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インスタ発音実例ー「スーパーサラダ」はいりますか?(イントネーションに着目して)

実例(リンク有り)

気がつけば無限にみてしまうインスタのリールですが、面白い英語に出会えることが多いです。まずは動画から:

短い動画で笑えますね。調べてみると、どうやら昔からよくある話だそうです。まずは誤解が生じる瞬間に着目してみます。

誤解が生じる瞬間

① 分節音の観点から

分節音とは、簡単に言えば母音や子音のこと。発音記号を使用して、今回の誤解の原因を紐解きましょう。

soup or salad→/suːp ər sæləd/
super salad→ /suːpər sæləd/

記号で見るとsoup orとsuperが同じであることがわかります。当然こうきたら誤解しかねないですね。

② 超分節音の観点から

さて、ここからは誤解がイントネーションにどう現れているかを確認しましょう。もう一度最初の疑問文:Did you want soup or salad with that?を聞いてみてください。toneの変化が大きい話者ではないのでわかりにくいですが、少なくとも私の耳にはこう聞こえました。

頭部(緑色)のtoneが不正確である可能性有り  TuneEditorで作成

見ていただきたいのは核(ピンク)の部分。選択肢が二つのみの選択疑問文ですが、salad以降が上昇している上昇調に聞こえます。Wells(2006)では、選択疑問文について以下のように示しています:

Alternative questions are sets of two or more yes-no questions linked by or. They are treated as lists. A closed list ends in a definitive fall, and in principle an open list (if nuclear) ends in a dependend rise. However, the speaker has some discretion to ignore this rule.

Wells (2006). English IntonationーAn Introduction. Cambridge University Press. p.76
(太字は筆者による)

つまり、今回のように「スープ」か「サラダ」のclosed listだとしても、話し手によってはそのルールに従わないこともある、ということになります。ウェイターはこの疑問文を日常的に繰り返していますから、多少おざなりになった(普通のYes/No疑問文として上昇調にした)とみるのが妥当だと思います。そしてこれだと選択肢が二つのみの選択疑問文らしさがないため、慣れていないとそれとして認識できない可能性が大いにあります。実際に今回のお客さんは認識できていません。

誤解が解けないー選択疑問 or OO名詞

その後、Yeah, I’ll take one.と勘違いしたお客さんに対し、ウェイターはこう続けます。

核が下降調になりました。2種類の選択肢が提示されていることがわかります。ただ、お客さんはYeahと言いこう返しました。

前に核があるということは…

このイントネーションで明らかに勘違いしているのがわかります。つまり、「複合名詞」としてーー「スーパーサラダ」としてーー勘違いしています

スーパーサラダ、ではない!

この問答が一続きした後、「スーパーサラダには何が入ってるんだ?」と尋ねられたウェイターは

soupとsaladそれぞれに核が付与されおり、上昇調と下降調で分かりやすく選択疑問文です。ここでやっと気づくわけですね😄というわけでこのリールは選択疑問文のイントネーション紹介のために使用できるなと思いました。

複合名詞の強勢位置(残る疑問)

ここまで書き終えた私ですが、一つ気になったことがあります。シーザーサラダ(Caesar salad)の強勢位置を考えてみると、こちらはsaladに強勢があります。Caeserさんが作ったsaladということのようで、複合名詞でも「作成者」が前にあると後ろに強勢が来るのか!と思った次第です。辞書で色々確認してみると、確かにモールス符号(Morse code)もcodeに強勢があることが多い。
そう思って納得したのも束の間、Diesel engineやFerris wheel、Fahrenheit scaleは前に強勢がある、という記述がほとんど。複合名詞と名詞句の強勢位置の違いに関して、多少の知識はあれど瞬時に判断することができません(インプットが足りていない…。)この辺りのインプットは私の今後の課題です。

<TuneEditorについて>

TuneEditor(行間表記作成ウェブプログラム 村上雅章さん作成):
まえがき

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