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仏教学習note

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仏教について何にも知らない僕が色々あって仏教を独学で学習することにしました。 主な教材は佐々木閑先生のYouTubeチャンネル「仏教哲学の世界観」シリーズとなります。
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記事一覧

【041】ブッダの生涯-【17】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

輪廻の話 前回は初転法輪における「中道」と、それ以外にも存在する二つの中道が解説されました。 一つは「常見と断見を離れる」中道、 それぞれ魂のような主体が死後も続くか続かないかという常見や断見の考え方の中間を取る考え方でした。 もう一つは「言語表現による規定を離れる」中道でした。 こちらは大乗仏教によって発展した考え方ですが、正しく世界を見れない原因として言葉による定義が現実世界との齟齬が発生するとして、言葉による理解に中間の姿勢を取るというものでした。 今回は常見と断見

【040】ブッダの生涯-【16】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

中道とはなにか お釈迦さまが到着した「鹿野苑」では5人の比丘たちと再会しました。 かつてはお釈迦さまと共同生活を行いながら苦行をしていた彼らは、苦行の無意味さに気づいて去っていったお釈迦さまを修行から逃げた落伍者として認識していました。 しかし、いざ現れたお釈迦さまの姿を見た彼らは思わず旅人をもてなす礼を尽くした挨拶をしてしまうのでした。 そしてお釈迦さまは自らを彼らの先生であると主張し、修行の本質を伝えるとして彼らに説法を始めます。 今回はこの、初めての説法である「初転法

【038】ブッダの生涯-【14】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

5人の比丘、鹿野苑での再会 前回は梵天勧請の後、教えを説き広める事を決意したお釈迦さまが、誰にこの教えを説くか考えました。 初めはお釈迦さまが師事していた二人の修行者、アーラーラ・カーラーマとウッダカ・ラーマプッタに教えようと思ったが、神からの報告によりすでに亡くなっていたことがわかりました。 そこでかつての修行仲間だった5人の比丘の元へ行くことにしました。 今回はお釈迦さまが向かった5人の比丘のいる「鹿野苑」についてと、その再会について解説されています。 ブッダの生涯

【037】ブッダの生涯-【13】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

悟りの境地を一体誰に説明するか? 前回は仏伝に伝わる梵天勧請の意味を解説されました。 梵天勧請により、お釈迦さまが人々に教えを広めるつもりのなかった普通の人間であった点や、神ブラフマンこと梵天がお釈迦さまに頭を下げて「お願い」することから、仏陀こそが神よりも立場が上であるという事を示唆していました。 一方で後の仏伝においては過去生においてお釈迦さまが人々のために仏陀になることを誓っているエピソードがあり、矛盾が生じる点もあります。 今回は梵天勧請の後、仏陀となったお釈迦さ

【036】ブッダの生涯-【12】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

梵天勧請の意味と仏伝上の矛盾 仏伝によると、梵天からの要請を受けたお釈迦さまは最初のうちは仏教の教えの内容の難しさから世俗では受け入れられないであろう事や、正しく聞く人がいないであろうと考えその要請を断っていましたが、3度目の要請により、ついに世に教えを広める事を決意しました。 このエピソードが梵天勧請ですが、今回はこの梵天勧請が何を意味するのか解説されています。 ブッダの生涯12https://youtu.be/zAdgMlx-AK8?si=Pq5v2yvUdkcvqU

【035】ブッダの生涯-【11】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

梵天勧請の内容 仏伝によると、お釈迦さまは悟りを開いた後、初めは誰かに教えを説くつもりはありませんでした。 そこに梵天から悟りの道を衆生に教え説くことを要請されます。 このエピソードを「梵天勧請」といいます。 今回はその様子が仏伝にどのように描かれているのか解説されています。 ブッダの生涯11https://youtu.be/4cDzcPBxwQs?si=mbxm5Jfn25GwYYqF AIによる要約学習した事一人で安楽を味わいながら涅槃に入るつもりだったお釈迦さま

【034】ブッダの生涯-【10】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

梵天勧請が象徴する信憑性の担保 悟りを開いた後、タプッサとバッリカの二人から初めてのお布施をいただいたお釈迦さま。 これは「他者に依存して生きる」という仏教修行者にとって大切な原則を象徴するエピソードでした。 今回は仏伝のハイライトである「梵天勧請」について解説されています。 その前に前回の補足として三種類の悟りの道についても語られています。 ブッダの生涯10https://youtu.be/Zq00UvnmoRI?si=4fGIlzGDt6xUrBRN AIによる要

【033】ブッダの生涯-【9】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

鉢で受けた物だけで生きるということ 前回は仏伝に話が戻り、お釈迦さまの物語が語られました。 お釈迦さまは悟りを開き、しばらくは楽を味わっていました。そこにタプッサとバッリカという二人の商人からお布施をいただきます。 これが悟りを開いてから最初の食事でした。 仏伝による描写には、二人の商人の元親戚の神からお布施を促され、 お布施を受けるお釈迦さまには天の四天王より献上された鉢が使用されました。 このようにお釈迦さまが食事をいただくまでのエピソードが「他人からの提供に依存する」

【032】ブッダの生涯-【8】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

お釈迦さまが悟りを得た後の物語とお布施の意味 前回は佐々木先生の解釈で、お釈迦さまの悟りをどのように理解するべきか。一言で言い表すことのできない悟りの内容をどの範疇で見るべきか、という解説でした。 それは仏伝に登場した十二支縁起や経典の三明などとは別として、お釈迦さまの説く諸行無常・諸法無我・一切皆苦といった世界観をベースにした教えと、実践、そして組織とその活動をまとめて悟りであるというものでした。 また、悟りの本質を一言で表せず言い淀んでいる様子を曲解し、沈黙に悟りがあ

【031】ブッダの生涯-【7】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

仏陀の悟りをどのように理解するか 前回はお釈迦さまが何を悟ったのか、ということについて十二支縁起を取り上げて解説しました。 十二支縁起とは、人間の活動は12の要素が順に原因と結果の連鎖で構成されているという考えで、ドミノ倒しのように原因が結果となり、結果が次の原因となる。そのため誤った原因が連鎖し最後には老死へと帰結します。 最初の仏伝に描かれたものとはいえ、これもまた本当にお釈迦さまが悟った内容であったのかは疑問が残ります。 今回は佐々木先生自身の考えも合わせてお釈迦

【030】ブッダの生涯-【6】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

お釈迦さまの悟り=十二支縁起について 前回は最古の仏伝の始まりについての解説でした。 仏伝はお釈迦さまの悟りの場面から始まります。お釈迦さまが何を悟ったのか、仏伝では「十二支縁起」となっています。 しかし、資料によっては三明であったり六根の清浄など異なる表現で悟りの内容が伝わっています。 このことから悟りは単純な言葉では表現することが難しく、多角的な考察が必要であるとしています。 今回は仏伝の最初であり最も重要な、お釈迦さまの悟りについて仏伝で描かれる十二支縁起の概要を解

【029】ブッダの生涯-【5】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

仏伝に描かれるお釈迦さまの悟り 前回は仏伝がどのように生まれたか、その経緯についての解説でした。 最初からお釈迦さまの人生や、ましては前世が語られていたわけではなく、仏伝の出発点は律の冒頭にありました。 仏教僧団の運営のためのルールづくりにおいて、法律ができるまでのあらましとして仏教僧団の設立史が語られたわけです。 これが最初期の仏伝となりました。 今回は最古の仏伝の内容、つまり仏教の誕生の経緯が語られた仏伝について解説されています。 ブッダの生涯5https://yo

【028】ブッダの生涯-【4】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

最古の仏伝が生まれた理由について 前回は仏伝がどのように仏教世界を拡張したか、浄土思想の例を挙げて解説されました。 仏伝により描かれた前世での別の仏陀との出会いと誓願という部分が拡張され、お釈迦さま以外に存在するであろう別世界の仏陀を構築し、やがて人々にとって都合の良い架空の仏=阿弥陀仏として成立しました。 このように仏伝の宇宙観が様々な形で仏教哲学を発展させました。 今回は最古の仏伝を取り上げ、成立した経緯について解説されています。 ブッダの生涯4https://yo

【027】ブッダの生涯-【3】(仏教哲学の世界観第2シリーズ)

仏伝をベースに生まれた浄土思想について 前回は仏伝の全体像についての解説でした。 仏伝をベースに見ると仏教の様々な側面が見えてきます。 仏伝ではお釈迦さまの生涯だけでなく、「素晴らしい人なので過去生もすばらしいものであろう」という願望が反映され、遙か昔にお釈迦さまの前世において過去仏との出会いがあり、悟りと救いを誓願するという流れが追加されました。 今回は仏伝にある宇宙観を元に作られた浄土思想を例にして仏教の一側面を解説されています。 ブッダの生涯3https://yo