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【#024】たとえ末期癌でも

健幸外来を始めた頃、突然、受診して来たご夫妻がいます。

どこで私の外来を知ったか分かりません。健幸外来がメディアで報道されることもありました。

ご主人はステージ4の末期癌で、主治医から「余命半年」と言われていました。セカンドオピニオンでも他の医師からも同じ診断を受けたようです。

一体どうして末期がんの患者さんが健幸外来を訪れたのか、未だに不明です。多分、他に相談できる所がなかったでしょう。

ご夫妻の顔は本当に弱り切って明るさが微塵もありませんでした。ご主人の首はうなだれ、奥さんはそれを見ることすらできないほど疲れた状態でした。

私がご夫妻に言った最初の言葉は
「病気が癌で良かったじゃないですか。事故や心臓発作では突然後ろから死が訪れます。あなたはまだまだ半年あるではないですか」と話しました。

「今から自分らしい死に方をすることができるのです。半年の生命に貴方のいのちを十分に与えてください」とだけご主人に話しました。

ご夫妻の顔が少し明るくなり、帰えられました。

私も末期癌の初めての経験となりました。

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