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"超テクノ法要" での学び

2018年4月28-29日に幕張で開催されたニコニコ超会議2018の超テクノ法要(礼讃・正信偈)でVJを担当させていただいた。

テクノ法要との出会いは、昨年、築地本願寺で行われたイベントだ。

仏教といえば、どちらかというと伝統を重んじるばかりに新しいチャレンジがしにくいジャンルだと思っていた。そんな世界の中で、「ここまで振り切った取り組みをできている理由はなんなんだろう、可能であれば次回は運営側で関わってみたい」そう思った。たまたま、築地本願寺で映像演出していたのがTouchDesignerコミュニティで活躍している森中さんで、森中さんに次回は協力させて欲しいと連絡して、超テクノ法要でのVJが実現した。

正直、僕は宗教には縁がない。自分の家の宗派すらわからない。ただし、神様を信じていないかというと、そんなことはない。今でも小さな頃、自分を育ててくれた祖母を思い出すし、定期的に墓参りも行く。神社へ参拝にもいく。リビングに置いてあるガネーシャ像は、我が家の守り神だ。ただ、関心があるのは、やはり自分が温もりを感じられる範囲だ。墓参りに行くのは先祖へのリスペクトであり、参拝に行くのは身の回りの幸せを願ってでしかない。

神様の教えに理解があるかというと、正直、自分ゴト化できていないのだ。なぜなら、伝統のフォーマットが良くも悪くも自分に届きにくくさせているからだ。デザインの世界では、その時々において、商材がもつ価値をノイズなく消費者に伝える必要がある。その常識で生きている自分にとって、宗教はあくまで伝統の世界のものであり、自分ゴト化には遠い存在になっている。

テクノ法要を主催している朝倉さんの課題はまさにそこにあった。「若い世代の宗教離れを解決したい」。

その期待を裏切らない為に、自分がVJとしてこだわったのは次の2点だ。

(1) 伝統をリスペクトした上でテクノロジーで体験をリノベーションする
(2) 思想のメタファーである仏像を使いノイズなくメッセージを伝える

(1)については、まさに普段取り組んでいる、オーディオリアクティブにこだわった。場の熱気を映像に反映するために、音の波形を元に映像をその場でジェネレートする仕組みだ。あらかじめ、映像のルールをデザインしておけば、あとは波形が映像を作ってくれる。

(2)は、僕はデザインとは空気のような存在であるべきだと思っている。メッセージに必要のない装飾は限りなくカットしたい。そこで、今回は1にも2にも仏像で押し切ることにした。

今回、映像演出をしてみて、まだまだテクノロジーが解決できる領域は沢山あるというのが気づきだった。ニコニコ動画の「超テクノ法要×向源ステージ」の動画は、リアルタイムで2日間に11万人の方が視聴。ニコニコ超会議への来場者数は16万人。そして、超テクノ法要の場にいた人の多くがポジティブなコメントを発信してくれていて、テクノロジーが人の心を動かせる一助になれることを実感できた。

こうしたジャンルを見つけテクノロジーを通じて課題解決の手助けをする、これが自分の課題であり、歩む道だと思っている。

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今回の映像は以下のURLから、タイムシフトで無料で視聴可能です。

http://live.nicovideo.jp/watch/lv312195715
http://live.nicovideo.jp/watch/lv312220913

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