Rainy Day, Small Egg, Big Hope
雨の阿佐ヶ谷駅のホームで、特に行くあてもなく立ち尽くしていた。
限られた数しかないベンチには、若い二人が腰掛けて、
肩寄せ合っておにぎりを頬張っている。
足元にはカートを置いて。
どこか遠くに行くの?
どうか幸せに、ほんとにどうか、幸せに。
さっき食べたラーメン屋の店主が、
気配を消すかのようにススっと近寄ってきて、
頼んでいない味付けたまごを置いた。
「雨の日サービスです」
と彼は言った。
僕はこのたまごひとつで、
残りの人生はイケると思う。
みんなどうか、幸せに。
どうか。ほんとに。
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