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蛾蝶記

[海野和男   福音館書店]

怖くて美しくて目が離せない写真集です。       日本の蛾や蝶が卵から幼虫、さなぎから成虫へと変身していく姿が自然の中の生態そのままに撮影されています。科学的な写真もあるのですが、その美しいこと、恐ろしいこと、ユーモアにあふれていること。百聞は一見に如かず。読んでもらうしかありません。

蝶がこんなに美しかったとは知りませんでした。青空の下風に乗って翔ぶさま、色とりどりの花の蜜を吸う姿。羽の色かたち。              はたまた信じられないような卵の色と形。  見ているだけでゾワゾワしてしまう幼虫の姿とさなぎの時間の不思議。そして羽化のとき。その静かで劇的な時間。さなぎから羽化したばかりの羽の柔らかな塊。                               蛾の鱗粉煌めく羽の模様やダークな色調。   重量感あるその体。そして蛾の顔にもびっくりです。

里山、森の中、水辺、長野県小諸市の写真家の自宅の庭、沖縄の空。ありとあらゆるところで撮影された蛾と蝶の写真は300種1700枚にも及ぶそうです。 蝶のオシッコなんて初めて見ました!

美しい色彩に溢れた写真を見ていると、1枚1枚に添えられたカタカナの名前も生態もきちんと読まずにはいられません。見過ごしてきたものへの畏敬の念に打たれます。

読んでいる時の圧倒的に濃密な充実感。       ページをめくるときの緊張感。次のページに撮られているのはなんのどんな姿なのか。      本文にはルビがふられています。図書館では児童書の棚にあります。(み)




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