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137番 加味帰脾湯(かみきひとう)

その昔、漢方薬メーカーってツムラさんだけだと思っていました。その後、クラシエ、コタローがあることを知り、調べていくうちに、太虎堂、オースギ、東洋、KTS、阪本漢方、三和、ジュンコウ、テイコク、東亜薬品、本草、マツウラ、JPSなどたくさんあることを発見しました。
そもそも漢方製剤番号はどのようにしてできたのか。答えはツムラの研究者だった小根山隆祥先生が実験ノートについていた番号だそうです。(参照;日経メディカル「漢方製剤番号のナゾ、解決しました!」)当初は各社ばらばらだった番号が、シェアトップだったツムラに合わせる形になっていったとのこと。
それでもまだ異なるものもあり、茵蔯蒿湯はツムラは135番でクラシエは402番、安中散はツムラは5番で東洋だけ1番。
今回取り上げる加味帰脾湯もツムラは137番でクラシエさんは49番です。

使用目標(証)

本方は、帰脾湯の使用目標に準じ、身体が衰弱し、微熱や熱感、胸苦しさが加わったものに用いる。体力は低下し、腹部は一般に軟弱で、時に肋骨弓下部の抵抗・圧痛(胸脇苦満)を軽度に認める。顔色が悪く貧血があり、一般に精神不安、抑うつ、神経過敏、心悸亢進、健忘、不眠、出血傾向(吐血、下血、鼻出血)、発熱、盗汗、食欲不振などを伴う。

組成

黄耆(おうぎ);脾胃の気を養う。
人参(にんじん);脾胃の気を養う。
白朮(びゃくじゅつ);脾胃の気を養う。
茯苓(ぶくりょう);利水剤
遠志(おんじ);ヒメハギ科の植物の根。精神安定効果。
大棗(たいそう);脾胃を補う
当帰(とうき);補血薬
甘草(かんぞう);脾胃を補う
生姜(しょうきょう);脾胃を補う
木香(もっこう);キク科の植物の根。気を調節。
酸棗仁(さんそうにん);クロウメモドキ科サネブトナツメの種子。精神安定薬。大棗の仲間。
竜眼肉(りゅうがんにく);ムクロジ科リュウガンの果実。脾に働き、血や気を補う。
柴胡(さいこ)
山梔子(さんしし)

勝手にポイント

クラシエでは49番だがツムラでは137番。
帰脾湯(65)+柴胡+山梔子=加味帰脾湯
脾虚の薬。そこから転じて全身倦怠、胃弱、貧血、冷え、動悸、不眠、健忘と多彩な症状に効果。

参考文献
「つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習」 岩田健太郎 著 / 西本隆 監修
「漢方製剤 活用の手引き 証の把握の処方鑑別のために」 長谷川弥人 大塚恭男 山田光胤 菊谷豊彦
漢方スクエア 絵でわかる漢方処方解説 加味帰脾湯
漢方スクエア 方剤解説 加味帰脾湯