米国株マーケット考察 2020.11.7

マーケットサマリー

米国株式相場は、ほぼ横ばい。ダウ工業株30種平均は前日終値比66.78ドル安の2万8323.40ドルで終了。ナスダック総合指数は4.30ポイント高の1万1895.23で引けました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比1463万株減の9億7569万株。

売り買いは交錯してましたが、主な相場変動要因は2つ:
(1) 前日までの4日続伸で1800ドルを超える上げを記録したのを受け、利益確定の動きが出たこと

(2) 10月の雇用統計は、失業率で、6.9%と前回の7.9%から1%の低下となりましたが、非農業部門雇用者数が前月比63万8000人増(予想: 58万人) と、前月の67万2000人増から伸びが鈍化。新型コロナウイルス感染が各地で再拡大し、政府支援が先細る中、景気回復ペースが失速している兆候が改めて示されました。コロナ禍の打撃を受けた雇用市場の回復が始まった5月以降で最小の伸びとなり、雇用者数はコロナ前の2月時点でのピーク水準を1010万人と大幅に下回りました。雇用は2015年終盤と同等の水準にしか回復していなく、10月のペースを踏まえると、雇用が感染拡大前の水準に戻るにはあと1年4カ月ほどかかるとの見解も出て居ます。

米大統領選の開票作業が注目されてますが、不正投票の声が燻る中、トランプ陣営がどの様な手段を講じるかは未だ不明です。米大統領選の結果が紛糾すれば、年内に追加経済対策が策定される可能性は一段と遠のくことになります。

その為、米連邦準備理事会(FRB)の対応が注目されますが、政治的な緊張の高まりで迅速な財政出動が阻まれば、FRBは一段の刺激策を導入せざるを得なくなるとの考えを示しています。果たして、FRBの刺激策だけでどれだけのインパクトを実体経済に与えれるのかは限定的で、今後の焦点は大統領選挙前に相場変動要因となっていた追加景気刺激策の動向になると思われます。

用語解説


-米国雇用統計ー米労働省労働統計局(BLS)が、米国の労働者の雇用状況を調査した指標。世界中の経済指標の中で最も市場に注目されている指標の一つ。同時に発表される失業率は、労働力人口に対する完全失業者の割合で定義されます。軍隊従事者、刑務所の服役者などを除いた16歳以上の男女が対象となり、労働の意思のない者は、労働力人口から外されるため、失業率には反映されません。

-非農業部雇用者数ー米労働省労働統計局が発表する統計の事で、農業部門以外の産業で働く就業者の数を、非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計したもので、非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計されたものです。 自営業、農業従事者を含まず、対象事業所は約40万社・従業員数約4700万人で、全米の約1/3を網羅していると言われています。世界中の経済指標の中で最も市場に注目されている指標の一つです。

立沢 賢一(たつざわ けんいち)

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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