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808字の雑文

“源氏物語”という稀代の長篇作品を、英訳した人間が居るだけでも驚きに値するのに、それをまた日本の現代語に訳し直すという途方もない企てが、2017年に著されていたと知ったのは今日のこと。
その大作を“A・ウェイリー版 源氏物語”と言って、英訳はその名の通りアーサーウェイリー(Author David Weley)、また現代語への逆輸入訳(という日本語があるのか知らないが)を毬矢まりえ+森山恵姉妹という人々は手がけたらしい。
原本のボリュウムからして、当然の如く現作も大変な分厚さで、全4巻からなる作品の内、1冊目だけでも688ページという破格の装幀が成されている(松田行正+杉本聖二という装幀・装画にあたった面々も、彼らの手がけた数々の仕事を垣間見るにつけ、大変に力の入った作品であることは、容易に想像がつく)。

と、いつか読むことになるだろう作品の話は、いつか読了した暁にここで綴ることとして、旧きところに現代性を照らして観るという作業は、いつの世においても価値がある。
例えば、本日書店にて出会った本の中には、全完永による“老子の思想と現代生活”という、おそらく私の周りでこの本を手に取ったことのある方は居ないであろう作品があったけれど(それもそうだ、稀少本コーナーにあったから、部数がとても少ないに違いない)、老子が語った思想と、その後に発展した道教、そして現代の我々とを架橋するために敷かれたエッセイ調の物語は、時代の中で原作あるいはオリジナリティがいかに変容し、曲解され、また再解釈されてきたか、という事実を知らしめるのに充分で、一見すると他愛ない短篇が、なかなかに味わい深く、老子のOriginalの言葉に続けて配されている様は、大変面白いものであった。

ということで、私のnoteにおける処女作“'始まったばかり”を引用して、明日の著述へと繋げたい。
今週は、少しずつでも途切れることなく書いてみたい気分である。

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