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[詩」 D.I.Y

題名にある .I. の形がなんか鼻みたいで好き
テレビを長らく見ていないことに気がついていたことに
テレビがついていたから気がついた

自分で作ったタロットカードを混ぜていた。二時間ほど前だった。画用紙をちょきちょき切って自分で絵を書いた。はじめの二枚は苦労して絵を描いた。急にひらめいて、三枚目からは、カードの真ん中に愚者とかなんとか。しっかりとした漢字を筆ペンで書いた。得意じゃないことをやらないほうが良いと誰かが言っていた。確かに、と肯定しておいた。縦書きだそして筆ペンだ。もうすでに絵を描いてしまった2枚は。ラッキーカードに決めた。それを引いたらどんな不幸も。信じられないほどのラッキーの予兆。まだ起こってはいない。だからハズレない。カードの真ん中に大きな漢数字そして。その下に少し小さな字で漢数字。さらさらと書いていった。私は、書道二段だった。大アルカナカードのはずが亜流歌無という文字が浮かんだ。手を2。3度頭の上で振って取り消したから。ノーカウントなはずだった。どこかで伝道された神話のはずだった。嫌い嫌いも好きのうち 継続こそ力なり。エイヤッと。かっこ悪かった。ツイキャスやってなかった。ラッキーだった。セーノっと。なんだそれ。何だそれもたいがいだった。無言で一枚引いた。棒の九だった。ネットで調べた。困難に備えて慎重に準備をすすめる。ただし大きな動きはない。あっそう。バナナを一房かごから取り出して。ほかのバナナを傷つけてしまわないように。布団がすでにしまってある家具調コタツに右手小指を激突させながらも丁寧にもぎとり。皮を丁寧に私の左手拳の幅ぎりぎりまで一定のスピードで剥いて。白いヒモはそのままにして。大口でもおちょぼ口でもない適切な大きさで口を開け。優しくかぶりつくと。モグモグ噛んで噛んで飲み込んだ。モグモグ。前行を繰り返した。念の為だ。むせないように昨日に較べてやさしく食べた。うん。おいしいかも。もう一度。誰だ? ハイ。大変においしいと思います。都内のスポーツバーにいくのをやめて。ポテサラを最後に砂糖を加えるくらい丁寧に作った。冷やしてあった缶ビールを取り出し。「とっておき」というあだ名を今つけたビールグラスに三度注ぎをして泡を作り。チビチビ飲みながらサッカー・ワールドカップ予選を見た。いけない。忘れていたので。正座した。そろそろとだった。サッカーの試合は1−1。エキサイティングなはずだった。あと5分で終わる時に風呂に入る時間が来た。後ろ髪を引かれないように焦ったふりをして風呂までイチニ。イチニと行進した。サッカーなど何の興味もなかったが和を乱さないことが人生を乗り切る秘訣だろうと。なんとなく思った。石鹸が手から飛び出ないように。そっとなおかつしっかりと持つのよ。シャンプーは。手からこぼれないように少なめにね。泡で洗うイメージよ。忘れないでだと。思い出した。自分で自分を励ましていることを誰かが見ている気がして。焦りは禁物とひとりごちてみた。ほめられたかった。風呂から出たら天気予報で。風が強くなると言っていたのであらゆる事をやめた。用意周到だった。完璧だった。最後にやっと準備らしきものができた。お風呂マットをベランダに干した。冷やしておいたミネラルウォーターを飲んで布団に入った。心配無用だ。慎重に電気は消してあった。棒の9だった。困難に備えて慎重に準備をすすめる。ただし大きな動きはない

今日は時計的にはもう終わろうとしていた
強風が吹き 
お風呂マットがマジックカーペットのように空を縦横無尽に舞う
明日の夕刊に電車を止めたことが小さく乗るはずだった

遠くのいつもの山が夜なので黒く見える
その黒に緑が混じっていることがどうしても信じられなかった

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