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【q値・m値の計算⑧】RC構造熱橋のψ値

今回、RC構造熱橋の計算について勉強します。

この記事は、次の動画の内容に加筆・修正しました。あわせて動画も視聴してください。

https://www.youtube.com/watch?v=nb2mbQR0R14

RC構造熱橋とは何か

まず、構造熱橋とは何かということを説明したいと思います。

床と壁の取り合い部(木造の場合)

木造の場合、例えば床と壁の取り合い部では、断熱の境界は途切れません。室内から壁を通じた熱損失、室内から床を通じた熱損失は、それぞれのU値に面積をかけることで求めます。これらの求めた熱損失・熱の移動する方向は2次元的に壁または床に対して垂直です(図の実線赤色)。これに対し、厳密に言うと、図の破線赤色に占めるように、斜めに逃げる熱損失があります。ただし、木造の場合、取り合い部の面積が少ないことや、RCに比べれば木部は断熱性が良いので、破線赤色のような熱損失は計算の簡単のために目をつむりましょうとなっています。つまり熱損失は計算上ゼロです。

一方、RC造の場合、構造的に断熱できない箇所が発生します。

間仕切りと屋根との取り合い部(RCの場合)

例えば、RC造住宅で、RCの(乾式ではない)間仕切り壁がある場合で、断熱方法が内断熱である場合、屋根と間仕切り壁との取り合い部分で必ず断熱境界が切れてしまいます。先ほどの木造の場合は、断熱が途切れそうな部分が、土台のような木部であったため、ある程度の断熱性能が期待できました。木造の場合は計算の簡単のために、多少の熱損失は無視しました。しかし、コンクリートの熱伝導率は土やガラス等と同じぐらいで、非常に熱を伝えやすい物質です。従って、図の赤色破線のように、断熱が途切れる部分があると、そこを集中的に熱が流れます。この部分を熱橋と言います。英語では、Heat Bridge(ヒートブリッジ)と言います。もちろん、木造も同じように断熱できない箇所は存在しますから、熱橋はRC造に限った話ではなく、木造そして鉄骨造でも発生します。そして、図の間仕切りのように、構造的に必要な部分の熱橋を特に構造熱橋と呼びます。

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