「先(せん)を取る」ってどういう状態?
前回の記事で、『子供と稽古するときには先を意識するといいですよ』と書きました。
賢明なる読者さんからDMをいただきまして……
なるほど。そこですね。
簡単なようで難しい『先』とは具体的に何を指すのでしょうか?
剣道用語は実に難しいです。うまく説明できないので、少し調べてみることにしました。
「先」とは「機先を制する」こと
別の言葉で表現すると「機先を制する」となるのですが、これも曖昧です。ネットの辞書で調べてみると、下記の様にかかれていました。
つまり、「起ころうとする矢先を制する」になります。あなたは疑問に思ったことでしょう。
「制するって?」
安心してください!!
ちゃんと はいて 調べてますよ。
2番目の「自分のものにする」「支配する」がぴったりでしょうか。例文にも「機先をー・する」とあります。
つまり、先に はいてますよ はいってますよという状態にしておき、相手が起ころうとする矢先を支配するという解釈が良いでしょう。
余計にもやもやさせてしまいましたか……
先んずれば人を制す
「機先を制する」を検索していると、「先んずれば人を制す」という言葉が目につきます。どうやら、似たような意味で使われるようです。
「先んずれば人を制す」は「史記・項羽本紀」にある諺。意味は「人よりも先に事を行えば、有利な立場に立つことができる」というもの。
よく「宿題やったの?」と言われれる、あれでしょうか。
「今からやろうと思っていたのに、そんなこと言われたらやる気なくなるわ!」という、あれです。「先んずれば人を制す」を実践しています。完全勝利です。
先手を取ることがいかに重要であるか、よく理解できたのではないでしょうか。じつは、似たような言葉はかなり昔から使われていたようです。
孫子の兵法に学ぶ
紀元前500年頃に書かれたとされる「孫子」には、以下の様に書かれています。
簡単に解説すると、先に戦場に入って準備万端で待ち受ければかなり有利になるということです。
完璧な意訳だと思っていますが、一応、正しい現代語訳も残しておきましょう。
「先に戦場に着いて敵軍の到着を待ち受ける軍隊は余裕を持って戦うことができるが、後から戦場にたどり着いて、休む間もなく戦闘に駆けつける軍隊は苦しい戦いを強いられる。したがって戦上手は、敵を思うがままに動かして、決して自分が敵の思うままに動かされるようなことはしない」
そんな感じに捉えれば良いのではないかと。身構え、心構えを相手よりも先に整えていれば自然と先を取れるような気がします。
相手と実力が拮抗していれば難しいかもしれませんが、小学生相手なら何とかなるのではないでしょうか。もしくは、感覚を掴むために、何とかなる相手を探して稽古してみるのも一つの方法です。
つまり、「先を取る」は「場の主導権を握る」と言い換えられるでしょう。あなたは脇役ではなく、主人公になるのです。ただし、この場合は主人公が敗北して這い上がるストーリーは不要。
仮面ライダー電王になりきった気分で。
そう、あなたは佐藤健。
誰もが認めるイケメン。
今なら確実に先を取れるはず。
だって、佐藤健だもの。
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