けんさん@フツクリ

岡山県の片田舎で町医者をしてます。今年で開業10年目。「元気がいちばん!」をモットーに…

けんさん@フツクリ

岡山県の片田舎で町医者をしてます。今年で開業10年目。「元気がいちばん!」をモットーに、医学の知恵とみんなの力で、人と家族と地域を元気にしてまいります。

マガジン

  • けんさん@フツクリの漢方学習ノート〜番号順編〜

    フツーの内科開業医が、まずは漢方薬を学ぶのに、とりあえずエキス剤を番号順にやってみようという、自分勝手なマガジンでござる。

  • けんさん@フツクリの漢方学習ノート〜五十音順編〜

    フツーの内科開業医の漢方学習第2弾。第1弾の番号順に引き続き、第2弾はアプリ「プロ漢方」をベースにした五十音順。この度は、番号のない漢方薬についても収録。

最近の記事

501番 紫雲膏(しうんこう)

ついに番号順漢方学習は最後です。岩田先生の「つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習」は実は324番のコタローの桔梗石膏が最後なので、ある意味この紫雲膏がホントのボーナスステージ。 個人的には大学生のころ、部活が一緒だった薬学部の先輩が「実習で作った」として見せてくれた紫色の軟膏がこの紫雲膏でした。とくに火傷にぬってもらったとか、食べさせられたとかいった、印象的な思い出エピソードはないんですけど、妙に鮮明に覚えてるんですよね〜 使用目標(証)本方は、外傷および皮膚

    • 324番 桔梗石膏(ききょうせっこう)

      ボーナスステージっぽいコタローの300番台の第5弾。桔梗石膏です。 扁桃炎の治療薬としては、葛根湯(1)、桔梗湯(138)、小柴胡湯加桔梗石膏(109)、そして今回取り上げる桔梗石膏(324)が挙げられます。 急性扁桃炎のごく初期なら葛根湯+桔梗湯か葛根湯+桔梗石膏の二択。そのうち石膏の入った葛根湯+桔梗石膏の方が切れ味が良いとされます。 ごく初期から2−3日経過したときには、葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏。とくに小柴胡湯単独では気道を乾燥させるのが懸念されるが、桔梗石膏を併用こ

      • 320番 腸癰湯(ちょうようとう)

        ボーナスステージっぽいコタローの300番台の第4弾。腸癰湯です。 またまた読めない漢字シリーズ…と思いきや、いやいや皮膚科で出てきた「癰(よう)」と「癤(せつ)」の癰ですね。読めないシリーズというより、「かろうじて読めるが絶対書けない」シリーズ。(ちなみに、癰も癤も毛包における深在性細菌感染症病名。毛包1個なら癤で鶏卵大以上に大きくなってくると癰でした。復習…) 腸癰とは実は虫垂炎の古名。腸の癰ならわかりやすい。 生薬的には大黄牡丹皮湯とも似てますが、大黄・芒硝→薏苡仁と変え

        • 319番 大柴胡湯去大黄(だいさいことうきょだいおう)

          ボーナスステージっぽいコタローの300番台の第3弾。大柴胡湯去大黄です。 漢方薬の中で最も有名な下剤が大黄。便秘だからといってすぐに大黄剤を使うのはナンセンス。西洋医学同様、病態を考えかつ患者さんの虚実をみる必要があります。(←自分に言い聞かせている…)痙性便秘なら桂枝加芍薬大黄湯、弛緩性便秘なら補中益気湯が候補になります。 ただ、虚証の患者さんには大黄剤が向かない。腹痛や渋り腹になってしまう。その場合は、桂枝加芍薬湯、小建中湯、大建中湯など腹部膨満感に使う漢方や、加味逍遥散

        501番 紫雲膏(しうんこう)

        マガジン

        • けんさん@フツクリの漢方学習ノート〜番号順編〜
          144本
        • けんさん@フツクリの漢方学習ノート〜五十音順編〜
          0本

        記事

          314番 梔子柏皮湯(ししはくひとう)

          ボーナスステージっぽいコタローの300番台の第2段。梔子柏皮湯です。これ読めませんよね〜 「ししはくひとう」と読みます。梔子は山梔子のこと、柏皮は黄柏のこと。 黄疸と皮膚の痒みの薬との位置づけ。とはいえ、黄疸があれば西洋医学的アプローチに軍配が上がると思うので、痒みの方にフォーカスしてみます。 アプリ「プロ漢方」で、皮膚瘙痒症・痒みを引くと、黄連解毒湯(15)、牛車腎気丸(107)、消風散(22)、当帰飲子(86)、六味丸(87)が出てきます。おっ、5つくらいかと思い、他にも

          314番 梔子柏皮湯(ししはくひとう)

          311番 九味檳榔湯(くみびんろうとう)

          138番の桔梗湯で番号順漢方学習は終わったと思っていたら、ボーナスステージがありました。コタローの300番台で5つあります。番外編と言いたいところですが、きちんと三百何番と番号がついているので番外編とは言い難い… 九味檳榔湯は浮腫の薬です。木防已湯(36)も心不全及び腎不全による浮腫の薬ですが、2つの違いは心下痞堅(しんかひけん)の有無。って、心下痞堅とは心下痞硬(しんかひこう)の一層強い状態。って心下痞硬とは、みぞおちを触ると固く触れること。心下痞堅があれば木防已湯、なけれ

          311番 九味檳榔湯(くみびんろうとう)

          138番 桔梗湯(ききょうとう)

          ついにツムラの漢方薬では138番の桔梗湯が番号順の最後となります…といっても、実は501番に塗り薬の紫雲膏がありますし、コタローから300番台があるので、もちょっと続きます。 桔梗湯は咽頭痛のある風邪の薬。それより症状が強ければ小柴胡湯加桔梗石(109)膏を使います。同じ風邪でも悪寒が強ければ、桂枝湯(45)、葛根湯(1)、麻黄湯(27)、麻黄附子細辛湯(127)、小柴胡湯(9)が選択肢。消化器症状が強い場合は香蘇散(70)ですね。 使用目標(証)本方は、主として急性の咽喉

          138番 桔梗湯(ききょうとう)

          137番 加味帰脾湯(かみきひとう)

          その昔、漢方薬メーカーってツムラさんだけだと思っていました。その後、クラシエ、コタローがあることを知り、調べていくうちに、太虎堂、オースギ、東洋、KTS、阪本漢方、三和、ジュンコウ、テイコク、東亜薬品、本草、マツウラ、JPSなどたくさんあることを発見しました。 そもそも漢方製剤番号はどのようにしてできたのか。答えはツムラの研究者だった小根山隆祥先生が実験ノートについていた番号だそうです。(参照;日経メディカル「漢方製剤番号のナゾ、解決しました!」)当初は各社ばらばらだった番号

          137番 加味帰脾湯(かみきひとう)

          136番 清暑益気湯(せいしょえっきとう)

          この時期に夏バテの話をするものなんですが… 夏バテの漢方といえば、白虎加人参湯、清暑益気湯、啓脾湯、平胃散、五苓散、防己黄耆湯などが挙げられます。 体内の熱を冷まし、体液を潤し、元気をつけるなら白虎加人参湯。熱を冷ますよりも、消化機能の改善に重きを置くなら、今回取り上げる清暑益気湯。さらに下痢や消化不良に重点を置くなら啓脾湯です。 使用目標(証)本方は、比較的体力が低下した人が、全身倦怠感、食欲不振などを訴える場合に用いる。一般に、軟便傾向、尿量減少、自然発汗、手足の熱感、

          136番 清暑益気湯(せいしょえっきとう)

          135番 茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)

          口内炎って何科の病気なんでしょう。歯科?! 耳鼻科?! 消化器科?! 内科?! いやいや、何かであろうときちんと診断して治療をすればいいですっってかっこよく言いたいですが、なかなか治らないときにはどこに紹介すればいいかって悩むんですよね。 そんな、口内炎や舌炎、口唇ヘルペスなどにつかう漢方と言えば、半夏瀉心湯(14)、黄連湯(120)、茵蔯蒿湯(135)、黄連解毒湯(15)、桔梗湯(138)。 そのうち、便秘がちでイライラして、比較的胃腸機能がしっかり目なら茵蔯蒿湯が向きます

          135番 茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)

          134番 桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)

          桂枝湯になにかを加えた桂枝加○✗湯ってどのくらいあるでしょう。 五十音順で桂枝加黄耆湯、桂枝加葛根湯、桂枝加桂湯、桂枝加厚朴杏仁湯、桂枝加芍薬大黄湯(134)、桂枝加芍薬湯(60)、桂枝加朮附湯(18)、桂枝加附子湯、桂枝加竜骨牡蛎湯(26)、桂枝加苓朮附湯の計10種類。ちなみにエキス剤になっているのは4種類です。 逆に桂枝湯から芍薬を引いた桂枝去芍薬湯ってのもあります。 さらに桂枝湯から芍薬を引いて麻黄、附子、細辛を加えた桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯ってのもあります。 いかに

          134番 桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)

          133番 大承気湯(だいじょうきとう)

          漢方薬にはいくつがグループがあります。承気湯類、白虎湯類、瀉心湯類、建中湯類、四逆湯類などなど。そのうち、承気湯には、エキス剤には大承気湯(133)、調胃承気湯(74)、桃核承気湯(61)、エキス剤になっていないものとしては、小承気湯や厚朴三物湯があります。 そもそも、承気とは気を巡らすという意味。その中で最強の承気湯が今回取り上げる大承気湯。難治性うつ病が改善したとの報告例もあるようですが、柴胡剤との使い分けの1つは、便秘のありなしです。 使用目標(証)本方は、体力が充実

          133番 大承気湯(だいじょうきとう)

          132番 なし(ということでハーブの恵み研究)

          132番も欠番です。ということで、欠番恒例○✗酒研究。 42番では養命酒、44番ではお屠蘇、49番では陶陶酒、94番では保命酒、129番では黄帝酒、130番ではブドウ酒、131番ではハブ酒を取り上げました。 今回は薬用酒界の横綱、養命酒製造株式会社が放つ本格ハーブ酒シリーズの1つ、「夜のやすらぎハーブの恵み」を取り上げます。 商品解説ページはメインターゲットを女性にしたおしゃれでやわらかな印象。桂皮をシナモン、丁子をクローブ、烏樟をクロモジと言い換え、漢方薬のもつ刺々しさを払

          132番 なし(ということでハーブの恵み研究)

          131番 なし(ということでハブ酒研究)

          131番も欠番です。ということで、欠番恒例○✗酒研究。ちなみに132番も欠番。○✗酒研究が続きます… 42番では養命酒、44番ではお屠蘇、49番では陶陶酒、94番では保命酒、129番では黄帝酒、130番ではブドウ酒を取り上げました。 養命酒と陶陶酒には反鼻=まむしが入っていました。今回取り上げるハブ酒にはその名の通り、ハブエキスが入っています。精をつけるときに、ヘビって魅力的なんでしょうねぇ〜 南都酒造所のHP 商品一覧にある「巨大ハブ入りハブ酒『南都億万長蛇』」はなかなかの

          131番 なし(ということでハブ酒研究)

          130番 なし(ということでブドウ酒研究)

          130番も欠番です。ということで、欠番恒例○✗酒研究。ちなみに131番、132番も欠番。○✗酒研究が続きます… 42番では養命酒、44番ではお屠蘇、49番では陶陶酒、94番では保命酒、129番では黄帝酒を取り上げました。 130番はブドウ酒。えっ、ワインを取り上げるのっておもわれるかもしれませんが、ワインでなくブドウ酒。きちんと日本薬局方に記載されています。(参照;ブドウ酒)ただし、処方箋医薬品以外の医薬品に分類されるので、当院で処方箋を発行したことはありません。 すみません

          130番 なし(ということでブドウ酒研究)

          129番 なし(ということで黄帝酒研究)

          129番は欠番です。ということで、欠番恒例○✗酒研究。 42番では養命酒、44番ではお屠蘇、49番では陶陶酒、94番では保命酒を取り上げました。 今回は栄養ドリンク「ユンケル」で有名な佐藤製薬さんの薬用酒「黄帝酒」をとりあげます。う〜ん、高級そう… ユンケル黄帝液と言えばタモリさんの「ユンケルンバでガンバルンバ」…はちょっと古すぎ。かなり昔の記憶なのでリゲインの時任三郎さんの「24時間戦えますか」とごっちゃになってしまいそう。当時は1本2000円超えの栄養ドリンクで、バブル期

          129番 なし(ということで黄帝酒研究)