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シャングリラへゆく⑮聖地 理塘へゆく

理想郷のことを人はシャングリラと呼ぶ

雲南の香りに魅せられて僕は旅をした
冒険家が探し求めたシャングリラに想いをよせ
奥へ奥へ雲南省の秘境を旅した記録

①から読めばより深く楽しめます
シリーズ「チベットへゆく」の第二部
シャングリラへゆく物語

聖地 理塘へゆく

四川省甘孜カンゼ県に位置する理塘リタン
を地図でみてみる

中国全体地図のチベットエリア

麗江から理塘リタンまでの片道約400kmほどある

雲南省と四川省の位置関係と理塘の場所

山奥にあるサキャ派の寺の流れを持つ
明珠佛学院を後して
陽が沈む前に理塘リタンを目指し北上した

理塘リタンよりも250km北に甘孜カンゼ県の町がある
甘孜カンゼとは白く美しいという意味を持ち
このエリアにはチベット仏教寺が多く点在している
甘孜カンゼ周遊するコースもあり
有名な寺を数日間かけ巡る巡礼旅行者も多くいる

本音を言えば そこを回る旅を1度してみたい
でも、ここを巡る旅は
家族旅行で巡るような旅ではなく
一人旅で巡るような場所

僕が中国で住むようになり数年が経った時に
1枚の写真を見て 行って見たいと思った場所
それが下の写真になる
中央の寺院の周りにあるのは修行僧の家
それが密集してすごい景観を作っていた

ラルンガル・ゴンパ

この寺を 
ラルンガル・ゴンパ(五明佛学院)という

ここに行くには四川省の成都から車で
15時間程走り色達という村に行き
約1時間程バスで奥入った地にある
世界最大の仏教学院だった

元々は小さい集落で
1980年代にジグメという名の僧の元に
修行僧が集まりだし徐々に修行僧が増えた場所
写真で見える景色全部がそんな僧達の家
ピーク時には4万人ほどが暮らしていた

2000年代に入り中国政府が解体へと舵をきり
外国人の入居が禁止となる

その為、行っても入れるかは分からない
実際に入国を果たした旅行者も多くいて
ブログで投稿記事も多く見つかる
運がよくなければ外人は入れない場所

検問を突破しバレないようにするとか
検問が緩く問題ない時期とか
見つかり追い返されたとか情報は様々で
外人は行かないと入れるか分からない場所で
基本政府は外人は許可していない。
中国人は問題なく行ける

僕も1度 聞いてもらった事があり
その時も
外人は受付してないと言われた

行くなら個人で潜入するしかなく
かなりの奥地なだけに
曖昧な情報で行くには遠い上海からでは
リスクがある

中国国内旅行ツアーでは
1日学院への体験コースなどもあるらしい

その後、一方的な解体が進む

今では半分程に縮小され
ホテルが建ったりし
観光地化へと姿を変えてると聞き
ショックを受けてた

この景色はもう見る事が叶わない
ここがもし今でも解体されず
普通に行く事が叶う場所だったなら
拉薩より僕は先にここへ
向かっただろう

拉薩に入るより前に見てみたいと
思っていたからだ
しかしそれは夢で終わった


四川省の山奥には
チベット仏教徒が多く根付いている

その中でも理塘リタンは過去に
数人の転生僧トゥルク
生れ堕ちて有名なった事もあり
度々チベット仏教史に登場する地名でもある

理塘リタンで発見された
ダライ・ラマ7世も その一人である

ダライ・ラマ七世

夕刻もうすぐ陽が沈むという時刻
理塘リタンへ辿り着き
そのまま、ダライ・ラマ7世の生家へ行った

車を止め参道を歩き生家を探した
生家の周りに行くと
かなり綺麗に整理されている印象
街の綺麗さを感じる

強い西陽をが降り注ぐ高地にある理塘リタン
参道に入るとチベット民族の巡礼者に
引き寄せられついていく

巡礼道に沿って歩く

何処からともなく巡礼者が集まり
数珠を指で転がしながら歩く

巡礼者に近づくと お経を唱える歌が聞こえ
何処からか太鼓の音や
鐘の音が響き
聖地に来た事を知らせてくれる

僕は息切れし
少し心臓の鼓動が早くなり緊張する
ダライが生まれ堕ちた地へと
太鼓の音が僕らを導く

ダライ・ラマ七世 生家

一際目立つ その建物
朱色と白の綺麗な壁
ポタラ宮殿を連想させてくれる

ダライ・ラマ七世生家入り口

門は小さく門前には強いお香が炊かれ
モクモクと途切れる事なく煙をあげていた

いつしか僕は
結界の内側へ足を踏み入れていた

狭い門をくぐる

中庭があり1本の狭い階段があった
2階に上ってみると
部屋に入る小さな扉は開いていた

中から太鼓の音が響く
先程聞こえていた太鼓の音
近くで聴くと全身に響く
そこに僧の唱えるお経が重なる

吸い込まれる恐怖を感じながら
足を一歩中に踏みこみ
頭をひくくし扉をくぐる

七世が生まれ堕ちた部屋に入る

僕は恐る恐る足を動かすが
古くなった廊下はギュッ ギュッと
キシム音がなり1歩1歩と進む足は慎重になる

部屋に入ると部屋中に太鼓と、お経、鐘の音が
3つの音が響く
反響が凄くて全方位から体に伝導し
波動が第六感を刺激する

心臓はバクバクと音を立てる
今、この部屋には僕と僧の二人しかいない

ダライ・ラマ七世の部屋
ダライ・ラマ七世の部屋

蝋燭は太鼓の波動でドゥン、ドゥンと
震えながら揺れている

僧の口から唱える真言は壁に当たり反響し
僕の脳を刺激し思わず鳥肌が立つ

この場所に
詩人法王だったダライ・ラマ六世は
あの詩の約束を守り堕ちてきた
そしての能力者により発見された

七世の発見も神がかっていて面白い

子供の名はケルサン
母親が、寺に幼いケルサンを連れて
巡礼をしている時の事

一人の僧がケルサンを見て
急にトランスした

トランスというのは 
意識をもったまま何かに憑依され
特殊な能力を得たり本来、その人の持つ
能力以上の力を一時的にはっきする状態

神託師など神のお告げをきく際に
トランスし神を憑依させたりする能力
日本で言う いたこ もその部類

トランスした僧は
神のお告げをきき母親に
その子(ケルサン)は
詩人法王の生まれ変わりです

と告げる

その噂は拉薩まで届く
詩人法王ダライ・ラマ六世は二十歳を
過ぎた頃から仏道に身が入らなくなり
夜寺を抜け出して町に遊びに行くようになり
酒を飲んだり恋をしたりしていた

その姿にダライ・ラマ五世から使え信望する
モンゴルの権力者ラサン・ハーンは耐えきれず
六世を拘束し偽物の烙印を押した

チベット側は神託師に占いを依頼

神託師の回答は
彼は偽物ではなく本物とお告げが降りる

チベット側が法王を取り返そうと
モンゴルとの衝突が起きる

事態が悪化していく中で六世は争いを
回避する為に清国の皇帝のいる
北京へ向かう事を了解し、その旅の途中に急死
23歳という若さで転生した

六世は詩人法王と呼ばれていて俗化していた時
多くの詩を残していて、恋の詩も多く
恋するダライ・ラマでもあった

彼が残した1つの詩がケルサンを七世として
承認するキッカケとなる

その詩が

二つの羽を私にください
鶴に羽根を借り理塘に戻ってきます

(理塘で生まれかわるという意味)

六世の詩

モンゴルのラサン・ハーンは別の六世を用意し
これが本物だとして拉薩に連れてきた

新たに連れてこられた僧は六世として
祭り上げられる

傀儡ではあるが一応六世として
ポタラ宮殿の座に座わる事になる

表立ってケルサンを七世に出来ない
もしラサンにバレては殺されてしまう

秘密裏にケルサンは青海湖付近にある
ツオンカパが生まれた地に建てた寺
クンブム寺へ預けられる

その後
清国の後ろ盾を受け
チベットからモンゴル政権を排除しながら
戦いが繰り広げられ
ラサン・ハーンを倒し傀儡六世は捕らえられ
七世(ケルサン)はポタラ宮殿の座に就く

この物語を本で読んでいた為
六世が好きだった僕は理塘リタンという名に
特別な思いがあった

ここはダライ・ラマ六世が
転生する為に選んだ地
そして
この部屋に堕ちてきた


美しい町の 理塘リタン
海抜4133mに位置し山を背にした大草原
強い西陽は白い壁を照らし町をオレンジに染める


美しい名の理塘リタン
この美しい響きの名をもつ地に堕ちた仏たち


美しい話の理塘リタン
ダライ・ラマ六世が
恋人と来世で結ばれる為に選んだ地

もしも
転生する地を選ぶことができるなら
僕は どこに生れ落ちる事を願うのだろうか

来世も日本を選び
もしも中国に来なかったら…とう人生を
選択するのだろうか?

同じように中国に来て
妻を探し娘を探しにやってくるのだろうか?

生まれ堕ちる地が
僕にとってのシャングリラである事を願うだろう

来世もまた僕は
仏の住む世界に生まれたい

聖地 理塘へゆく

その後 5人はホテルへ向かいチェックイン

この町に来た事が僕は
信じられないほど嬉しくてたまらなかった

恐らくもう二度と来ることはないだろう
そんな辺鄙場所

歴史と景色と地名が輝きを放ちながら
頭の中で共鳴している
この地で起きた転生僧の物語は
本当に美しいと思っていたから
ここに、これた事に運命を感じていた

そうここは
六世が堕ちる為に選んだ地 
美しい理塘リタン

⑯旅は海抜との戦い へ続く

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