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懐疑の中で問い続ける、在るべき自分の姿

「良いものとは」という問いの答えを、他人に任せていいのか。

工藤美樹 氏

昨日、工藤美樹さんのこの言葉に最も心を動かされました。他にも多くのセッションに参加しましたが、この一言を聞いた瞬間に今回のAdobeMAXレポート内容が決定しました。


AdobeMAX会場の様子


Session Report
クリエイターの存在意義と価値が問われる時代における技術と思考についての省察 - 工藤美樹


※今回はセッショントーンに合わせる意図で文体を変えて書きます

1. 生成AIを操る知識と言語

工藤さんは広告業界第一線で活躍するレタッチャー。数々の著名クリエイティブのレタッチを手掛けているプロフェッショナルであり、経営者だ。昨日のセッションでスクリーンに映し出された作品群に圧倒され、クリエイティブの力を見せつけられた。

テーマは技術と思考。生成AIの技術はレタッチ業界に大きな影響を与えているとのことだが、工藤さんが戦う世界の市場規模と可能性は大きい。

Midjourneyとの比較におけるAdobe Fireflyの利点説明は非常に分かりやすかった。生成AIの技術を安全に商用利用可能であり、さらにレイヤー構造が生きた状態での画像生成という点においては、レタッチャーにふりかかってくる今後の課題をも払拭する。

私はこれまでのキャリアにおいて非常にディープなPhotoshopスキルと知見を獲得してきた。工藤さんも仰っていた通り、海外のデザイナーが制作したレイヤーデータと日本人デザイナーが制作したレイヤーデータでは精密さの度合いがまるで違う。複雑なクリエイティブ程その差は大きい。

AIに的確に指示するためには言語化スキルは勿論のこと、デザイン以外の様々な知識が必要となる。例えば「ドラマチックな光」を演出したい場合「レンブラントライティング」というプロンプトによって思い描く到達点へと導くことができるか。画像生成の品質や精度を高めるためには、そのディティールを引き出す言語を持ち合わせていなくてはならない。


2. 挑戦し続ける情熱を保つこと

私たちが過去の経験によって蓄積してきた技術が、新しい技術によって無駄になる、ということではない。新しい技術との相互補完によって、その技術者にしか生み出せない価値を創造するはずだ。私も同じように感じている。持っている視点と深さが違う。

そしてセッション終盤では以下の引用があった。

何かに挑戦したら 確実に報われるのであれば、 誰でも必ず挑戦するだろう。 報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。

羽生善治 氏

この言葉は、先日全社総会にて弊社社長も引用した言葉であった。まさにこの「宿った情熱を保ち走り続けることができるか」ということ。全てのプロフェッショナル人材に必要な言葉である。

知識や経験を蓄積し続けたその先に、好きで始めたことが嫌いになるとき、飽きてしまうときがいつかくるかもしれない。それでもクリエイティブに立ち返ってくるだけの情熱があるかどうか。「続ける」という最も大切な行為に付着する難しさだと思う。


3. ネガティブ・ケイパビリティで不確実性と対峙する思考

「良いものとは」という問いの答えを、他人に任せていいのか。

最短距離にて効率を重視し「答え」に辿り着くべきという現代社会からの圧力を受け、ネガティブケイパビリティを持てず、膨大な情報の中から答えを探してしまう人が居るかもしれない。しかし、答えは誰も持っていない。

私は、答えが無い状態のほうが楽しいと思える。

過去の事実から答えに近い選択ができるかもしれない。しかし、自分の人生、自分のキャリア、自分の思考、何が良いかという主軸まで、他人が出した答えに従うべきではない。それに納得すべきではない。常に考え抜き、行動していくことで、在るべき自分の姿に答えを出していきたい。


まとめ

以上AdobeMAXのレポートでした。他にも沢山の魅力的なセッションがあり、非常に勉強になりました。ここで書くと長くなってしまうため、別の機会にまた書こうと思います。今回得た沢山の気付きを、今後の業務に活かしていきます。


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