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質的優位性から考える自分のプレー

 今回は、「質的優位性から考える自分のプレー」というテーマでお話させていただきます。いくつかある優位性の中で、質的優位性は、状況によっては最も重要な優位性になります。「誰にシュートを打たせるべきか」「誰をフリーにするべきか」といったことを考えながら、チームでプレーするだけで、チームの勝率は高くなります。逆に言うと、位置的優位性を優先してしまうと、「フリーだったけどシュートが苦手な選手でゴールに入らなかった」みたいなことがあります。せっかくの攻撃チャンス、せっかくのマイボールを無駄にしていては、勝てません。
 フリーでシュートが下手な選手と、相手がたくさんいるけれどシュートが上手い選手であれば、シュートが上手い選手に賭けてみた方が、ゴールが入る可能性が高くなったりします。
 黄金期のバルセロナがそうでした。メッシという絶対的な質的優位性を持った選手を、チームのメンバー全員がしっかりと見ていて、「いかにメッシにボールを預けるか」を考えてプレーしていました。ゴール前では、絶対にメッシにパスで、そのおかげでリーグ戦50ゴールなんかもありましたよね。30ゴールでもめちゃくちゃすごいことですし、得点王に十分慣れる数字なのに、それを20得点も上回って50ゴールなんてありえないです。これは、メッシ選手だけの力では絶対に不可能な数字です。
 とにかく、チームにおいて「質的優位性はとても重要だ」ということが、ここまでのお話でご理解いただけたと思います。
 チームの中での質的優位性はいろいろあって、例えば自陣ゴール前で守備に成功し、ボールを奪ったときに、ロングパスが通ればカウンターが狙える状況だったとします。この時、ディフェンスラインにロングパスが得意な選手がいれば、自分がロングパスを蹴るよりもチャンスになる可能性は高いです。こう考えると、ここでパスすべきはロングパスの得意な選手です。
 他にも、相手が守備陣形を形成し、ゴール前にガチガチの守備ブロックができていたとします。ここで、ペナルティエリア内でシュートが上手い選手に縦パスを送るより、ドリブルの上手いサイドの選手や、ミドルシュートの上手い選手にボールを預けて、チャンスを創る方がいいですよね。後ろを向いた状態のシュートが上手い選手に期待できることはあまりなかったりします。それよりも、サイドからドリブルで守備陣形を崩してもらったり、守備陣形の外側からミドルシュートを放ってもらったほうがチャンスになる確率は高いです。
 このように、質的優位性で自分のプレーの選択を決めていくことが大切なんです。ですが、自分に得意なことがなかったとします。どのプレーでも、周りの選手の方が自分を上回っている時ってあると思うんです。自分がドリブルに行くよりも、もっとうまい選手にドリブルしてもらった方がいいですし、自分がシュートを打つよりも、もっとうまい選手にシュートを打ってもらった方がいいです。ここで「自分はどうすべきか」が決まってきます。ドリブルが上手い選手に前を向いてフリーでドリブルしてもらうために、相手を引き付けてパスをしたり、シュートが上手い選手がシュートを打ちやすいように、右足にパスを出したり、いろんな「お膳立て」をすることができるんです。このプレーこそ、チームとして必要なプレーだと思います。勝利に貢献するというのは、ゴールを決めることだけではないですよね。こういった「自分に求められている役割を全うすること」がチームプレーなんだと思います。これはとても大切なので、是非覚えておいてください。めちゃくちゃ大切です。

 その上で、僕は皆さんにアドバイスしたいのは、「自分のやりたいプレーがあるのであれば、トレーニングで磨き続けろ」ということです。個人トレーニングでめちゃくちゃ練習して、それを監督やコーチに見えるところで、やってアピールしてください。みんなが認め始めたら、みんなからそのプレーを求めてくれます。質的優位性は、自分で磨くしかないんです。誰よりも上手くなるために努力するんです。
 言い換えると、個人トレーニングもしていないのに、「僕にも好きなプレーをやらせてくださいよ」っていう意見は通らないですよね。それは誰も認めないと思います。めちゃくちゃ個人練習してきたプレーを、チームトレーニングや試合でやって「ミスしてしまいました」「失敗しました」となっても、きっと誰も文句言わないと思います。その挑戦は、挑戦と言えるんだと思います。つまり、個人練習しまくらないと、「自分がやりたいプレー」はやってはいけないと思うんです。練習しないでやってみることは、挑戦とは言えませんよね。それは遊びであって、自己満足でしかないと思います。

 この試合の「チームの勝率」を下げてでも、「将来的なチームの勝率」を上げるためになるのであれば、先行投資として価値のあるプレーであれば、みんなが納得しますし、チームにとっても意味があるんだと思います。どこまで行っても勝利にこだわるのがサッカーなので、そのあたりは自分に厳しくしなければならないんじゃないかなあと思っています。
 自分がやりたいプレーがあるのであれば、質的優位性を高めるためにめちゃくちゃ練習しようよ!というお話でした。ちなみに僕も子どもの頃はドリブルが下手くそでしたが、めちゃくちゃ練習しました。キックも同じで、最初全然飛ばなくて、小学校4年生の時はめちゃくちゃいじめられました。そこから毎日練習して、今ではキックとドリブルが一番得意です。僕は、これからも継続して頑張ります。
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VORAZ FUTBOL CLUB(ボラスフットボールクラブ)は、スペイン産ポゼッションフットボールを体現する、滋賀県大津市のサッカークラブです。現在は、日本サッカー協会にチーム登録し、滋賀県・社会人サッカー連盟に加盟しています。活動の場は、主に日本サッカー協会主催の関西社会人サッカー・滋賀県社会人サッカーリーグ戦です。

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