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「父さん、前よりも怒らなくなったね」と息子に言われてうれしかった話

12月28日の午後から1月4日の夜までほとんどの時間を7歳の息子と4歳の娘と一緒に過ごした。ここまで長い時間を一緒に過ごすのは相当ひさしぶりかもしれない。

その最終日だった1月4日は病院で息子のちょっとした検査があり、家族4人で朝から電車に乗って出かけた。検査が終わったら息子が希望する場所に連れて行ってあげようと思い、本人に聞いたところ、洗足池公園に行ってスワンボートに乗りたいという。

ちょうど自宅から病院に向かう途中の駅に洗足池公園があり、以前に行ったときのことを思い出したのだろう。どちらかと言えばインドア派の彼にとって意外な選択だったが、もちろん異論はない。洗足池公園に行ってスワンボートに乗った。

息子はひさしぶりにスワンボートに乗った

希望した本人が喜んだのはもちろんだが、本人以上に喜んだのは4歳の娘だった。乗るときは少し怖がっていたが、池の上にボートが浮かんでもそんなに揺れないことが分かると、ハンドルを握ってみたいと言い出し、ペダルを足で漕ぐのも経験し、自分の動きでボートが進んだり曲がったりするのを楽しんでいた。

そう言えば息子が最初に洗足池公園のスワンボートにハマったのも4歳ごろだったかもしれない。始めて訪れたときは1回乗って大興奮し、2回続けて乗った。そのとき娘も一緒に乗ったと思うが、まだ抱っこひもを使う年齢だったので記憶には残っていないだろう。

スワンボートは橋の下をくぐれない場所があったので、その翌週にもう1回行って、橋の下をくぐれるサイクルボートとローボート(手漕ぎボート)も乗ってみたが、息子が気に入ったのはやっぱりスワンボートで、それから1年ほどの間に7~8回は乗った気がする。30分800円と決して安くはないが、それで彼の好奇心が満たせるなら、お金の使い方としては悪くない。

やがて本人が洗足池公園に行きたいと言わなくなり、「さすがに飽きたのだろうな」と思っていたが、記憶の中で楽しい思い出として残っていたのはうれしかった。この日は最初にスワンボートに乗ってから公園でしばらく遊び、もう一度乗りたいと言ったので合計2回乗った。

娘は「宝つり」をやりたかったがチョコバナナで我慢

その帰りに娘が「(池上)本門寺に行きたい」と言うので、寄り道をすることになった。彼女には実は狙いがあって、初詣客向けの出店の中に「宝つり」があるのを前日に確認していたのだ。「宝つり」はひもの束のうちの1本を引っぱるとおもちゃが持ち上がり、そのおもちゃがもらえるアトラクション。彼女はこれが大好きなのだが、本人が欲しがっているおもちゃをゲットできる機会はほとんどないので、親としては多少面倒くさい。でも、ひもを引っぱる瞬間のドキドキする気持ちは分かるので、回数を決めてやることにしている。

ところが残念なことに、この日は「宝つり」の出店がなかった。他の出店は残っているのに「宝つり」は1月3日で撤収してしまったようだ。彼女はガッカリしていたが、気持ちを切り替えてチョコバナナをほおばった。

その後、娘は「公園で遊びたい」と言い、息子は「家に帰りたい」というので、娘と妻、息子と僕で別行動することになった。

息子と2人で家に向かって歩いていると、彼が突然、「父さん、前よりも怒らなくなったね」と言ってきた。「そうかな?」と答えると、「そうだよ。前はもっと怒っていたもん。父さんが怒るとすごい怖かったもん」とのこと。何だか息子に褒められた気がして誇らしい気持ちになった。

父親は子育てノートを読み返した

その日の夜、子育てノートを読み返してみると、彼の2学期が始まった8月下旬から9月上旬ごろまで彼のイライラと僕のイライラがぶつかっていたという記述がある。そこから僕は怒り方を変えた。イライラをぶつけるような怒り方を避け、怒りの沸点が下がるまで待つようにした。これは子育ての本にもアンガーマネジメントの本にもよく書いてあるのだが、なかなか実践できないテクニックだった。でも、息子のためにトライし、3カ月で何とか形になってきたようだ。

子どもの脳というのは、3カ月前の記憶や3年前の記憶が突然よみがえってくることがある。今回はスワンボートの記憶の上書き作業中に、父親が怒っていた姿が一瞬よみがえったのかもしれない。でも、その姿はあまり必要ではない記憶の引き出しに格納されたと信じたいし、いずれは「父さんに子どものころ怒られた記憶がない」という状態まで記憶を更新していきたい。

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