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#01「スキーホリデー専門家」が、スキーリゾートに来ている他のファミリーを見て思うこと(前編)

わたしはしばらくの間、海外にある「スキーホリデー会社」にて、「スキーホリデー専門家」として仕事をしておりました。正式な肩書は、その会社の日本支店長でした。

「スキーホリデー」って何?と多くの方は思われるでしょう。

普通の方々には馴染みのないものなので、ピンとこないかもしれませんが、「スキーホリデー」とは、数日から数十日の休暇をスキー場で過ごすことで、スキーをするためだけにリゾートに滞在するというより、スキーのできるリゾートに滞在して、スキーだけではない休暇を楽しむというニュアンスがあります。

その「スキーホリデー」を計画している人たちのために、その人たちの目的どおりのホリデーとなるように、ご希望の内容や予算にぴったりのスキー場やホテルや交通手段を選んだりして、スキーホリデーをオーダーメイドする旅行会社のことを「スキーホリデー会社」と呼び、その仕事をする人たちが「スキーホリデー専門家」です。単にスキー旅行専門の旅行会社と捉えられてしまうこともありますが、わたしたちのミッションは、お客様にスキーホリデーで幸せになってもらうことで、スキーホリデーはそのための方法ですので、宿や航空券を言われたとおりに手配するだけの性質のものとは随分と異なります。

わたしのチーム内での主な役割は、遠く離れた本国にいるチームメイトの代わりに日本各地のスキー場やホテルを訪れ、現地の情報をアップデートしたり、ホテルやスキー場やスキースクールのサービスの質を確かめたり、送客や料金の契約を結んだりすることでしたが、現地にいるということもあり、お客様と直接接する機会も社内で最も多かったです。

お客様はそれなりに裕福な(でも日本でもこれぐらいの収入がある世帯は結構多いのではと思う)層の方々で、スキー場でお会いするお客様は皆楽しそうで、イライラしながら滑る準備をしていたり滑っているような方は見たことがありません。それは彼らが裕福で余裕のある人たちだから、というだけではなく、スキー場も宿も、利用しているサービス全てが彼らの期待通り、もしくは期待以上のものであるからという理由と、ストレスになるようなことは極力排除するようなサービスを追加料金で選んでいるという理由からです。

それらは高級ホテルであったり富裕層向けのサービスであるという意味ではなく、そこそこのグレードのホテルやサービスであっても、支払う料金に見合った十分な施設とサービスであることを、わたしたちスキーホリデー会社が事前に確認して、お客様に事前にちゃんと内容を説明をして納得してもらってから予約をして、そして実際にその期待通りもしくは期待以上だったから、満足してもらえています。

つまり”事前に正しく伝わっていた”からだと思っています。

皆さまも旅行先で「事前に知っていれば、こんな苦労はしなかったよね」とか、「こんなに面倒だったら、有料でもオプションでサービス追加しておくべきだった」とか経験したことありますよね。

折角楽しいスキーホリデーに来てイライラしている人のイライラの原因は、事前に知らなかった予想外の不便さや、想像していたよりもさらに大きな不便さに直面したときに感じるのではないでしょうか。もちろん、悪天候による公共交通の遅延や、子供や同伴者の予想外の行動とかのトラブルもあるかもしれませんが・・・。

そんなストレス要因を極力排除して楽しみを最大化した、お客様の希望をかなえる最高のスキーホリデーを計画して販売することにより、お客様に最高の思い出を作ってもらって、そして来年もその先も何度もまたスキーホリデーに行ってもらえるようにするのが、わたしたちスキーホリデー専門家のミッションであり、これをスキー産業や観光産業全体の中の役割という視点で見ると、ずっとスキーを滑りつけてくれる人たちを増やして、産業の発展にも貢献しています。

少し脱線してしまいましたが、わたしはそんな”間違いのないスキーホリデー”を計画して実施することの専門家でした。


そして今、そのスキーホリデー会社は、日本に支店が無くても日本のスキーリゾートに十分に安全にお客様を送客出来るほど各スキーリゾートとの関係を成熟させたことから日本支店を閉鎖して、わたしも予定よりも少し早く契約が終わってしまったのですが、わたしはそのスキルを今度は自分の家族が楽しくスキーを滑られるように最大限発揮しています。尤も、家族は本音ではどう思っているかわかりませんので、厳密には「発揮しているはず」というべきかもしれませんが。

わたしは日本でも有数のスキーリゾートがある町に住んでいますので、冬はほぼ毎週末、家族でスキーを滑っています。少なくとも家を出てスキー場で滑って帰宅するまでに、妻や子供には余計なストレスは感じさせいないはずです。ただ、世の中の常識として、顧客を満足させるよりも家族を満足させることの方が難しいので、実は少し自信がないのですが。

そんなわたしが、スキーリゾートで、大多数の楽しそうに過ごしている人たちの中に時々見かける、イライラしていたり怒っている人たちを見て思うことを、これから書いていきたいと思います。

「その人たちが、どうすればストレスもイライラもなく純粋にスキーホリデーを楽しめるようになるのかなあ」

とか、

「そもそもそんなことが起きないようにするために、どんなサービスがあれば良いのかなとか」

とか、

「そもそもスキーリゾートはどうあるべきなのかな」

ということを、
大きなトピックと小さな小枝の話題とを織り交ぜながら書いていきたいと思います。

特に、小さなお子さんやスキーに不慣れなご家族を連れたスキーホリデーを考えている方々のヒントや助けになるような内容を書いていきたいと思います。

次回は
「スキーホリデー専門家」が、スキーリゾートに来ている他のファミリーを見て思うこと(後編)
です。

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