散歩もこれでは行けない 何度見ても変わらないと知りつつ 傘だらけの天気予報を見つめる そして不意に雨の音が弱まると わずかな希望で窓を開けてみるけど やはり外では 雨、雨、雨

          雨、雨、雨

          蝋燭の光

          静かな夜 暗い部屋で蝋燭に火を灯す 橙色の光がぼんやりと闇に浮かぶ 揺れ動き、時折危うげに瞬く 白い蝋が溶けて、そしてまた固まっていく 人は昔、炎を囲んで物語を紡いだらしい 柔らかな明かりに浸りながら 原始の空想に思いを馳せる

          回線工事前夜

          ネット回線の無い部屋は それだけでどこか居心地悪い まるで自分の部屋ではないかのように 途切れている 断絶している 孤立している 世界から自分だけが切り離されている そんな疎外感だけが部屋に満ちる 明日の工事まで役立たずのPCを見ながら スマートフォンで詩を紡ぐ

          回線工事前夜