Ken Endo

ただのエンジニア

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最近の記事

アートに紛れ込んだエンジニアリング

経緯 昨年数ヶ月パリに滞在し、パリパラリンピックに向けた活動を開始する予定だったが難航した。その中でSonyCSLローマのディレクターVittorioからあるダンスカンパニーを紹介され、ローマに向かった。 打ち合わせの相手、アテルバレットはレッジョエミリアに本拠地をおくダンスカンパニーで、国立ダンス財団のサポートのもとあらゆるジャンルのダンスパフォーマンスを行う、イタリアを代表するカンパニーとして活動しているとのこと。 彼らは2023年のメイカーフェア・ローマとローマヨー

    • Pixel Athlete

      きっかけ 2020年、新型コロナウィルス感染拡大に伴うロックダウンで、オリパラに向けて活動してきたことが全て吹っ飛び、暇だったので勉強がてら始めたNFTとGenerative Art。当時CryptopunkやBAYCのコレクションのようなコレクションが高騰し、高値で取引されるのを目の当たりにし、今後の仮想通貨やNFT、DAO、Web3.0のDecentralizedされた社会の新しい仕組みへのワクワク感と、過渡期特有の有象無象による先行者利益獲得合戦のがっかり感が入り混じっ

      • 知能と身体の"共相転移"は起こるか

        ChatGPT4の発表後、世の中は大きくうねりをあげて、今後起こるであろう大きな社会の変化に恐怖さえ感じる人も少なくない。かくいう自分も報告書や申請書の執筆で忙しい中、プロンプト開発に明け暮れる日々が続いた。 そんな中、ロボットや身体を含む身体知(Embodied Intelligence)に関してどんな研究が進んでいるか気になり調べてみた。 身体知はさまざまなアプローチがあるが、個人的には1994年のKarl SimsのEvolved Virtual Creatures

        • 世界最速の義足

          世界最速の義足  このトップの画像は2014年の時に作成した企画書の1ページ目だ。これまで順調だねとよく言われるが、そんなことはなく壁にぶつかりながらなんとか今まで生きながらえてきた。  2012年、博士課程を終えソニーCSLという研究所の研究員になってから始めようと考えていたプロジェクトの一つが世界最速の義足づくりだった。2012年はロンドンオリンピックに歴史上初めて義足のランナーが出場した年だ。私は義足ランナーはいずれオリンピックチャンピオンを追い越すのではと2008

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          私と乙武氏

          まず私  2012年、私はアメリカの大学院での博士課程を終え、帰国した。アメリカではHugh Herrという義足使用当事者にしてMIT教授の指導の下、ロボット義足の開発チームにいた。このプロジェクトは研究テーマはもちろんのこと、Hughがロボット義足を使って歩くという見た目のインパクトや彼のスター性から、多くの人たちの注目を集めた。私はアカデミックな研究だけでなく、社会実装にも興味を持つようになり、Hugh Herrのような大きな発信力を伴う研究活動には、私の現在の活動に多

          私と乙武氏

          実際義足の選手たちがどれくらい速くなってきているか

          あまりスタジオ収録に、ましてや生放送に出ない自分が、為末がおいでよと言ってくれたので3月7日のAbemaPrimeに出演してきた。内容は北京パラリンピック期間中ということもあり、パラリンピアンとテクノロジーの未来について。 その中で、以下のような表を使って義足の選手が速くなってきていることと説明されていた。この表は膝から上を切断した大腿義足アスリートと膝から下を切断した下腿義足切断のアスリートがごっちゃになってしまっており、これを作った人が大腿義足と下腿義足の違いを理解して

          実際義足の選手たちがどれくらい速くなってきているか

          オリパラがあってもなくても、誇れるレガシーを ~Blade for All~

          イントロ 2014年、株式会社Xiborgを創業し、トップパラアスリートのブレード開発とサポートを本格的に始めました。ブレードとは、義足のアスリートが競技で使用するカーボン製のバネのことです。パラアスリートがテクノロジーを駆使して速く走れる姿はシンプルにワクワクするし、健常者との壁を打ち砕いてくれる期待もしていました。これまでに、日本人選手3名、アメリカ1名、オランダ1名、レバノン1名、インド1名のサポートをしてきました。その中で、トップアスリートが競技の中で走ることと、一般

          オリパラがあってもなくても、誇れるレガシーを ~Blade for All~

          ダイバーシティに必要なのは無関心なのか

          先日新R25から取材を受けました。 新R25のキャッチは多くの人を引きつけ、今まで色々なところで話した内容でありながら1000を超えるRTになりました。こうなると無関心という言葉が一人歩きし、記事を勘違いして障害者にも無関心になることが必要だといった認識をした人からの反論がありました。 無関心がなぜ必要か?相違誤認効果という認知バイアスの一つの話が記事の中に出てきます。 人は他の人々も自分と同じように考えていると見なしたがる。この推定された相関には統計的確証はないが、存

          ダイバーシティに必要なのは無関心なのか

          義足はずるいか -両足義足アスリートの公平な身長の決め方-

          全米選手権,ドバイでの世界選手権のアメリカ代表選手を決める大会である.今年一人の義足アスリートが参加することが認められていた.その選手の名前はBlake Leeper.両足下腿が義足.2012年にオリンピックに出場したオスカーピストリウス選手と同じクラス.彼は順調に予選,準決勝と危なげなく進み,決勝では44.42でゴールし,5位に入賞.世界選手権へ4x400のリレーでのメンバーとして出場するチャンスを残した. 彼の活躍を賞賛する声が耐えない一方で,義足の競技への使用に関する

          義足はずるいか -両足義足アスリートの公平な身長の決め方-

          いまこそはげるときだ

          「あなたのおじいちゃんは30歳のときには頭がつるつるだったよ」 将来頭が禿げる事に異常な恐怖心を持っている思春期男子にとって、親からの破壊力のあるこの言葉にいつも悩まされた。 30歳の誕生日での禿げなかった宣言以来、この悩みは徐々に忘れ去られていた。もしかしたら、年を取るたびに禿げる事への恐怖心が薄らいできたのかもしれない。そういえば、友人がコンサルでインターンをやっているときに、育毛剤についてのヒアリングをされたときに、「おじいちゃんが若いときからつるつるだったから諦め

          いまこそはげるときだ