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フランスパンとワインとうなぎ

もうすぐ土用の丑の日ですね。

ここ最近無性にうな重が食べたいという衝動に駆られているのですが、フランスでうなぎは普段食べる機会がほとんどない魚です。ましてや、蒲焼のたれをつけて食べるとなるとフランスの地方都市に住んでいる限りはほぼ不可能な芸当。パリまで行けばうな重を出している日本食レストランはありますが・・・とりあえず今は我慢の日々。

思い返せば前回うなぎを食べたのは約1年前。趣味でうなぎを釣っているフランス人の友人にご馳走になりました。

とても美味しかったのですが、何かが違っていました。

その違和感の原因は、タレのついたうなぎの蒲焼の映像が食べる前から脳を支配してしまっていて、現実のおフランスのうなぎをうなぎと認識しないから。無論、食感は同じだけれど、バターと香草を使ってソテーしたシンプルかつ上品な味付け。

確かにうなぎを食べた事実には変わりないけど、消化不良感は否めず。薄々は気づいていたけれど、うなぎと共にご飯にかかったタレが大きな役割を担っていたんだなと痛感。

ご飯と味噌汁が合う、昔から知っているうなぎの姿は目の前にはもういない。フランスにいる彼女が選んだのはワインとフランスパン。変わってしまったのは彼女じゃなくて、変わらないといけないのは僕なんだと感じた夏。

ちなみに、日本に生息するニホンウナギとフランスのヨーロッパウナギは似ているけど別種。つまり、そんな食べる側の一方的な思いをぶつけられても別人だからお門違いもいいところなんですけどね。

近年日本では天然のうなぎの資源保護をどうするかという議論がなされていますが、フランスではうなぎ漁は免許制で漁獲時期が4月から8月までと決められています。乱獲を防ぐために捕獲していいうなぎの大きさも厳格に決められているようです。なので、おフランスのうなぎが日本に輸出される日が来る日は遠そうですが、もし彼女が日本に嫁ぐ日が来たらフランスパンとワインを出してあげると喜ぶんじゃないでしょうか・・・たぶん。

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