『Around Grapefluit』★★★☆☆(3.0)音楽購入履歴#3
Title:Around Grapefruit(1968)
Artist: Grapefruit
Day:2024/2/3
Shop:disk union shimokitazawa
Rating:★★★☆☆(3.0)
ビートルズの秘蔵っ子?
「うわーーこんなんおったな。」
ディスクユニオンでCDを物色してて手に取った1枚。
68年Grapefruit(グレープフルーツ)の1st『Around Grapefruit』。まんまグレープフルーツのジャケットだけど、断面の気持ち悪さと上半身スプーンの物体、サイケですねー。
YouTubeやサブスクで何度か聴いたことがあるがそんなに頭に入ってない、そんなアルバムで、こういう程度のアルバムが1番買い甲斐があるというか、「買うことで頭に入る!」って感じがして。「買うことでちゃんと聴ける!」っていう謎の気持ちがあって。YouTubeでもサブスクでもちゃんと聴けるんですけど、ちゃんと聴かなくてもいいんですYouTubeとサブスクって。けど「買ったからには」って強迫は人をちゃんと盤と向き合わせるんですよね。
多分ほんとのことを言うとサブスクでちゃんと聴けない時点でもう聴かなくていいんです、必要としてないんでしょう。でも聴きたい!だからじゃぁ聴けよサブスクで。んーなんか聴けない。じゃぁ聴くほどのもんじゃないってことよ。いやでも聴きたい!買ったら聴けそう!!ってゆーなんとも捻れ捻れた購入ってのがあるんですよね。
まぁでもこれはサブスクの欠点の話でもあるのか。
グレープフルーツを一度ちゃんと聴きたかった!その想いはほんとなんです。
グレープフルーツといえばビートルズ秘蔵っ子というイメージで。メリーホプキンやバッドフィンガーらと同じくビートルズが設立したアップルレコードから音源をリリースしたバンド。
という認識だったんだけど、実はアップルからリリースしてないのね。びっくり。
どうやらアップルコア(ビートルズが設立した会社)の設立からレーベル部門のアップルレコードが始まるまで少しのタイムラグがあったようで、グレープフルーツはタイミングが合わずRCA?コロンビア?からリリースされたとのことで。レーベルよりも早くに作られたのがApple Publishingという音楽出版部門で、グレープフルーツはそこと契約したということらしい。
とはいえそのバンド名もジョンレノンが与えたり(オノヨーコの詩集のタイトルから)、ジョンとポールがアレンジに参加したり、ビートルズがインドに行ったのでほっとかれたり、まぁそんな感じみたい。この68,69年のアップル周りはビートルズ自身バタバタしててバッドフィンガーも含めて振り回されっぱなしという印象。
アップル関係ないが、同じくジョンからバンド名を貰ったThe Cyrkleもブライアンエプスタインが死んで路頭に迷ったし。
グレープフルーツのメンバーの知らなかった人脈
本当に「ビートルズ絡みのバンド」くらいしか認識してなかったので今回CDを買って知った事実に結構驚いたり。これもCDに記された情報ってわけじゃなく、買わなくても調べれたことなんだけど。でも買ったから調べたんです。笑
ほぼ全ての曲を書いたのがベーシストのジョージ・アレクサンダーという男。彼が最初にアップルと作曲家として契約し、そこにTony Rivers and the Castaways(UK版ビーチボーイズと言われているらしい)のメンバーが加わってグレープフルーツが結成された。
このジョージ・アレクサンダーという男、本名をアレクサンダー・ヤングというらしく、なんとAC/DCのアンガス・ヤング、マルコム・ヤングの兄であるらしい。
AC/DCといえばオーストラリアを代表するハードロックバンドだけどヤング家は元々スコットランドに家があって。あ、AC/DCはほんまに〝Back in Black〟しか知らないくらい知らないです。
1963年にイギリスは超絶寒波と豪雪に襲われて、「Big Freeze1963」なんて呼ばれてるらしいんですが。それでヤング家はオーストラリアに移住したみたいで。
アレクサンダーは38年生まれの長兄で当時25歳とかですでにがっつり音楽もやってたので1人イギリスに残り、なんやかんやでグレープフルーツに行き着いたということらしい(アンガスは55年生まれなので8歳とか)。
なんかヤング家は大家族でマルコムとアンガスの上にジョージ・ヤングという兄がいて、ジョージは「オーストラリアのビートルズ」と呼ばれるイージービーツのメンバーだったとか。知らんことだらけだ。
あとグレープフルーツのギタリストであるジョン・ペリーは後のオンリーワンズのギタリストであるとか。これも驚き。
パンクには詳しくないが、パンク好きの友達が「オンリーワンズはかっこいいけど平均年齢が高かったからそこまでヒットしなかった」って言ってて、なるほどなるほど。
内容
内容ですが、まーーサイケエフェクトを駆使したB級サイケポップ。Tomorrowやkaleidoscope、英Smoke辺りと似通った感じ。
フルートやストリングスもかなり使っててバロックポップ的な要素も垣間見えゾンビーズやニルヴァーナUKに近いことをやってたりするんだけど少し及ばず、と言った感じ。
いやバロックポップとして勝負したらよかったのにあからさまなサイケエフェクトがB級感満載すぎるのかも。個人的にはサイケって外側のエフェクトよりもフレージングの奇妙さであってほしいのよね。
デビューシングルでありアルバム8曲目に収録された〝Dear Delilah〟とかオルガンで始まってアコギのアルペジオからストリングス入って、みたいな導入部分めっちゃいいのに、なんであのドラムにフランジャーかけるやつやるん?この辺のサイケバンドなんでこれみんな好きなん?何がええのんこれ。
まぁまぁとはいえジョージアレクサンダーのポップセンスは結構光ってるのよね。
2.Yesterday's Sunshineとか(ん?このCD裏ジャケのスペル間違えとるなShunshineになってる)
ブリティッシュビートmeetsサイケな3.Elevatorとかホリーズっぽかったり
ジョンとポールが気に入ったというのがすんごいわかる6.Lullabyとか
ギタリストのジョンペリーが一曲だけ作ってて、その4.Yesはアルバム1ポップな曲。
このライナーノーツなんなん
このCDは輸入盤なのでライナーノーツは期待してなかったけど、一応1ページだけあったのでふむふむと読んでみた。
書いてるのはビートルズの広報担当でアップルコアでも働いてたデレク・テイラー。で、なんか「おれはライナーノーツ書くの得意」みたいなんが大半書かれてる。なんかよくわからんけど、馬鹿にされて笑われても、ライナーノーツ書くのは得意とか。父親のスパイ行為がどうたら盲目の母がどうたら、でもライナーノーツ書くの得意とか。笑
ほんで最後にちょこっと「2人のテリー」について触れただけで終わっている。このライナーノーツなんなん笑
「2人のテリー」とはグレープフルーツを結成させマネージメントしてテリー・ドランと、このアルバムをプロデュースしたテリーメルチャーのこと。
テリードランはApple Publishingの責任者で、グレープフルーツの他に「アップルの歌姫」メリーホプキンのマネージメントもしていたそう。
メリーホプキンといえば、ツイッギーがポールにメリーホプキンを推薦したのが始まりで。そんなこんなでグレープフルーツとツイッギーにも何かしら関わりがあったのかこのアルバムに〝Theme For Twiggy〟というインスト曲が収録されている。どの辺がツイッギーなのかわからない曲だけど。
テリーメルチャーは初期バーズのプロデューサーとして知られる男。あとはチャールズマンソンに殺されかけた男。カリフォルニアのイメージが強いのでグレープフルーツをプロデュースしてたのはめっちゃ意外!
B級サイケ万歳!
レーティング★★★☆☆(3.0)といったとこです!でもなんか久しぶりにUKサイケポップに触れた感じでワクワクしましたね。
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