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新たなステージ

靴磨き屋として地元長野県で独立してから1年半ほどが経過しました。

辰野町という長野県の中心辺り、いや日本の中心に(座標的に)位置する人口2万人弱の小さな町。
南北に長く走る谷には数多くの蛍が生息し、毎年その光の絶景は人々を癒してくれます。
そんな町の駅前商店街のシャッターとシャッターの間、妻の甘酒屋さんの建物内にスペースを借りてAtelier FUJITAYAはスタートしました。

とにかく名前を覚えてもらえるように、何をやってる人かが伝わるように、
『靴磨き』『山岸賢治』とシンプルな名前を掲げ県内各地のイベントやお店に出店しつつ、アトリエにもお客様を呼べるように少しづつレイアウトを変更しながら営業してきました。

日本を代表する山脈を有する長野県では、革靴を履く機会や靴磨きをする習慣が無いという方も多いのが実情です。
しかし革靴は履く機会があるから履くものではなく、履きたいから履くもの、気負って履く必要はない、気に入ったものを思いっきり気楽に楽しく履けばそれでいいはずです。
その為には安心してメンテナンスや相談を持ち込める存在が必要。

『山岸くんがいるから、安心して革靴(革製品)を楽しめる。』

そう言ってもらえるような存在になる事、そうやって楽しんでくれる人が一人でも増える事。
それがきっと僕がこの田舎で靴磨き事業を続ける意味であり使命なんだと。

気がつくとあっ、、という間も無く1年半が経過しようとしています。
僕が残した痕跡はまだまだ小さく頼りないものですが、着実に繋がり広がろうとする波でもあります。

そしてその波はこのタイミングで素敵な縁を運んできてくれました。

Atelier FUJITAYAより南に20km。
南アルプス、そして中央アルプスに抱かれるようにして辰野町より少しだけ拓けた平地を有する伊那市。
桜で有名な高遠城址に向かう道沿いに、新たなお店を構えることとなりました。

かつてハイセンスなカフェとして人々の憩いの場であったその場所に僕たちは『汕』(さん)と名付けました。

天竜川と三峰川の淀みない流れ、そこを泳ぐ魚たちの鰭が創り出す小さなゆらぎ。止めどない時間の流れとその中で行われる僕らの生産活動。
”非”日常ではなく”日常”が輝く事を目指して。

20歳で初めて革靴を買い、靴磨きと出会った僕は文字通り靴に導かれるようにして今に至りました。
『いい靴はいい場所へ連れていってくれる。』
良い靴も、良い場所も、良い人も、結局は自分で見出していくものですが、いざ出逢った時に見逃さない感性が必要です。

靴磨きにはそれに気付ける力がきっとあります。

Atelier FUJITAYAで学んだ多くのことに感謝し新たな形で皆様の足元を輝かせられるように。
Atelier FUJITAYAの営業は2024年4月末をもって終了とし、2024年5月より『汕』を始動します。


おわりに、
長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。
本日より4月末までにAtelier FUJITAYAにてご依頼いただいたお客様には、

”2個口以上まとめてのご依頼で¥1,000-off"
とさせていただきます。

「靴2足」でも「靴とお財布」でも「ベルトとジャケット」でも組み合わせは問いません。

是非最後にこの歴史ある素敵な空間に遊びにいらしてください。
蛍のように繊細で美しい光を放つ靴が、あなたの未来を輝かせてくれると信じて。

2024年3月25日 Atelier FUJITAYAにて



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