南国でカフェ創り その3(破産編)

セミリタイア直前、銀座のとあるバーで行われた5万円の投資セミナー

セミナーの講師はトレーダーというより本物の相場師。
原油相場を専門にやってるHさんという人で、
自己資金で200億円程度を運用してる、ちょっと規模が違う人・・・

会場は銀座という土地柄もあって、
スーツをビシって決めてイカつい指輪はめてるいかにもな人や、
裕福そうな女性達。
めちゃくちゃ地味な茶色のスーツでビルの管理人みたいなおじさんもいた。
総勢20人くらい?

セミナー開始の時間。
では、始めまーす、Hさんお願いします。って司会の主催者が声掛け。
そしたらなんと、後ろにいた僕の人生でも5本の指に入りそうな
「地味なおじさん」こと、
ビルの管理人おじさんがマイクを持って話しだしたよ・・
おいおい。。

あまりの衝撃に一瞬たじろいだけど、
ここは気持ちを切り替えて、スゴイ人の話をしっかり聞いておこうと。笑

セミナーを終えて、さすがは僕の一目置く先輩。
名刺をその人に渡して、今日のお礼を伝えて
連絡先の交換までしたみたいだった。
なかなかの大人仕草だな・・とその時は感心した。

その後、先輩はその人と連絡を取り合う仲になり
最近はこうだ、原油はこれから下がるよ、
などの情報をもらえるようになったみたいで、
先輩はぼくにもそういった情報を教えてくれてた。

トレーダーにも鉄則があって、
「他人の売買情報はアテにしない」
自分で決めていないから明確なロスカットができず泥沼にハマるから。
僕は聞き流す程度にしていた。

さすがに大物相場師。
話し半分に聞いてるけど、ほんとに当たる当たる。
あまりにも当たるから
僕も、この人は規格外の本物なのかもしれない・・・
と徐々に信用するようになっていった。

そうこうしてるうちに、
僕はトレード自体に飽き、お金の増減にも飽きてた。
そろそろ区切りつけてトレードをやめよう、と思い出してた。

他の人には勿体ないと言われるけど、
自分の中では、いつまでもダラダラ続けても仕方ない、
一回捨てて、次の何かを得るべきだ、と。

アイスキャンディー屋のテナント契約も済ませたし、
これから次のチャレンジ、セミリタイアに取組もうとしてた時期。

そんな時に、また先輩から連絡がきた。
「Hさんがまた原油下がる、って言ってたよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

これでドカンと増やして終わりにしよう、と
心の緊張感も無くして油断してた僕は、
最期の最期、この誘惑に負けてしまった。

普段触らない原油はレバレッジ(元本にかけられる倍率)も
値動きの荒さも全然違う。
散々いままで当たっていたHさんの情報が、今回ばかりは
逆に動いてしまった。

そこからはまさに地獄。
レバレッジを掛け過ぎて急激に減っていく資金。

リカバリーしようと売買するけど、
普段と違う値動き、パニックになっていたのか、
心の規律も失っていて、ただのギャンブルみたいになってしまっていた。

勝って当たり前、月単位で負けたこともないくらい、
トレードで稼げていたのが嘘のように、やることなすこと
全てが裏目に出た。

驚くことに20連敗以上したんじゃないだろう。
悪魔がとりついたのか??っていうくらい負けまくった。

その年の利益は1億円。
ざっくり税金は2100万程度は払わないといけない。
ちょうど年をまたいで税金が確定した、2月~3月の出来事だった。

最期のほうで、6000万ほどになった時、一度、止めるチャンスはあった。
自分でもさすがにヤバいな、って思ってたし、
税金払って、手残りざっくり4000万。
リタイアする予定だったのに・・・

当時は金銭感覚もズレてて、4000万くらいじゃ何もできない、
絶対大丈夫、自分なら取り返せる、やろう!
って感じで、最期の賭けにでた。
でも状況は変わらず、負けに負けて最後は100万円に。

もう生活費も残さないと、ってところまできて、
ついに降参。
この100万円は当面の生活費にとっておこう、と。

それが3月頃の出来事。
そこからは自分で県税事務所へ行って
「こういうことだから、発生した税金が払えません。」
と恥ずかしながらも説明しにいった。

県税側の回答は
「事情はわかったけどどうしようもできない、とりあえず金額が大きいから、もしかしたら管轄がうちではなく、国税局にまわるかもしれない。5月には結論でるだろうから、とりあえず待っててくれと。」

そんなやり取りをして、結果的に6月まで待って、
国税局の管轄と決まって封筒がきた。

「国税局の管轄になりましたから、こちらに連絡してください。」
みたいなことが書いてあった。

電話して、
「どうすればいいですか?」と聞いたけど、
向こうもどうしようもない。
「とりあえず明日行きますから、その時に話し合いましょう」

そんなやりとりをして、次の日に合うことになった。

話し合うといっても、無いものは無い。
お金が無いんだから、税金の取りようもないだろうよ。
くらいに思ってた。笑

4月~6月までの2ヶ月間。
国税と決まってから、話し合いに入るまでの時期が一番ツラかった。
さすがに落ち込んで、

・いったい今までの努力はなんだったんだろう?
・全てを失ってしまった
・これからどうなるんだろう?
・俺がやってきたことってなんだったんだろう?

みたいな、過去のこと、これからのこと。
泣いて泣いて、泣きまくったりもした。

いま振り返っても、あの時期が人生で一番、未来が不安だった時期だと思う。笑



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