雑談の偶有性とネットワーク性


note(ノート)の方では、できるだけproactiveなことを書きたいと思っている。


 どんなに忙しい時でも、雑談はした方がいい。というか、雑談を楽しむ心の余裕を持っていた方がいい。

 チューリングテストの設定でもわかるように、雑談は高度に知的な営みであって、今のところ雑談をできるコンピュータは存在しない。

 雑談では、さまざまな話題が飛び交い、瞬時に文脈が切り替わったりするので、脳の認知プロセスの柔軟さが問われる。

 つまりそれは一種の柔軟運動であって、それまで単一のタスク、文脈で凝り固まっていた脳がほぐれていく。

 また、雑談は偶有性のかたまりである。

 予想できることと予想できないことがほどよく混ざっているからこそ、雑談は面白い。
 脳の報酬系も偶有性によって最適に活性化される。

 雑談で何よりもいいのはそこにネットワーク性が表れることである。

 他者から、自分が思ってもみなかった視点がもたらされる。そしてその他者の視点は、また誰か他の人からもたらされたものであることが多い。

 つまり、雑談をすることで、私たちはスモールワールド・ネットワークな広大な世界とつながることができる。

 偶有性やネットワーク性といった雑談の特性を活かすためには、話者交代が適宜行われた方がいい。
 誰かがずっと話していて、それを他の人が拝聴しているのもいいが、話す人が次々と代わる方がもっと良い。

 それは、さまざまな楽器が交代でメインをとるジャズのジャムセッションに似ている。

 インターネットの発達によって、たとえばツイッターのタイムラインを見ているだけで雑談ができる時代になった。

 なにかリストをつくっておいて、そこに流れるタイムラインを見ていると、さまざまな人がさまざまなことを言っていて、それはまさに偶有性であり、適当に散らされてその具合がとてもいい。

 あるタスクで集中していて、切り替えるときに、ツイッターのTLを見ると事実上の良い雑談になる。

 しかも、ネット上は物理的時間が集約されて効率よく雑談できるから、それが画期的だ。

 SNSを雑談のメディアとして活用するという意識はもっと持った方が良い。

とりあえずこうやってメモしておきます。

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茂木健一郎

脳科学者。作家。ブロードキャスター。

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コメント1件

コメント失礼します。すごくわかります!何気無い一言でも相手の反応によって
「ああ、自分中でこの言葉の定義はこうだったのか」と客観視するきっかけにもなったり、
方言なども面白いですよね。
相互理解のコミュニケーションのはずが、ある側面では自分自身の思考を浮き彫りにするという。雑談、面白いですよね!
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