見出し画像

96番 柴朴湯(さいぼくとう)

幼い頃、我が家の牛丼には長ネギが入っていました。高校生のころ、初めて吉野家の牛丼を食べに行ったときの第一印象が、「あれ、緑色のものがない。」長ネギでなく玉ねぎだったのは衝撃的でした。
「初めて見たものを親と思う」という刷り込み現象(=imprinting)を発見したのは、コンラート・ローレンツ博士。1973年にノーベル生理学・医学賞を授賞しています。
僕の中では、喘息治療については、「吸入ステロイド薬がベース薬」と刷り込みがあります。間違ってはいないのですが、それ以前はどうだったのか。今回取り上げる柴朴湯は、昔ながらの喘息治療薬です。

使用目標(証)

本方は、体力中等度で、精神不安、抑うつ傾向のあるものを目標に用いる。腹部では、肋骨弓下部に抵抗・圧痛(胸脇苦満)を認め、心窩部に膨満感がある。一般に、喘鳴、咳嗽、咽喉・食道部の異物感、動悸、めまい、食欲不振、全身倦怠感などを伴う。

組成

柴胡(さいこ)
半夏(はんげ)
茯苓(ぶくりょう)
黄芩(おうごん)
厚朴(こうぼく)
大棗(たいそう)
人参(にんじん)
甘草(かんぞう)
蘇葉(そよう)
生姜(しょうきょう)

勝手にポイント

小柴胡湯(9)+半夏厚朴湯(16)=柴朴湯
胸脇苦満があって咳、喀痰、呼吸困難などに使う。呼吸器に特化した小柴胡湯ってイメージ。
吸入ステロイドなどの吸入治療薬が使いにくい慢性気管支炎、気管支喘息の患者に使う。

参考資料
「つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習」 岩田健太郎 著 / 西本隆 監修
「漢方製剤 活用の手引き 証の把握の処方鑑別のために」 長谷川弥人 大塚恭男 山田光胤 菊谷豊彦
漢方スクエア 絵でわかる漢方処方解説 柴朴湯
漢方スクエア 方剤解説 柴朴湯