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実際義足の選手たちがどれくらい速くなってきているか

あまりスタジオ収録に、ましてや生放送に出ない自分が、為末がおいでよと言ってくれたので3月7日のAbemaPrimeに出演してきた。内容は北京パラリンピック期間中ということもあり、パラリンピアンとテクノロジーの未来について。

その中で、以下のような表を使って義足の選手が速くなってきていることと説明されていた。この表は膝から上を切断した大腿義足アスリートと膝から下を切断した下腿義足切断のアスリートがごっちゃになってしまっており、これを作った人が大腿義足と下腿義足の違いを理解していなかったのかなと感じた。その結果、25年で2.78秒も速くなったという情報として公開された。自分自身、この表をみたのは本番が初めてで、見た瞬間に「えっ」とは一瞬思ったが、うまく瞬時にコメントを入れることができなかった。この辺報道の難しさを感じ、自分がこのような場に呼んでいただける以上しっかりしなければなと反省せざるをえない。

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では実際にどれだけ速くなってきたか。私が2013年ごろから使いまわしているスライドの中に、以下のような男子下腿義足アスリートの100mのタイムの推移を表したものがある。2014年のTEDxTokyoのスライドの中にも昔のものがあった(https://www.youtube.com/watch?v=urtkHkcEz80

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ちなみに、これは男子下腿義足(両足含む)に限る話である。これを見ると、昔から結構速かったんんだなと感じる方も多いのではないか。特に2003年はアメリカのマーロン・シャーリー選手が歴史上初めて11秒を切り、10.97という大記録を打ち立てた。

現在の義足アスリートの世界記録はヨハネス フロア選手が持つ10.54秒。ここから1秒弱先にウサインボルト選手が持つ現世界記録9.58秒がある。今からちょうど100年くらい前、100mの世界記録は10.6秒だった。人類は1秒速くなるのに100年を要した。義足アスリートたちは、この1秒を縮めるのにどれくらいかかるだろうか。

今後、身体の定義も世の中の考え方もテクノロジーの進化も今までにないスピードで変化していくだろうし、そのスピードに人類は耐えられないかもしれない。そんな中、2024年をパリで、2028年をロスで迎えるオリンピックとパラリンピックが、どのような変化をしていくのか、とても楽しみ。

(参考)オリンピック、パラリンピックのタイム
https://www.worldathletics.org/results/olympic-games
https://www.paralympic.org/athletics/rankings

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