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守備で走れない選手は、もういらない!

 今日は「抜かれたら走るという当たり前のこと!」というテーマでお話させていただきます。
 先日、ジュニアユース年代のトレーニングを見に行く機会がありました。そこで「このクラブ、きっと強くならないだろうな…」と思う瞬間があったので、それを皆さんにも共有したいと思いました。
 今日お話することは、日本と海外の「違い」のひとつでもあります。少なくとも、スペインやアルゼンチンでは絶対にありえないことです。ですが、日本では結構あること…。なので、サッカーに関わる皆さんにも「うちのクラブはどうかな?」と、是非考えていただきたいです。

 ジュニアユース年代のトレーニングを見ていて「このクラブきっと強くならないだろうな…」と思う瞬間がありました。その日のトレーニングは終盤に差し掛かり、最後に実践的なトレーニングをしようということで、小さいコートで6対6の試合をされていました。このクラブは、多くの日本にあるジュニアユースチームと同じように、ボールを上手く扱えるようなボールタッチのトレーニングや、ドリブル、ショートパス、シュートのトレーニングをいつもやっておられます。つまり、ゴールデンエイジと言われるこの年代で、たくさんボールに触って、テクニックを磨くように指導されていたのです。

 試合が始まって思ったのは、攻撃のトレーニングになってないということです。ほとんどすべての攻撃が成功する状況なのです。守備が弱くて、攻撃側が多少ミスしても簡単にゴールできてしまう状況が生まれているのです。
 後から聞いた話なのですが、このチームは決して弱い訳ではなく、むしろ地域では有名なクラブだそうです。確かに人数が多かったのを覚えています。
 僕はとても悲しい気持ちになりました。結局、このチームが勝てる環境とうことは、どのチームも守備が上手くないということです。厳しい言い方をすると、このチームの攻撃を止められないレベルの環境だということです。
 おそらくですが、他のクラブも攻撃のトレーニングには時間をかけているでしょう。逆に、守備のトレーニングにはあまり時間をかけられていないのだと思います。ゴールデンエイジと言われるこの年代で、たくさんボールに触ってテクニックを磨くことは大切です。ですが、それと同じくらい「動ける体をつくる」のも「ボールを奪うためのテクニック」や「守備時の身のこなし」も大切です。それが全くできないまま、ゴールデンエイジを過ぎてしまう子どもたちが、可哀そうだと思いました。

 僕が海外に行って、実際に見たジュニアユース年代の子どもたちは、守備の能力が凄く高いだけではなく「守備意識」が高いです。メンタル的に、守備に対しての気持ちが強いです。

 例えば、自分が守備をしていて、相手がドリブル突破を仕掛けてきたとします。この時、「①抜かれることを仕方ないと思っている選手」「②抜かれることもあると思っている選手」「③抜かれるというのは、あってはいけないことだと考えている選手」で、集中力とメンタルに大きな差があります。
 日本では、相手が上手かったら「抜かれることも仕方ない」と思っている選手は多いです。ですが、スペインやアルゼンチンでは、抜かれるなんて絶対にあってはならないことだと考えている選手がほとんどです。抜かれるなんで、守備者にとっては「異常事態」「緊急事態」だと捉えているのです。抜かれたら、いち早く修正しなければいけないとわかっているのです。
 抜かれたら「全力で走って戻る」というのは当たり前です。この「抜かれる前の『思考』の常識」が日本と海外では全く違うのです。

 ちなみに、「抜かれた後の『思考』の常識」も全く違っています。抜かれた後、追いつかないと思ってあきらめたり、追いつけないかもしれないと思っていたりする選手はいません。海外ではそんな思考よりも「抜かれることは恥」だとか「抜かれたことに対する怒り」とかが勝ちます。「追いつかないかもしれない」という思考は生まれないのです。
 日本では、「他の味方選手がいるから大丈夫」だと思っている選手が多いです。抜かれた後、追いかけるのが恥ずかしいと思っている選手もいると聞きます。こんな「人任せ」で「自分勝手」な選手は、残念ながらチームスポーツには向いていないと思います。

 抜かれた後も、絶対に追いついてボールを奪い返そうとするのが常識であってほしいです。「抜かれたら全力で戻る」というのは、サッカーに対する情熱そのものの表れだと思っています。
 相手がボールを自由に持っていることに対して、何も感じなくなったら終わりです。ボールに対する強烈な執着心と、抜かれることに対する激しい嫌悪感を持っておいた方がいいでしょう。

 それは、大人になっても同じだと思います。ジュニアユース年代、ゴールデンエイジと言われるときから「常識」として持っておいた方が、間違いなく選手として成長するでしょう。
 今日は「抜かれたら走るという当たり前のこと!」というテーマでお話させていただきました。
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