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プレーモデルとは??

近年日本にもこのプレーモデルあるいはゲームモデルという言葉は浸透してきていますが、それは一体何なのか??という事を話していきたいと思います。スペインをはじめ、ヨーロッパサッカー界ではかなり有用されているこの「概念」の存在をサッカー指導者なら知っておくべきだと僕は考えます。
今回はこのプレーモデルの僕の解釈を書いていきます。

・プレーモデルとは ?

プレーモデルとは?という問いに対して僕自身の定義はこれです。

ちょっと小難しいのでもう少し簡単に説明すると、プレーモデルとは?
「チームに対して監督が決める、試合中にどう攻めるか?どう守るか?の規則」です。

サッカーはものすごく自由どの高いスポーツですが、無秩序なわけではありません。
コートの中の選手たちは、どうプレーするか?どう攻めるか?どう守るか?の沢山のルールをプレーモデルによって設定されています。

選手に与えられた「自由」は、無秩序ではなく、沢山のルールから何を選択するか?です。

その状況のベストを選択できる選手・選択を実行できる選手。がレベルの高い選手となっていきます。

・どうやってプレーモデルを作るのか 

ヨーロッパで考えられている、サッカーのプレーモデルを構成する要素は上記7つ。
各要素を説明すると、

・「選手の特徴や能力」
―プレーモデル(試合をどうプレーするか?)は「選手の特徴や能力」によって決まります。全員身長低いチームにロングボールサッカーをプレーモデルとして設定はできませんし、攻撃が得意な選手が多数のチームに守りで耐え抜くサッカーは向いていません。

・「チームオーガナイズ」
―プレーモデル(試合をどうプレーするか?)は「チームオーガナイズ」によって決まります。チームオーガナイズとは、チームの資源や構成全てです。チームに超超最新医療設備があったり、超超優秀なメンタルケアコーチがいれば、体が壊れるまで走り抜け、戦い抜けサッカーを一年間通して展開できるかもしれないですし、移籍資金か豊富なら、選手の補填も可能かもしれませんね。

・「プレー原則・原理」「監督のプレーアイデア」
7つの要素は本来、密接に関係しているもので、切り離すモノではないですが、分かりやすくする為に切り離して説明していますが、この2つは、より密接なので合わせて説明します。

―プレーモデル(試合をどうプレーするか?)は「プレー原則・原理」「監督のプレーアイデア」によって決まります。「監督のプレーアイデア」とは、どんなサッカーをするのか?のそのものであり、
「監督のプレーアイデア」を実行する為に誰がどこにどう動くのか?どんなボールを蹴るのか?どこに身体を向けて守るのか?などの細かいところが「プレー原則・原理」となります。この2つから、どんな選手を補強するか?なども決まっていきます。

・「プレー局面」
―プレーモデル(試合をどうプレーするか?)は「プレー局面」によって決まります。
「監督のプレーアイデア」に攻撃、守備、攻守の切り替えの様な形で局面が存在しています。例えば「パスサッカー」をプレーモデルとして作り上げたチームでも、守備時に「パスサッカー」はできません。「守備」「攻撃」「切り替え」の局面すべてにモデルは必要です。「パスサッカーの為の守備」「パスサッカーの為の切り替え」など。

・「チームの目標・哲学」
―プレーモデル(試合をどうプレーするか?)は「チームの目標・哲学」によって決まります。例えばチームの目標が「残留」だった場合、リスクを侵して攻めまくるプレーモデルを採用するのがベストかどうかを考える必要が出てきます。リスクを冒せば失点は増えますし、失点がふえると、、、(笑)みたいな事も起こりえます。クラブの哲学が「パスサッカー」とかであるならば、それに合った監督を招聘する必要があるかもしれません。

・「クラブや国の文化」
―プレーモデル(試合をどうプレーするか?)は「クラブや国の文化」によって決まります。例えば日本代表が「フィジカルを全面的に押し出すサッカー」は向いてないですし、最近のヨーロッパでは、元々の先祖が狩猟民族か農耕民族で、ゾーンかマンツーマンかのディフェンスの種類を分類できるなんて話も出ています(笑)

プレーモデルは何をするのか?

上記の7つの要素を大まかに説明したところで、プレーモデルは結局、どんな仕事をするのか?

・「プレーに秩序を与える」
・「ストロングポイントに再現性を与える事」

色々な働きをすると思いますが、僕が考える一番の仕事は、「選手のプレーにハッキリとした評価基準を与える」だと考えています。

僕の考えとして、「ボール扱いの上手い選手」と「サッカーの上手い選手」は全くの別物です。

例えばプレーモデルでは、「自陣ゴール前では安全を優先する」という考えをチームのプレーモデルにしていたとします。
 ある選手が自陣ゴール前で敵に向かって行き、敵を何人か抜き去りピンチを脱出したとします。

このプレーは「ボールを扱うこと」にはかなりの評価ができますが。「サッカーにおける判断」に対する評価ができません。状況による例外はもちろんありますが、基準はプレーモデルです。

そしてプレーモデルがないと、「ボール扱いの上手い選手」「フィジカルの優れた選手」だけが、指導者の評価基準になってしまい、多くの才能を取りこぼしてしまう可能性があります。

プレーモデルは選手のサッカーにおける「最大限の評価・最大限の活躍」の可能性を広げてくれます。

指導者がプレーモデルを設定することが選手に幸せをもたらすかもしれません。