企業理念は同質性、ミッションは多様性

マネージャーとして人を採用しようとするとき、どのような人を採用すれば良いのかを考えたことはあるかと思います。

私が採用をするときいつも考えるのは、「今のチームに足りない要素を持っている人」を入れたいのだけど、一方で「企業理念に合う人を採用しなければならない」とも思う、つまり多様性と同質性を同時に求められている、と感じるのです。

価値観が同じで、役割が多様な人を取れば良い、といえばそれまでですが(この記事はそのような結論になっています)、基本的に価値観が同じなら役割や性格も近くなり、多様な人を採用して組織を強くしよう、という考えとは逆になってしまいます。

今日は、同質性と多様性を「企業理念」と「ミッション」とう企業において重要な2つの要素から考えます。

そもそもの企業理念とミッションの本質的な違い

「企業理念」と「企業のミッション」は、どちらも企業経営において重要な要素ですが、一方で二つは異なる側面を示しています。

企業理念は「企業が何を大切にし、どのような価値観を持つか」を示す基本的な考え方であり、これは企業の文化や倫理、社会的責任を反映し、企業の存在意義や根本的な信念を表します。

一方、企業のミッションとは「企業が市場で果たすべき具体的な役割や目標、顧客に提供しようとする価値」を明確にするものです。

企業理念は同質性、ミッションは多様性

企業理念と同質性
この二つの関連性は明確です。企業理念に基づく同質性は、組織内で共有される価値観や信念、文化の強化を促進します。これにより、社員は共通の理解と目的のもとに団結し、組織の目標達成に貢献します。

企業ミッションと多様性
この二つの関連性も重要です。多様な人材が集まることで、異なる視点やアイデアが生まれ、企業が直面する複雑な課題に対してより革新的で効果的な解決策を生み出すことができます。

同質性と多様性の人材戦略

「企業理念と同質性」「企業ミッションと多様性」の観点で企業を構成する際、人材戦略は以下のように考えることができます。

  • 企業理念と同質性に基づく戦略:企業理念が示す価値観に共感し、それを体現できる人材を採用し、チームワークと協力を重視する文化を育成する

  • 企業ミッションと多様性に基づく戦略:ミッションを推し進めるために必要なピースを埋める、という考え方の下で異なるバックグラウンドを持つ人材を採用し、創造性と革新性を奨励し、組織内のインクルージョン(包括性)を高めるプログラムを実施する

つまり「価値観が同じで役割が多様な人を招き入れる」という形で人材戦略を考える必要はありそうです。

まとめ

企業が成功し、持続的な成長を達成するためには、企業理念と同質性、企業ミッションと多様性をそれぞれバランス良く統合することが重要ではないかと考えます。

企業理念に基づく同質性は、組織の結束と文化を強化します。一方ミッションはミッションと多様性は目標達成と革新を促進します。双方を適切に組み合わせて企業に取り込むことは、企業が市場での競争優位を確立する上で不可欠と考えます。

今日はマネジメントとは少し離れましたが、本記事を読んだマネージャーが自分の企業における同質性と多様性はどのようなものがあるか、考えてみるよい機会になればと思います。

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