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J-R&Bオタクが選ぶ2020年上半期ベストソング

ご無沙汰しています。相変わらずのコロナ禍。自粛自粛のオンパレードで、苛立ちと不安をいくら拭ってもキリがない状況ですが、皆さんお元気ですか。

少し遅くなってしまいましたが、恒例にしている上半期のベストソングをこれより発表しようと思います。今期はトータルのリリース量(+対象アーティストの頭数)がいつにも増して多く、さすがの僕も困惑を隠しきれず(笑)。

おうち時間の影響もあり、メジャーインディー問わずとにかく至るところで発信がなされ、注目のアーティストや作品が次から次に登場。こちらも置いていかれまいと、多分、ウン千は聴いた気がする。ただ、ここまで動きが活発だと、今度は全部追いきれないことから来るストレスに悩まされるかも……と気に病みそうになった瞬間もあったりなかったり。

まあつまるところ、吟味しなければいけない時代がいよいよ本格化してしまったということなのでしょうね。飽和が始まった音楽の海を泳ぎ、いかにして自分好みの作品を捕まえるか。メディアにしてもリスナーにしても、もちろんアーティストにしても、そういった側面の研ぎ澄ましが求められているような気がします。

そんな、膨大な作品の中から僕が選んだのは50曲。対象はいつも通り、R&B、もしくはそれに準じるグルーヴが感じられる日本の楽曲(歌もの)です。レベルが高いことを分かっていつつ、あえて順位もつけました。微力ながら、”良い曲探し”がマストな現代の一助になれたら幸甚です。

<2020年上半期ベストソング50>

No.50:FlowBack「Dramatic Lover」
ワールドスタンダードなサウンドへの挑戦も少なくない彼らが巻き起こす、ときめきディスコポップ。ダンスボーカルグループらしい身軽さがポイント。

No.49:The Yellow House「morning routine feat. 映秀。」
一風変わったYouTube動画で話題の映秀。をフィーチャー。ブレイク前のSuchmosに通ずる甘美なブラックフィーリングにニヤリ。

No.48:TOKYO LIE LIE「宵に時雨れて」
R&Bともシティポップとも少し違う、絶妙な次元に降り立った一曲。良い意味で冷ややかなボーカルがスリリングな余韻を運ぶ。

No.47:宮野真守「Okay.」
ド直球なSTY節にワクワク不可避。お気に入りは、ボーカルエフェクトが急に降り止むサビラスト。こういう、細やかなアクセントが相変わらず心憎い。

No.46:knowone「レントゲン」
デビュー作。Massanによる抑揚たっぷりの歌唱が心地よい正統派のオルタナティブ・ポップ。

No.45:m-flo loves Sik-K & kill & 向井太一「tell me tell me」
待ちわびたlovesプロジェクト一発目。ムカタイが相当おいしいポジション引き受けてます。もっとも、人数過多でワチャワチャ感がオーバーヒート気味なので、それは今後の楽しみな課題に。

No.44:Omoinotake「Blanco」
ポスト髭男として期待しているんだけど、なかなかブレイクしなくて歯がゆい……。暮れなずむ哀愁と優しいメロディが後を引くこの曲なんて最高なのに。

No.43:Anly「Sleep」
Mori Zentaro(Soulflex)の面目躍如。乾いたリズムと甘い旋律の妙はまさしく夢見心地。

No.42:HIROOMI TOSAKA「Who Are You?」
仕事で同曲収録のアルバムについて執筆したことで、現在の彼が有するエネルギーに気付くことができました。トリッキーな構成がリードする、攻めに攻めたダンスチューン。

No.41:岩本樹「I Decided Marry U」
声がエモい。岡村靖幸ライクな奔放さと、LEOを思わせるハスキーボイスの合わせ技。大サビ前のシャウトがハイライト。

No.40:清水翔太「416」
カントリーテイストの音色が哀愁を呼び込む、彼なりの原点回帰ソング。ある種のブレイクタイムは、今後のキャリアに果たしてどんな影響を及ぼすか。

No.39:ASOBOiSM「Whateva♡ feat. issei」
今期大活躍のクリエイターとしてMVPを捧げたいMANABOON関与曲。ASOBOiSMは相変わらずチルいし、issei君はもっとソロでリリースしてくれ!と懇願したくなるほどに良い声してる。

No.38:としゆか「原宿」
Lo−Fi Hiphopを通過した脱力系ソング。なんともアンニュイな歌声と独特すぎる歌詞に自然と心洗われる。

No.37:MISIA「CASSA LATTE」
ベスト盤収録曲のうち、ビッグバンドの威勢を全身で感じられる佳曲。<かっさらってよ>のハネた歌いっぷりも清々しく、MISIAの新たなポテンシャルを大発見しました。

No.36:Shin Sakiura「このまま夢で feat. AAAMYYY」
HASEBE氏を思わせる強烈な90’sトラックと、どこまでもエアリーなボーカルが刺さる刺さる。

No.35:JUBEE「Joyride feat. SARA-J」
耳の肥えたリスナーにとってはお馴染みですが、やはりSARA-Jの甘いボーカルが素晴らしい。2stepでもこうも存在感が出るかと。

No.34:Chara+YUKI「楽しい蹴伸び」
両者の微笑ましいケミストリーは元より、TENDREにサウンド制作を任せた時点で完全勝利だったと思う。キッチュでポップ、でもちゃんとウフフなグルーヴも纏うという好塩梅。

No.33:ZIN「Let Me Love You」
アンビエント〜レゲエ〜ソウルの地帯を横断した恍惚のサウンドスケープ。ここのところ関連作品のリリースが相次ぐZINだからこその柔軟なスキルがうかがえます。

No.32:THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「INVISIBLE LOVE」
今、LDHで一番推せるグループ。初のバラードと銘打ちながら、歌い方からサウンドに至るまでスモーキーなオルタナR&Bを目指していて惚れ惚れする。

No.31:三浦大知「Yours」
高次元が過ぎて未だに上手く噛み砕けていないものの、ひとまずはUTAがNao’ymtばりに大知との連携性を極めている、という結論でいいと思う。

No.30:Shihobaby「dreamin」
お手製感あふれるシックなトラックに、ロウソクよろしく心地よい揺らめきを体現する歌声。これで19歳というから伸びしろありすぎでしょ。

No.29:CIMBA「STAY HOME TONITE」
”ステイホーム”にちなんだ数多の楽曲の中でも屈指のメロウネス。T-SKとのチームワークが全く衰えていない点も嬉しすぎました。

No.28:[Meteor]「Crazy」
LIBRA、November47、Titanの3名で構成された覆面ボーカルグループ。声質のバランスや野太いフェイクを聴く限り、F.O.HよりはJineに近いスタイル。オーソドックス派に対する掴みはバッチリ。

No.27:Friday Night Plans「Unknown」
アバンギャルドなサウンドと、滑らかに宙を舞うMasumiの歌声によるスペクタクル、そしてラスト30秒にベールを脱ぐキュートなR&Bと、今回も予想を上回る意匠。「HONDA」然り、サウンド担当のDr.Payとは随分と相性がいいみたい。

No.26:milet「Parachute」
1オクターブ分なめらかに上昇するサビの清涼感、これに尽きる。彼女の声質も一段とビビッドに輝くというもの。

No.25:泉 亮「EVERLASTING LOVE」
昔から、彼のスロウにはめっぽう弱い。久保田利伸ら、日本産R&Bの御大へのリスペクトも感じさせる味わい深い名曲がまた一つ誕生しました。

No.24:KinKi Kids「KANZAI BOYA」
紛うことなき堂本剛の趣味嗜好全開ワールド(だが、それがいい)。適度に戯けた歌詞然り、泣く子も黙るファンクイズムがさく裂。

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No.23:T.L.E「Do 4 Luv」
三者それぞれ、キャラの立ったソングフロウを展開。フェイクのレパートリーも豊かで、王道の構成ながら何層にも渡って楽しめる強さがある。

No.22:傳田真央「Plastic Eden」
YVES&ADAMSを迎えての再始動作。明快なラブソングの名手から一転、トラップビートを操るミステリアスな歌姫に。(次作「Lonely論理」も引けを取らない品質)

No.21:NOA「TAXI feat. tofubeats」
もともと、YG ENTERTAINMENTの練習生だったと知って驚いた。メロへのまたがり方がじつにスマートで、十分な素養があることを物語っている。若手がこうも意気盛んだとやっぱり嬉しい。

No.20:草川瞬「Deep」
他の連続リリース作もたまらん仕上がりですが、個人的なイチオシはこれ。セクシャルな魅力が如実に表れていて良き。

No.19:さかいゆう「Soul Rain」
これぞ真骨頂。咲き誇る美メロ、屈託のない歌声、そしてあまりにも儚いストーリー。

No.18:Jazzadocument「I don’t like you feat. Furui Riho」
初期のDOUBLEにも通じる気だるい雰囲気が魅力的。うねるボーカルも何とも言えない麗しさ。

No.17:UNI-Qreatives「Lies feat. Yui Mugino」
麦野優衣の歌いっぷりが素晴らしいのは言わずもがな、そのポテンシャルを余すことなく解放させたトラックの健闘にも目を見張る。

No.16:Nao’ymt「孤島」
とうに分かりきっていたことだけど、大先生、梅雨との相性良すぎ。この時期にそんな切ないファルセット出して、我々の眼にも雨効果与えるのやめてほしい。

No.15:DJ HASEBE「Welcome to my room feat. Ryofu & 土岐麻子」
こういう時期、でなくてもきっと抜群に沁みていたであろうアットホームなミドルトラック。土岐麻子が担うフックは何度聴いても涙腺が持たない。

No.14:Fixional Cities「Parallel Reality feat. Masaya Wada」
「X-CHANGE」の席で初めて聴いたときの衝撃は忘れもしない。ダイナミズムと独創的なスケールは音源でも健在。和田昌哉がただただ眩い。

No.13:Lucky Kilimanjaro「Drawing!」
近代アーバンミュージックを物語る傑作『!magination』に収録。フロアに向かって全速力出したいね。

No.12:Ysoultruth「For You feat. 若江 爵紀」
この楽曲をはじめ、ボーカリスト同士の見事なコラボレーションにたくさん恵まれたのも今期の特徴でした。こんなにも繊細に歌声を震わせたら嫌でも胸が詰まるぜ……。

No.11:Ayumu Imazu「Lover」
青春を体現したような甘酸っぱい歌声を有する新鋭。90’sオリエンテッドなアプローチに、みずみずしいコーラス&メロディなどフレッシュな解釈が冴えます。

No.10:黒川沙良「ブリコー」
Booty Call(セ○レの意)というR&Bが誇る伝家の宝刀を下敷きに、狂おしい情念を表現。サウンドの趣も一気にコンテンポラリーへと傾き、この曲の主人公と同様、一皮剥けた彼女に出会えたなと。

No.9:KAHOH「CHERRY」
加藤ミリヤよろしく10代ターゲットのR&Bシンガーとしてデビューした彼女ですが、ここへきてシックな路線へシフトチェンジ。サビはハイトーンボイス主体ながらしつこさゼロ。不穏な躍動を見せるトラックがアクセント。

No.8:三浦大知「Nothing is All」
昔ながらのこってりとした仕様ではなく、今様の都会っぽさを纏ったチルなR&B。サウンドこそ静謐ですが、これもまた、彼が掲げているであろう”上に上にキャンペーン”の一環であることは明白。

No.7:claquepot「sweet spot」
ブレイクビーツのグルーヴ、フューチャーベースの派手さなど、あらゆるジャンル由来の洗練されたコラージュにしびれた。サビの分厚いシンセがまたカッコイイのなんのって。

No.6:SIRUP「Need You Bad」
歌い出しの<君のものじゃないんだから>からして、だいぶショッキング。サビの小気味良い緩急を経て、ヒールな世界観が開けていく感じが新境地。

No.5:MOL「uh ah…」
ボーカルの残響感とリゾート地を思わせる癒しのサウンドスケープに恍惚必至の名ミッド。丁寧かつ野生味も保った歌唱が絶妙すぎる。

No.4:宇多田ヒカル「Time」
宇多田が描き出す、友達以上・恋人未満の世界。見え隠れする強がりや達観、さらには活動初期を彷彿とさせるR&B寄りのサウンドが彼女のいじらしさを強調し、聴けば聴くほど愛着が溢れかえす。

No.3:w-inds.「DoU」
過去5年で一番好きなw-inds.、と言い切れる。ボーダレスな時代性を誇る構成、ドラマティックに歩み寄った歌詞、サビで顕著な慶太のエロみなどなど、枚挙にいとまがない必聴ポイントの数々、ご馳走様です。

No.2:藤井風「キリがないから」
上半期を代表する大型ニューカマー。ブラックミュージックを敬愛し、特にこの楽曲においては彼の偏執的とさえ思えるラブが見て取れる。現実をたくましく受け入れる歌詞も好きです。

No.1:iri「Sparkle」
ジャパニーズR&Bとして完璧でしょ!艶を内包したリズム、首都高を駆け抜けるようなスリル。従来のややシニカルなキャラクターが最高水準で開花した名曲です。

<上半期ソングのプレイリストはこちら>


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